閑話:セラフィの出生
昨日に引き続き今日も休日だ。土日のような認識でいいだろう。
酒を飲んでいたこともあり、起きるのが遅くなってしまった。部屋にやってきたセラフィに起こされなければ夕方頃まで寝ていたかもしれない。
起きてまず水を飲んで軽い二日酔いに対抗してから、頭を起こすために顔を洗い歯を磨く。
寝起きの情けない姿をセラフィに見られているが今更だ。セラフィも寝起きは相当だらしないしな。
朝のルーティーンを終えて、俺とセラフィは向かい合って座る。
「では手短に話そうかの」
「手短で終わるような内容なのか?」
「そう言われると難しい気がしてきた。ではなるべく手短に話そうかの」
セラフィは水を一口飲み話し始めた。
「まず精霊という生物がどのようにして生まれるのか――創級、導級と呼ばれる位の低い精霊は、魔力が一ヶ所に一定以上集まると自然と生まれてくるんじゃ」
「普通の生き物のような増え方をするわけじゃないんだな」
「そも肉体というものがないので、番から生まれてくるということがない。精霊とはあくまでも意思のある魔力の塊だと思うていいじゃろうな」
精霊が死ぬ条件として、急激な魔力の消耗とスプリトゥスで調べた時に知った。セラフィが表現した意志を持った魔力の塊という言葉は、死ぬ条件と照らし合わせると的を射ているように思う。要は存在を構成する主な要素が減ればそりゃあ死ぬだろう。人間だって水分が無くなれば死んでしまうのだ。
「次に創級、導級と比べてくらいの高い崇級と呼ばれる精霊じゃが、聖級以上の魔法が行使された際に生まれることがある。と言っても、確率的には相当低いものになるので、儂が聖級の魔法を使った際に生まれたことはなかったが……」
「セラフィは精霊が生まれる瞬間が分かるのか?」
「勿論じゃ」
「そうだったのか。じゃあもう1つ聞くが、位の高い低いっていうのは具体的には何が違うんだ?」
「魔力的な強さはまあ知っての通りじゃ。それ以外には、干渉権限とでも呼ぼうか、世界に対して干渉を許される大きさじゃな」
「難しいな」
「まあ、知っていたところでそこまで意味は無い。おぬしの相方はその最上位なのじゃからな」
そこまで言ってセラフィはドヤ顔する。
干渉という言葉を聞くと、クレーティオとの会話を思い出す。
世界に対して干渉するには、神であろうともそう簡単なことではないらしい。絶対に出来ないという程ではないが、生み出した神の許可が無いとなると、それ程のことは出来ないようだ。
俺をルーディスに転生させたのも、相当の苦労が掛かっているみたいだったからな。
神ですら難しい世界への干渉を位の低い精霊ですら行えると考えると、いよいよ精霊という存在が謎に思えてしょうがない。
もしかしたら、精霊から神になった存在もいるかもしれないな。
「それじゃあ話を戻そう。崇級までは、魔力の高まり次第でいくらでも生まれる可能性はある。そこが儂のような理級精霊との違いじゃな」
「つまり魔力以外の要因が絡んでくると」
「そうじゃ。儂ら理級精霊が生まれる条件は、膨大な魔力の収縮と、理に反する事象変動が起こることじゃ。本来なら起こり得ない事象に抗うかのように、理を突き通す存在である儂らが生まれてくるという訳じゃ」
理に反する事象変動……なるほど、何となく理解した。
俺に関係する、この世界では本来起こり得なかった事象。俺がこの世界に来たということだ。
クレーティオという神により転生する時に膨大な魔力が生まれ、さらには理から反することが起こった。説明通りならば、理級精霊が生まれるのも頷ける。
「ということは、俺が転生した瞬間にはセラフィは俺の近くにいたってことか」
「そうじゃ。産み落とされた儂は、自身の存在がどういうものか、どうして生まれてきたのかを理解した。そして、おぬしについて行こうと決めたのじゃ。まあ、それなりの期間無視され続けたが」
「それは……許してくれ」
「冗談じゃ、別に怒っておらん。ま、そんな訳で儂が生まれたという訳じゃ」
俺とセラフィはこの世界に同時に生まれたって訳か。
話を聞いた後だと、相方という言葉が猶更しっくりくる気がした。同時に、しかも同じ場所で生まれた者が共に生きていくというのは、何だかドラマチックな感じがして軽い感動を覚える。
これも何かの運命だろうか。
思っていたよりもスケールの大きい生まれ方をしていて驚いたが、理級精霊という特性上普通ではないんだろうなとは分かっていた。
しかし生まれ方を聞いて、他の理級精霊が存在するのだろうかと気になる。実際にはいるのだろうが、両手で数える程しかいなさそうではある。
今後理級精霊を見かけたらセラフィに教えてもらうことにしよう。
「話も終わったことじゃし、飯でも食わぬか? 腹が減ってしかたがない」
「それじゃあ食堂に向かうか」
難しい話を切り上げて俺とセラフィは食堂に向かうことにした。
自由な女神「確か前にあった緩和でチラッと出てたよね。すっかり忘れてたけど、ヨゾラ君が転生したのが理由だったんだね」




