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エリオットの話(スパダリ♡)

わたくしは牢獄長を申し渡された公爵令嬢でございます。

作者: ユミヨシ

エストローゼ・ファネッツエ公爵令嬢は、見事な銀の髪で縦ロールが似合う生粋の公爵令嬢だ。


「皆さん。ご機嫌麗しゅう。今日も元気に働いてまいりましょう。」


「はい。かしこまりました。」


周りに控えている、剣を帯刀し、軍服を着ている騎士達は皆、筋骨隆々な、いかつい容姿をした男達である。


男達を激励した後、部屋を出て行くのを見送り、エストローゼは椅子に座ると、カップに手を添え、優雅に紅茶を口にする。


「本当にここは素晴らしいわ。わたくしをここに送り込んだ王太子殿下に感謝を致さねばなりませんね。」



そう、エストローゼは先日、王家に呼ばれて婚約破棄を言い渡されたのだ。


「お前のような高慢な女は私の婚約者にふさわしくない。よって婚約破棄を申し渡す。」


ゼルダス王太子は姿形が美しい金髪碧眼の王太子殿下である。

エストローゼの上からの態度に嫌気がさしているようで、婚約者ながら仲が良くなかった。

顔を合わせれば意見の違いから、口喧嘩が絶えない二人だったのである。


エストローゼは扇を口元に当てて、


「よろしくてよ。婚約破棄。受け入れましょう。」


「お前の顔など見たくはない。ゴゼス牢獄へ行くがいい。」


「あら。わたくしは罪を犯してはおりませんわ。」


「何も入れとは言っていない。王太子命だ。ゴゼス牢獄の牢獄長を命じる。」


ゴゼス牢獄。殺人強盗、罪を犯した囚人たちが1000人、収監されている王都の端にある巨大な牢獄だ。

エストローゼは頷いて。


「わかりましたわ。わたくし、ゴゼス牢獄の牢獄長拝命、喜んで承りたいと存じます。」




ゴゼス牢獄の牢獄長になったエストローゼ。

最初は牢獄を管理する配下の騎士達もエストローゼを馬鹿にした。


「これはお美しい公爵令嬢様。貴方のようなお嬢様に牢獄長が務まりますかな?」

「ガハハハハ。まったくだ。お遊びではないんですぞ。」

「下手したら、囚人どもにいいように弄ばれるかもしれませんな。我々も監視の目が届かぬ所がありますから。」


散々の言われよう。


「おだまりなさい。この牢獄の見取り図をすぐに、後、監視体制もわたくしに報告を。」


エストローゼがバンと机を叩けば、机が真っ二つに割れた。


騎士達が真っ青になる。


「あら、ちょっと力が余ってしまいましたわ。失礼。早く見取り図を持ってきてくださいな。

ついでに新しい机もお願い致しますわ。」


実はエストローゼには魔力があった。

人間が魔力を持っている事は極めて珍しい。


わたくしの母が魔族ですから。魔力を持って当然ですわ。


騎士達は、「かしこまりました。」


と言ってすっ飛んで行ってしまった。



騎士達に牢獄を実際に案内して貰えば、


数人ずつ牢に入れられている、髭が生えて髪がぼさぼさの囚人たちが鉄格子から手を伸ばしながら、


「お、女だ女。」


「極上の女だ。こっちへ来いよーーー。」


「可愛がってやるぜ。ぐへへへ。」


このゴゼス牢獄。実は男性しか収監されていない。

女性は女性で別の牢獄があるのだ。


だから、ほとんどの男性が女性に飢えている。


エストローゼは囚人たちを見渡して。


「何て美しくないのでしょう。」


案内してくれている騎士の一人に。


「そこのお前。名は何という。」


「はっ。私はクリュセルと申します。」


牢獄の囚人たちを管理する騎士達は、騎士と言っても平民である。苗字もなかった。


「ではクリュセル。お前に命じます。あの美しくない囚人たちの髪と髭、毛と言う毛を全てツルツルに剃っておしまい。」


「え??ツルツルにですか?」


「その方が不衛生でなくてよろしい。いいですわね。」


1000人にも渡る囚人達は、毛と言う毛をツルツルに剃る事になってしまった。

それと当時に牢屋の中を徹底的に掃除させる。


心身ともにすっきりとしたお陰で、不衛生な環境は少しは改善された。


エストローゼはバシバシとゴゼス牢獄を自分が思うままに変えて行った。


囚人たちは仕事をしている。

この牢獄は裏山に繋がっており、貴重なエネルギーになりえる鉱石を掘る事が出来るのだ。

だから地下道を通って、毎日交代で、鉱石を掘りに行っている。


エストローゼは騎士達に向かって。


「良い鉱石を取って来た囚人に褒美を与えるように。良い食事と寝床を一週間。それでいいわね。」


鉱石には良い鉱石と悪い鉱石があって、

良い鉱石を多く取って来たものに褒美を与えればやる気がでるというものである。


ゴゼス牢獄の改造はエストローゼにとって楽しかった。



とある日、ゴゼス牢獄に自分を婚約破棄したゼルダス王太子が訪ねて来たので、牢獄長である事務室へ通してやる。


「エストローゼ。反省したか?」


と言うのでエストローゼはゼルダス王太子に、


「楽しくて楽しくて、王太子殿下には感謝しておりますわ。誰かさんの相手をするよりも、肩が凝らなくてすみます。」


「なんだと?相変わらず口が減らない女だな。」


「あら、本当の事を言ったまでですわ。」


するとゼルダス王太子の後ろから、一人の青年が現れた。銀髪で碧眼の輝くような美貌のその男性に見覚えがある。


エストローゼは声をかけた。


「あら、ジークファウゼン・イーストベルグ公爵ではありませんか。このような所に何用ですか?」


ジークファウゼン・イーストベルグ公爵。歳は27歳。

この公爵は、それはもう美しかった。女性にモテてモテて仕方がなく、

言い寄る女性が多いのであるが、社交的な場で、ダンスの相手をしたり、

それなりの付き合いはするのだが、特定な女性との噂も無く、婚約者がいるという話も聞かない。未だ独身であった。

仕事も出来る有能な男であり、イーストベルグ公爵領はこの男の手腕の元でかなり発展し潤っていた。


ジークファウゼンは、エストローゼに向かって、


「エストローゼ。よろしければ私の婚約者になる事を考えて頂けないだろうか。」


「え?わたくしがですか?」


「ええ。そうです。」


ゼルダス王太子は焦ったように、


「エストローゼは高慢ちきなどうしようもない女だぞ。それにお前は今まで婚約者もいなかったではないか。だからてっきり、女性に興味ないのかと。」


チラリとジークファウゼンはゼルダス王太子を見やると断言する。


「今まで私の興味を引く令嬢がいなかったまでです。男性に性的趣向ある訳ではなく、私が好むのは女性です。王太子殿下はエストローゼと婚約破棄されたとの事、是非とも私がエストローゼと婚約をしたい。彼女はとても優秀だ。そして美しい。エストローゼ。」


エストローゼの方を真っすぐ見て来るジークファウゼン。


「どうか私との婚約に良い返事を聞かせてくれ。」


エストローゼは、今まで感じた事のない、胸のときめきを感じた。

今まで、公爵令嬢は完璧であれと、それはもう、高慢にふるまって、見下されないように

頑張ってきたのである。

喧嘩の多いゼルダス王太子の事は好きになれなかった。だが、結婚していずれは王妃になるからには、恋などと甘い事も言ってはいられない。すべてにおいて諦めていたのであるが、


なんて事でしょう。ときめきを感じてしまうだなんて。



それでも、素直になれなくて、つい性格が出てしまう。


「わたくしに婚約を申し込もうだなんて、100年早いですわ。それに、こういう事はお父様におっしゃって頂かないと。出直してきたら如何でしょう。」


ジークファウゼンは微笑んで。


「確かに手順を間違えていたな。解った。お父上であるファネッツエ公爵に話を持って行こう。お美しきエストローゼ。」


跪いて、ジークファウゼンはエストローゼの手を取り、その甲にキスを落とす。


ああ…何だか胸がドキドキするわ。

これが恋というものですわね。



ゼルダス王太子は不機嫌そうに。


「ふん。面白くない。」


エストローゼはチラリとゼルダス王太子を見やり、


「貴方様とは婚約破棄を致したのです。わたくしが誰と婚約を結ぼうと関係ない事ですわ。それとも、もしかして妬いて下さっているとか。」


「はっきり言ってそれはない。」


「そうですわよね。散々、わたくしのやる事なす事、文句を言ってきた貴方様が、今更。」


「当たり前だ。お前は女ながら出しゃばりすぎる。だから牢獄長の役を命じたのだ。

少しは泣きが入って反省するものと思ってな。今からでも殊勝な態度を取るのならば、

牢獄長の役目から解放してやるぞ。」


「あら。楽しんでいるってわたくしは言いましたわ。」


ジークファウゼンが口を挟んで来る。


「王太子殿下。私はエストローゼに婚約を申し込みました。いつまでも牢獄長を務められていたのでは困ります。エストローゼは何か罪を犯したのでしょうか?」


エストローゼはホホホと笑って、


「わたくしはただ、顔を見たくないと王太子殿下がおっしゃったから、ゴゼス牢獄長を務めているのです。」


「それならば、王太子殿下。エストローゼを牢獄長から解任して、屋敷に戻して差し上げて下さいませんか?」


ジークファウゼンの言葉に、ゼルダス王太子は首を振って。


「まだ、私はこの女の顔を、王宮で見たくはない。帰るぞ。」


ゼルダス王太子は背を向ける。

ジークファウゼンは仕方なさそうに、


「エストローゼ。ファネッツエ公爵に婚約の話を持って行くから、色よい返事を待っているよ。それでは。」



ゼルダス王太子と共にジークファウゼンは帰っていった。


ゼルダス王太子の事はむかつくけど、ジークファウゼンの事はもう、婚約を申し込みされて、ドキドキして嬉しくて嬉しくて。


それからのエストローゼはゴゼス牢獄長の執務が手につかない。


今部屋には筋肉隆々の軍服を着た騎士が二人いて、


そのうちの一人、部下クリュセルが心配そうに、


「エストローゼ様。お悩み事でも?我らエストローゼ様が仕事が手につかないようなので心配で心配で。」


「何でもありませんわ。ちょっと考え事をしていたまでです。」


もう一人の部下ライアルも、


「我々で宜しければ、ご相談に乗りますぞ。エストローゼ様が牢獄長を務められる事になってからというもの、この牢獄も大分美しく清潔になりました。囚人達もやる気を出して仕事に励んでおります。良い事です。」


「ライアル。有難う。そうですわね。これは…恋というものかしら…」


「「恋???」」


二人揃ってそんな声が出た。


エストローゼはジークファウゼンの事を思い出すように。


「ええ…美しきお方…わたくし恋をしてしまったみたいですの。」


クリュセルが叫ぶ。


「我らが牢獄長が恋を。これは応援して差し上げなくては。」


ライアルも力強く頷く。


「皆に触れ回ろう。そして応援するのだ。」


二人とも部屋の外へ駆けだしていった。



あら??どういう事??何だか詳細も聞かないで出て行ってしまったわ…



あっという間にゴゼス牢獄の中をその話は駆け回ったようで、

エストローゼが部下の騎士達と牢獄の見回りへ出れば、


「牢獄長っ。応援していますぜ。」

「我らの牢獄長、幸せになってくれよーー。」

「我ら皆、応援していますぜ。」


囚人達から応援のメッセージが飛んでくるのは一体全体。


とても恥ずかしかったが、エストローゼは皆に向かってにこやかに、


「皆さん。わたくしの恋を応援して下さって有難うございますわ。エストローゼ・ファネッツエ公爵令嬢であるわたくしは幸せになってみせます。必ず。」


囚人達や部下の騎士達から歓声があがる。


でも…この婚約話、ちゃんと進むのかしら…

帰ってお父様に確認しないと…


急に不安になってきたエストローゼ。


仕事を終えて屋敷に帰ってまず、父であるファネッツエ公爵の部屋に飛び込んで、


「どうした?エストローゼ。」


「父上。イーストベルグ公爵から婚約の申し込みが来ていませんか?」


「いや。なんの話だ??」


「いえ、何でもありませんわ。オホホホホホホホ。」


嫌だわ。からかわれたのかしら。

公爵令嬢をからかうだなんて、イーストベルグ公爵ともあろう方が…

もし、わたくしをからかったと言うのなら許せませんわ。


一度疑い出すとキリが無くなる。そういうのが人間と言うものだ。



それから、1週間、2週間と婚約の申し込みを待ったのだが、

イーストベルグ公爵は領地に帰っていたようで、あっという間に3週間経ってしまった。

そして、彼は2日前から王都に戻って来たとの事。


ここはしっかりと真意を確かめなくては。


エストローゼは単身乗り込むことにしたのだが、

ゴネス牢獄の筋肉隆々のクリュセルやライアルを始めとする部下たちが、数十人集まってきて、


「牢獄長の心を踏みにじったとは許せませんな。」

「私達もお供致します。」


エストローゼは首を振って。


「貴方達を全員連れて行ったら、牢獄の管理が手薄になります。」


クリュセルが提案する。


「それでは、10名、お供する事をお許し下さい。」


ライアルが力強く頷いて、


「我らは頼りになりますぞ。牢獄長の為なら、イーストベルグ公爵ごとき怖くはありません。」


「有難う。では、参りましょう。」


エストローゼは馬車に乗って、その周りを10名の屈強の騎士達が馬に乗り、王都にあるイーストベルク公爵家へ向かう。


道の途中で豪華な馬車に行く手をふさがれた。


この馬車は見覚えがある。そう…王家の馬車だ。


馬車の中から、ゼルダス王太子が出て来て、叫んだ。


「ここから先は通さぬ。」


エストローゼは、馬車から降りて、ゼルダス王太子と向き合う。


「何故邪魔をするのです。もしかして、ジークファウゼン様と会えないように、妨害致しているのですか?彼を領地へ帰らせたり、貴方様のやりそうなことですわ。」


「そうだ。改めて命じる。エストローゼ。お前と婚約を結び直す。」


「お断りいたします。婚約破棄を馬鹿にしておりますわ。それにわたくしと貴方とでは、意見の相違から喧嘩が絶えないではないですか。わたくしは、貴方様の考え方が大嫌いです。

女性を馬鹿にしたような考え方が。わたくしにはわたくしのやり方があります。

貴方様はわたくしを認めてくれようとしなかった。だからわたくしは、婚約破棄をされて安堵しております。」


「それならば、お前は一生、ゴゼス牢獄長を務めているがいい。ジークファウゼンの妻になれたとしても、公爵夫人としての仕事は出来まい。王宮での社交も茶会も。

ゴゼス牢獄長である公爵夫人とは前代未聞だ。高貴な貴族の夫人としてあってはならぬことだ。」


「それならば、わたくしは一生独身でも構いませんわ。ゴゼス牢獄長、やりがいのある仕事です。わたくしはゴゼス牢獄長として、罪を犯した人達を改心させるためにも、そしてふさわしい罰を与え続ける為にも、一生を捧げますわ。」


成り行きを見守っていた騎士達が、口々に叫び出す。

「さすが牢獄長。一生ついて行きますっ。」

「ああ、なんて嬉しい。有難うございます。牢獄長っーーー。」

「牢獄長万歳っーーー。」


その時、ジークファウゼンが白馬に乗ってさっそうと現れた。


「騒ぎが起きていると聞いて、駆けつけてきたのだが。」


「これはジークファウゼン様。」


ジークファウゼンは、エストローゼの前に来て、頭を下げ。


「本当にすまない。領地で問題が起きてしまって、戻って来たら戻ってきたで、王太子殿下から用事を申し付けられ、なかなか君の父上に会う時間が取れなかった。」


「ジークファウゼン様。」


まっすぐにジークファウゼンの顔を見つめる。


「わたくしは、婚約の申し出をお断りしようと思います。」


「え?何故…怒っているのか?今まで手間取っていた事に。」


「わたくしは、ゴゼス牢獄長をこれから先も務めていくつもりです。それでは貴方様はお困りになるでしょう?公爵夫人がゴゼス牢獄長だなんて…ですから、今回のお話は…」


胸が痛い。でも…これはわたくしの決めた事。それにわたくしは…


「ジークファウゼン様。わたくし、貴方様の事を噂でしか知りませんわ。ですから…今のうちに…」


ジークファウゼンはにこやかに笑って、


「今のうちに?」


「今のうちに…その…わたくしの恋心が…」


ああ、何だか恥ずかしい。こんな事を言うつもりはなかった。

きっぱり諦めるつもりだったのに。


エストローゼの言葉に、ジークファウゼンははっきりと、


「王太子殿下の命なのか?それとも君の決意が固いのか?」


「王太子殿下の命でもありますし、わたくしの決意もあります。」


ジークファウゼンは考え込んでいたが、


「ゴゼス牢獄長、立派な仕事ではないか。

それならば、私は君がやりたい事をやらせてやりたい。君が優秀だという事は聞いていた。だから君の才能を使いたいように使ってくれて構わない。私はそういう女性を応援してやりたい。」


「それにわたくしは…魔族の血も引いているのですわ。公爵夫人のお仕事はどうなさるおつもりです?噂も立ちますわ。」


「ああ、君の母上の事だね。その事も調べて知っているよ。

公爵夫人として、君が手が回らない所は私や母が助けてあげよう。噂?いいではないか。君の仕事は立派な仕事だとう思う。言いたい奴に言わせておけばよい。

君が王太子殿下の婚約者であった時から気にはなっていた。

だが、諦めていたのだ。改めて、どうか結婚して欲しい。エストローゼ。愛しているよ。」


道端で抱き締められた。


わたくしはこの人の事をまだ良く知らないけれども、でも…

この人と結婚したいと強く思いましたわ。


ゼルダス王太子は、


「ふん。つまらん。まことに面白くない。」


そう叫ぶと、馬車に乗り、その場を去っていった。



エストローゼは、結婚するまでゴゼス牢獄長を勤め上げ、牢獄の騎士や囚人達に惜しまれながら、結婚と同時に退職する事となった。国王陛下があまりにも、公爵夫人になるエストローゼに、イーストベルグ公爵家が気の毒だと、退職を命じたからだ。ゼルダス王太子は最後まで反対していた。


そして、王宮でエストローゼを見かける事があれば、事ある毎に絡んできて。

その度に、ゼルダス王太子を冷たく撃退した。


「もう、わたくしと貴方様は関係ないのです。しつこいですわね。」


ジークファウゼン・イーストベルグ公爵は深く知れば知る程、変な人だった。

多忙な日々の中、色々な事に興味を持ち、ともかく体験したがった。


そしてエストローゼも、色々と体験したい。挑戦したい。そういう考え方だったので、

知れば知る程、ジークファウゼンの事が好きになった。


結婚した後、二人の間にエリオットと言う可愛い息子が授かって、

ジークファウゼンとエストローゼはエリオットに色々な事を教えた。

そのせいで、後のエリオットは、女性にモテモテで、素行が悪かったのにも関わらず、

ざまぁをされないスパダリに育つのだが、それは別の話である。


二人は後にエリオットに早めに公爵位を譲った後、あちこちに旅をして、

さらに精力的に人生を楽しんだ。


ゼルダス王太子は、貴族の令嬢の一人と結婚してからも、事ある毎に、エストローゼに執着し、婚約破棄した事を後悔する言葉を側近に良く漏らしていたと言う。


エリオットの御両親のお話でした。王太子殿下は好きな子程いじめたいし,自分より出来が良いのも面白くない。そんなタイプです。

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