セラフィと精霊祭1
更新遅くてすみません……仕事が本当に忙しくて時間が中々作れませんでした。
大きな賑わいを見せていた精霊祭も、今日が最終日となる。
過ぎていくごとにアルジェやヘリコニア達聖女は忙しくなっていったみたいで、あまりゆっくりと話しをする時間が無かった。
アルジェは大聖堂内で挙がってくる報告を聞き、事務処理に追われているという感じで、聖女達に関しては、それぞれ自身が中心となっている出し物への対応や、聖都内の巡回中に声を掛けられていたりと、スプリトゥスの顔としては当然といってもいい忙しさに追われている。
彼女たちのおかげで、楽しい祭りをここまで満喫させてもらった。感謝しない理由はない。
最終日と考えると、寂しさが湧いてくる。まだ終わっていないのに寂しさがあるということは、それだけ楽しめていた証拠だろう。
ただ、当然このままでは綺麗に終わることは出来ない。まだ一緒に祭りを回っていない大事な奴が残っている。
「おーい、セラフィ! そろそろいくぞー」
「うむ、いまいく」
精霊祭最後の日を一緒に回るセラフィ―を部屋まで呼びに行く。
勿論朝食は取っていない。どの道沢山食べることになるので、むしろ食べてしまうと後々響いてきそうだ。
ちなみに、セラフィはしっかり朝食を食べていたみたいだが、もはや一種の魔法具のようなセラフィの胃袋には関係無いだろう。
少しの間セラフィの部屋の前で待っていると、扉が開いてセラフィではなく、サクラが出てきた。
「お待たせいたしましたヨゾラ様。完璧に仕上がっております、本日はどうぞお楽しみください!」
サクラは一礼して去って行く。セラフィの準備を手伝っていたのだろうが、今までこういったことは無かったので、どのようになっているか予想ができない。
セラフィが出てこないということは、俺が部屋に入っていく方がいいということなのだろう。確かにそちらの方が楽しみが広がるし、なんというか――ドキドキさせられる展開だ。
扉に手をかけて開けていく。その先に見えたセラフィの姿に、俺は言葉が上手く出てこなかった。
「ど、どうじゃ? サクラが手伝ってくれたのじゃが、自分ではどうも分からなくて……」
「あ、ああ……よく似合ってる。悪い、なんて言うか……可愛くて言葉に詰まった」
「そうか……ありがとうヨゾラ! おぬしにそう言ってもらえて安心じゃ!」
白いワンピースが清楚感を上げており、羽織るように着ている黒いジャケットが女性らしさを醸し出している。
そして、あくまでも服はその人物を引き立てるものだと言わんばかりに顔が整ったセラフィが、薄い化粧で更にレベルを引き上げつつ、俺に褒められて照れながら嬉しそうに笑っていれば、もう敵はいない。
これまで、セラフィに見惚れさせられたことは何度もあるが、どれだけ見てもドキッとさせられてしまう。
「サクラが折角なら思いっ切りおしゃれをしようと言うてな。準備も全部やってくれたんじゃ」
「いい仕事すぎるな……」
張り切ってセラフィのメイクアップをしているサクラの姿が想像できる。いつの間に覚えたのかは知らないが、今度褒めてやろう。
「それじゃあ行くか。腹も減っただろ?」
「うむ、朝食を食っておらんからな、これ以上は死んでしまう」
「それは言いすぎだろ……」
中身はいつも通りで安心感を覚える。少し緊張していたが、なんだか気持ちが和らいできた。
聖都内は精霊祭最終日ということもあり、かなり混雑している。
ただ、セラフィの存在感がかなりあるせいか、人が少し避けて歩くので、歩きずらいということは無い。
「ここ数日過ごしてみて感じたんじゃが、この国は昔とあまり変わらんな」
「確かに言われてみると変わんないな。レジケルがどうだかは知らないが、帝国はそれなりに変わってたのに対して、びっくりするぐらい似たような感じだ。まあ、そもそも帝都に比べて聖都は過ごした期間が短いから、俺らが知らない部分で変わってるところもあるかもな」
自然を強調しているからなのか、都市の開発は控えめに行われているのかもしれない。
ノーヴィストは秘境という環境にあるという理由で、都市を一気に広げるということは出来ないが、それでも少しずつ広げてはいる。同じ自然の中にある都市でも、基本的なスタンスというか、どう活用していくのかは違いがある。
とはいえ、ノーヴィストは急激に人口が増えているために、都市を広げているが、それももう少しすれば落ち着くだろう。
わざわざ秘境という資源が豊富な環境を破壊することはない。必要なだけ都市を広げていくに留まるだろう。
「まあ、一番大きく変わったとこといえば、確実に聖女という存在の登場だろうな」
「英傑のような存在という認識じゃが、この国の特色を強く出した精霊と親和性の高い強者……まあ、確実にヨゾラの影響で生まれてきたのじゃろうな」
「そう考えると、俺としては嬉しい限りだけどな」
少し前に多くの英傑が敵対したこともあり忘れかけていたが、英傑も聖女も俺が求めていたこの世界の要素に間違いないのだ。
改めて思うと、すっかり異世界らしくなったものだ。
許せるものではないが、先の戦争だって異世界らしいといえばそうだ。
こうして色々と経験してみると、異世界らしさというのもは楽しいことだけではないのがよく分かる。地球にあった物語でも厳しい戦いや苦悩などが描かれており、読んだり見たりしているぶんには楽しいのだが、自身の立場となると流石に喜べはしなかった。
いつか、それも過去にあった思い出となっていくかもしれないが、それは最悪が起こらなかったからであり、今後も起こらないように精進していくとしよう。
隣を歩くセラフィが無事でよかったと改めて思う。もしセラフィを失っていたら、俺は何もかもどうでもよくなって手当たり次第暴れていたかもしれない。
それは、折角の機会を与えてくれたクレーティオにも申し訳ない。
「なあセラフィ、あの店入ろうぜ」
何だかナイーブになってしまい、それを誤魔化すためか、今後への決意のためか、表は普通に振る舞いながらも、セラフィの手を引いて店に向かう。
本来ならば、こういう時はセラフィが先を行ってしまうのだが、自分でこうして行動してしまうのは、掴んでいないとセラフィが何処かへ行ってしまうかもしれないと、何処かで思っているのかもしれない。
ただ、俺に手を引かれるセラフィは、照れたように小さく笑っていたので、たまには悪くないとも思った。
自由な女神「スタートから飛ばしてくね! 流石はメインヒロインといったところか……僕も負けてられないね!」




