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この異世界は物足りない  作者: VRクロエ
異世界学校編
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クレーティオのステータス

 模擬戦が終わっても冷め切らない熱気を放つ闘技場を俺達は静かに抜け出して、話をしていても周りに聞こえないくらい騒がしい酒場へと移動してきた。

 皇帝が何か話していた気がするが、特に聞きたいとも思わなかった。セシルとルーシェは抜け出す時に顔が引きつっていた気がしたが、見なかったことにしよう。


 騒がしい酒場に入ると、クレーティオは明らかに嫌そうな顔をしたが我慢してもらうしかない。

 どうにもクレーティオは他人に興味が無いどころか嫌悪感すら持っている感じがする。今のところセシルとルーシェに対しては友好的に接してくれてはいるが、内心どのように思っているのかは分からない。

 俺の友達ということで、下手なことはしないと信じたいが、出来ることなら本当に仲良くしてほしいものだ。


 席に座り注文をすると、すぐに酒が運ばれてくる。


「クレーティオ、乾杯の音頭をやるか?」

「僕はいいや。今回は脇役だし、そもそもそういうの得意じゃないしね」


 折角なのでクレーティオにやってもらおうかと思ったが、そう言われてしまえば無理強いは出来ない。

 セラフィは勿論やりたがらないので、セシルとルーシェに目を向けると首を横に振られたので俺がやることにする。


「それじゃあ模擬戦お疲れ! クレーティオとの顔合わせもこみで……乾杯!」

「「「「乾杯!」」」」


 グラスを掲げてぶつけてから一気に胃にぶち込んでいく。疲れた身体にアルコールが染みわたり気持ちが良かった。

 全員が一気にグラスの中身を飲み干してから口を開く。


「まずはクレーティオの自己紹介からしとくか? さっきは慌ただしかったし、改めてさ」

「そうじゃな。悪い奴ではないとは分かったが、まだクレーティオの人柄をよく知らぬし、しっかりと自己紹介はしてほしいの」


 セラフィのナイスな援護射撃も入り、クレーティオも仕方がないといった感じで苦笑する。

 闘技場でのやり取りもそうだったが、クレーティオはセラフィに対してはある程度心を許しているんじゃないかと感じていた。


「んじゃ改めて……僕はクレーティオ。見ての通りの超絶美少女だよ! セシル君とルーシェちゃんもよろしくね! 僕の自由を侵害するのとヨゾラ君を傷つけるのは許さないけど、別に気を遣う必要はないからね」


 クレーティオはかなり明るい感じで自己紹介をしてくれた。セシルとルーシェはこの自己紹介で緊張感が解けたのか、表情が柔らかくなったのが分かる。アルコールのお陰もあるだろうが。

 二杯目の酒が運ばれてきて、それを飲み干したルーシェがクレーティオに話しかけた。


「にしてもクレーティオさんってどんだけ強いの? やろうと思えばあの場にいた全員を倒せそうな感じだったけど……」

「実際やろうと思えば簡単に出来るよ。まあやるつもりは無いけどねー」

「えっと……ステータス見てもいい?」

「別にいいけど、多分見ても何も分からないんじゃないかな?」


 恐る恐る聞いたミーシェは許可が出るとは思っていなかったようで驚いていたが、好奇心がすぐに上回りセラフィにサーチの魔法を使った。

 俺達には何も見えていないがルーシェにはステータスが表示されているのだろう。ルーシェの表情は只々困惑していた。


「……なにこれ?」


 困惑するミーシェの隣で今度はセシルもサーチを使ったようだ。セシルもルーシェと似たような表情となる。


「ね、何も分からないでしょ? ステータスが離れすぎてるとそうなっちゃうんだよね。ちなみにヨゾラ君なら見れると思うよ」

「俺も大差ないと思うんだが?」

「分かってるでしょ? ヨゾラ君は特別なんだよ」


 さっぱり分からないが、クレーティオが見れると言うならそうなんだろう。

 俺はサーチを使ってクレーティオのステータスを見てみることにした。



【クレーティオ】

 レベル1748 HP278957 MP527946 攻撃99711 防御45682 特功389047 特防53847 素早さ26009

 精霊:無し

 魔法:平級火属性 豪級火属性 王級火属性 聖級火属性 神級火属性 平級土属性 豪級土属性 王級土属性 聖級土属性 神級土属性 平級水属性 豪級水属性 王級水属性 聖級水属性 神級水属性 平級光属性 豪級光属性 王級光属性 聖級光属性 神級光属性 平級闇属性 豪級闇属性 王級闇属性 聖級闇属性 神級闇属性 ???魔法

 称号:??? ??? ??? ???



 あまりの情報量の多さに眩暈を起こしそうになる。

 まずステータスがとんでもなく高い。俺が順当にレベルを上げて行っても、クレーティオのレベルで同じステータスにはなりそうにないというのが正直なところだ。

 もしかしたら大器晩成で追い付く可能性もあるが、俺には想像出来なかった。

 魔法はルーディスの基準で言えば全ての階級の魔法が使えるらしい。全ての魔法が使えるかは分からないが、それでもセラフィよりも多いのではないだろうか?

 そして魔法と称号の欄は、俺でも見えない項目がある。一体どんなやばいものが眠っているのだろうか……


 クレーティオのステータスを見て絶句していると、クレーティオが耳元で囁いてくる。


「ちなみに僕、ステータスだけで見れば神の中でもそこまで強い方じゃないからね」

「嘘だろ……」


 前にクレーティオの話を聞いた時には、神も届かなくはない存在なんだなーとか思ったが、今ではまた想像の向こう側の存在だと感じてしまう。

 そして、そんな神の中でも自分は強い方だとクレーティオは言っていた。ステータスでは強い方じゃないのにも関わらず。

 クレーティオを強者にしているのはあの見えない部分だろう。

 俺は鳥肌が立った。


「俺、お前が仲間でよかったよ」

「ヨゾラ君がそこまで言うなんて……ヨゾラ君も結構ステータス高いよね?」

「正直次元が違うな」


 確かに俺も一般的に見ればそこそこステータスは高いはずだ。しかし、クレーティオと比べてしまうと、普通に低いように思えてくる。


「でもステータスの数値だけが全てじゃないよ。ルーシェちゃんと組んでたセシル君も、ステータスで見ればヨゾラ君に劣ってるけど、技術で対抗してるでしょ? それにルーシェちゃんだって、技術的な面で見ればかなり高いと僕は思ったよ。その技術をさらに磨きつつ、レベルも少しずつ上げていけば問題無いさ」

「クレーティオさん……」

「セシル君もルーシェちゃんも弱い訳じゃないんだ。ただ、今回の模擬戦に関しては、一般人から見るとよくやっていたように見えるけど、反省点はかなり多かったね」

「クレーティオ的に今回の模擬戦を分析するとどんな感じになるんだ? 俺とセラフィにも問題点はあったよな?」

「そうだね。じゃあ僕の意見で良ければ話してあげるよ」


 俺達は真面目に話を聞く姿勢になる。


「まず序盤だね。セシル君とルーシェちゃんはヨゾラ君をどうにか突破してセラフィちゃんを先に倒そうとした。この判断自体は間違いじゃないと思うよ。ただ、突破を考えるなら、先にヨゾラ君とぶつかるのはルーシェちゃんじゃなくてセシル君がよかったかもね」

「俺が先にですか? でもルーシェの速度を活かして初手を取る方がその後の対応がしやすいと思うんですが……」

「確かに初手を取るっていうのは大事なことだけど、相手が最初から迎え撃ってくるつもりなら、そこまで効果的にはならないんだ。だったらセシル君が攻めている間にルーシェちゃんが速度を落とさずに走り抜けた方が突破の可能性は高かっただろうね」

「なるほど……」


 クレーティオの丁寧な説明でセシルは納得したようだ。ルーシェもそうすれば良かったんだー、と頷いている。


「次にヨゾラ君とセラフィちゃんだけど、もっと広く場所を使った方がいいね。作戦自体は理に適ってたけど、あれだと無駄に戦闘が長引いちゃうから、出来ることならヨゾラ君は多少動きつつ、それに合わせてセラフィちゃんが攻撃しやすく、かつヨゾラ君がカバーできるように動いてあげると、もう少し攻撃に手数を増やせると思うよ」

「また難しいことを言うのぅ……」

「セラフィちゃんは手数自体は多いけど、それを使いこなせるだけの経験が足りてないね。まあそれは今後身に着けていくしかないけど。ヨゾラ君は信頼の方向性を変えてみようか。信頼してるからきつい状況でも援護してくれるって考えじゃなくて、信頼してるからこそ、多少は何とかしてくれるって考えた方がいい。そうじゃないと、どこかでヨゾラ君が崩れちゃうと思うよ」

「信頼の方向性か……」


 クレーティオの言いたいことは分かる。確かに、今回に関しても序盤は結構ヒヤッとした。セシルとルーシェにアドバイスしたように、ルーシェに突破された場合俺がカバーに入るのは難しかっただろう。それは、俺がいざという時に対しての余裕が無い証拠でもある。

 前衛の俺に掛かる圧力を、セラフィに多少任せることでもっと強固な連携になるということか。


 その後もクレーティオは、今回の模擬戦での反省点や、組み合わせ的に取れる作戦などを丁寧に教えてくれた。

 現状では難しくとも、今後ステータスが上がれば出来そうなこともある。しっかりと覚えておくことにしよう。


 話が終わる頃にはすっかり夜遅くなっていた。


「それじゃあ僕はそろそろ帰らないと」

「クレーティオさん、ありがとうございました!」

「言われたことを活かして、私ももっと頑張ってみようと思います!」


 セシルとルーシェは感動したようにクレーティオにお礼を言う。

 こうして見ていると、生徒と教師のようだった。


「うん、頑張ってね! ヨゾラ君、次に会えるのはいつになるか分からないけど、また会いにくるからね!」

「詳しい話はまた後でな」

「そうだね、待ってるよ! セラフィちゃんも、またそのうちにね! ヨゾラ君を頼んだよ!」

「うむ、任された」


 クレーティオがどうやってルーディスにやって来たかは分からないが、ずっといられる訳じゃないようだ。

 その辺の話は、今日の夜にでもすればいい。ルーディスでなければ会おうと思えば会えるのだから。


 クレーティオが去った後、すっかり酔いも冷めていたので軽く飲み直し、ほろ酔いの状態で俺達は寮に戻った。



自由な女神「数値とかだけ見たら神としては普通なんだよね。僕の強さの秘密は???の部分にあるんだー」

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