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理級精霊

昨日は体調悪くて仕事終わった後に寝てしまって更新できませんでした……

 契約したのはまさかの理級精霊だった。神のように崇められているみたいだが、こうして見ていると聖都の中で見かけた他の精霊とそこまでの違いはないように見える。強いて言えば、発光が強いことだろうか?


「でもまさか理級が出てくるとは……」


 もし聖都でこいつが見つかったらどうなるんだろう。騒ぎになるのは確実だ。それだけならばいいが、研究の為や崇める為に俺自身の身動きが取れなくなる可能性がある。そうなってしまえば世界を変えるどころの話ではない、魔法を研究している余裕なんて無くなってしまうだろう。


「人目の付かない場所に行くしかないか……」


 人にステータスを見せるのは論外だ。街中などでひっそりと過ごすにしてもいつ見つかってしまうか分からない。森の中や山の中は……冒険者という職業がある以上絶対ではない。となると、選択肢は――


「秘境で暮らすか?」


 秘境は冒険者であっても滅多に立ち入ったりしない。それだけ過酷な場所であり、足を踏み入れるなら命を失うことを覚悟しなければいけない。

 だが、仮にこの理級精霊に崇められる程の力があって、俺という優れた肉体があれば可能性はあるんじゃないか?


「まずはこいつがどれ程の力を持っているかだな」


 肩の辺りを飛ぶ精霊を突くと、何か用があるのかと聞いているかのように正面に移動して揺れる。


「どんなことが出来るのか教えてくれないか? 俺はお前のことを何も知らないからさ」


 何が出来るのかを聞くと、精霊は溶けるように俺の中に入っていった。これで精霊魔法を使うことが出来るのだろうか?


 何をしたらいいのか分からないので、とりあえず湖に向けてフォトンレイを放つ。真っ直ぐに水面に着弾したフォトンレイは、当たった場所を軽く蒸発させるだけで終わった。

 使い方がいけないのかもしれないと思い、今度は精霊を意識しながらフォトンレイを放った。しかし結果は先程と同じで、特に強化された様子は無かった。


「言葉が分かんないってのは不便だな……」


 せめてもう少し的確な意志疎通が出来るのならば楽なのだが、精霊は声を発せないみたいなので会話が成り立つことはない。


「いや、いい方法があるな」


 俺は意志疎通をするための最適な方法を思い付き、それを実践するために聖都に向かった。

 幸いにも精霊は俺の身体の中にいるので周りにバレることはないだろう。いつまでこの状態が続くのか心配なので急ぎ足で宿まで帰って来た。


 俺は宿の個室の机に常備されている紙とペンを持って、あいうえおを最初から順番に紙に書き写した。

 部屋に入ったタイミングで俺の中から出てきていた精霊に、その紙を見せる。


「言葉が分かるんだったら俺の質問に答えてくれ。話さなくても文字をなぞってくれれば何とかなるだろ」


 精霊は理解したのか、短く2回点滅する。


「お前にはどんな力があるんだ? どんなことが出来る?」


 俺の質問を聞いた精霊はゆっくりと紙に向かっていく。指示した文字の上で1回点滅して次の文字に向かうということの繰り返しだが、確実に意思疎通は出来ていた。


 こ・と・わ・り・を・は・つ・げ・ん・で・き・る。ほ・か・に・は・き・ぞ・ん・の・ひ・か・り・ま・ほ・う・を・す・べ・て・つ・か・え・る。


 文字を示し終えた精霊は俺の傍まで戻ってくる。

 理を発現出来る。他には既存の光魔法を全て使える。が指し示された言葉だ。


 理を発現出来るというのは良く分からない、字面からして凄そうではある。後半の既存の光魔法なら全て使えるというのは聞いただけで凄いというのが分かった。

 俺が調べていた資料の中に、精霊は自身で魔法を使うことが出来ないと書かれていたが、それを真っ向から否定するような内容だ。既存の物と言ってもその量は膨大だろう、もしかしたら俺よりも強い可能性すらある。


 光魔法に関しては今度見せてもらおう。問題は前半の言葉だ。もっと詳しい説明が欲しい。


「理を発現出来るってのは、実際にはどんな感じなんだ?」


 た・め・し・に・や・っ・て・み・る。さ・か・だ・ち・し・な・が・ら・か・い・て・ん・し・て・さ・ら・に・じ・ゃ・ん・ぷ・も・し・て・み・て。


 試しにやってみる。逆立ちしながら回転してさらにジャンプもしてみてと言っている。あまりの無茶振りに苦笑いが出てしまった。


「いや、流石にそれは無理だ……」


 い・い・か・ら。


 そこまで言うのならばやるだけやってみることにする。

 俺は部屋の物がない場所で逆立ちをした。


「ここから回転して、ジャンプだったっけ……?」


 全く以て出来る気はしないが、とりあえず頭の中でイメージしてその通りに身体を動かす。


「……え?」


 かなり雑な身体の使い方だったと思うのだが、不思議と綺麗に出来ていた。視点が回転しながら手でジャンプしている。自分でもびっくりだ。


 ある程度の所で辞めて俺は紙の上で浮いている精霊の元へ戻った。


 よ・ぞ・ら・の・し・ん・た・い・の・う・り・ょ・く・な・ら・で・き・な・い・ど・う・り・は・な・い。そ・れ・な・ら・か・く・じ・つ・に・で・き・る・よ・う・に・す・る・こ・と・が・で・き・る。


 ヨゾラの身体能力なら出来ない道理は無い。それなら確実に出来るようにすることが出来る。つまり俺自身が考えて動いたとしても出来ないが、身体能力的には出来るのでこの精霊が力を使えば確実に成功するということか。


 簡単に纏めると、不可能でないことなら確実に出来るようになるということか。これは思っていた以上にとんでもない能力だ。

 それならば魔法を生み出すことも簡単に出来るのではないか?


「なあ、生物を擬人化させる魔法を生み出したいんだが、可能か?」


 か・の・う・だ・と・は・お・も・う。で・も・い・ま・は・む・り。ど・う・り・を・つ・ら・ぬ・く・た・め・の・ち・し・き・と・じ・つ・り・ょ・く・が・た・り・な・い。


 俺の中にある知識と実力だけでは不可能ということか。知識は魔法に関することだろう。実力はそのままだ。


 ならこれからやるべきことはレジケル王国で魔法の知識を取り込むのと、ひたすらにレベル上げか。ならばレジケル王国で必要な知識を取り込み終えた後は秘境にでも挑もうか。実力を付けるという意味でも秘境の魔獣はきっと都合が良いに違いない。


 また長い旅になりそうだ。その前に精霊がどこまで戦えるのかを確認しておこう。

 俺は依頼が終わった後ということも忘れて真っ暗な森の中に向かった。


「なあ、光魔法には周囲を照らすような魔法は無いのか?」


 真っ暗で何も見えなかったので何か良い魔法は無いものかと聞いてみると、精霊は発光を強めて5メートル程先まで見えるようにしてくれた。

 これが魔法なのかは分からない。なので俺はもしかしたらと思いステータスを見てみると、MPが30減っていた。恐らく俺のMPを使って魔法を発動したのだろう。

 この精霊が全ての光魔法を使えるのだとしても、MPが俺と共有ならば考えなしに魔法を使わせているとマズイかもしれない。幸いなことと言えば、レベルが上がり俺のMPがかなり増えたことだが。


 しばらく歩いていると、正面からシャドウウルフが3匹現れた。こいつを初めて狩った時に思ったのだが、ウルフの種類が多すぎる気がする。まだルーディスに来てから半年も経ってないのにウルフを3種類も見ている。絶対他にも種類がいそうだ。

 このシャドウウルフは夜行性のウルフであり、こうして夜に生息域に入れば出会うのは珍しくない。


 精霊がどれだけ戦えるのかを図るのには丁度いい。強すぎずに弱すぎないからな。


「魔法でシャドウウルフを倒してみてくれ。出来るか?」


 俺の言葉に頷くように点滅した精霊は俺の前に出てシャドウウルフと向き合う。

 どんな魔法を使うのだろうと見ていると、シャドウウルフの周りに10本の光の槍が出現した。

 シャドウウルフを囲むように出現した光の槍は、一斉にシャドウウルフに向かっていき、容赦なく串刺しにする。威力はかなり高そうだ。


 俺はステータスを見てみると、あんなにも強そうな魔法だったのにも関わらずMPは先程周囲を明るくした魔法と同じ30しか減っていない。


 ステータスを確認していると、音につられてやって来たのか、追加でシャドウウルフが5匹現れた。

 次はどんな魔法を使ってもらおうかと考えていたが、小さな光が高速でシャドウウルフに向かっていったかと思えば、光がその体を貫いてあっという間に倒していた。


「今のは……フォトンレイ、か?」


 見覚えのある魔法、俺が唯一使えるフォトンレイと酷似していたので聞いてみると。そうだよとでも言うように点滅して俺の周りをくるくる回り出した。


 改めてステータスを確認すると、今回もMPは30減っていた。フォトンレイは一発辺りに消費するMPは7なのにも関わらず30減っていることを考えると、精霊が放つ魔法は一律30のMPが持っていかれるようだ。

 それを考慮しても戦力として十分すぎる程優秀だが。


「なあ、今の俺とお前で秘境に挑めると思うか?」


 秘境の恐ろしさを俺は知らない。もしかしたら過小評価している可能性もあった。

 これからパートナーとして一緒に戦っていく精霊に俺は意見を求める。いつかは挑まなければならない。レベル上げをすればそれだけ目的までは遠ざかっていく。なので、出来ることならばレジケル王国で知識を手に入れたらすぐにでも挑みたい。


 俺は答えを待つ。精霊は少しの間俺を見つめるように俺の目の前でじっと動かずに止まっていたが、やがて答えが出たようで、俺の肩に移動してきて点滅する。

 言葉は話せないが、それでも精霊が心配するな、前に進もうと言っているのが伝わってきた。


「そうだな……お前が言うならビビらずに挑もうか」


 方針は完全に決まった。レジケル王国で詰め込めるだけ知識を詰め込めて秘境に挑む。秘境でレベルを上げつつ、魔法を生み出す為の拠点を作ってそこで過ごすことにしよう。

 食料は現地調達で問題ないはずだ。グランバードは普通に食べることが出来るとヒーツが言っていたので、秘境ならば食料に困ることは無い。もし何かあれば一旦秘境を出ればいい話だ。


「明日から移動を始めよう。道中人目に付かない場所での戦闘は期待しているよ」


 翌日、俺は精霊が俺の中に入っていられる時間を気にしながら急いで依頼の報告を済ませて出発した。

 レジケル王国までは大体1月くらいで着けるだろう。レベルが上がって移動の速度も上がっているので、グラヴィウス帝都からスプリトゥス聖国に移動してきた時ほどの時間は掛からないはずだ。


 魔獣が出てくる道も走っていれば精霊が魔法で勝手に倒してくれるので非常に楽だった。

 俺はサクサク進む道中の爽快感を感じながら、この精霊と契約出来て良かったと心の底から思う。これからも長く付き合っていくので是非とも仲良くしたいものだった。

自由な女神「道理かー、使い方次第では神にも届きそうな恐ろしい力を秘めてそう……ヨゾラ君の味方であるのを喜ぶべきだね」

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