37/38
後悔と共に オルドルの手記
後悔と共に
片角羊が考えている。弟子に金色の小鳥を任せて考えている。一人で過去に思いを馳せている。
片角羊が数年前の手記にふれる。
片角羊は、先代番犬に孫の命を預けた。片角羊の願いは確かにかない、先代番犬は記憶を失った。
片角羊は……いや違うだろう。ここでは、この日の光さえ入らない地下では。
オルドルは後悔と共に手記を開く。
先代番犬は、オルドルにとって大切な者の一人だったのだ。
オルドルの手記
頼りない蝋燭の炎だけが、この場所を照らしている。
儂は願いを叶えるため、彼を地下に呼び出した。
孫より少し年上の彼は、儂からの信頼の証、片角羊のタグを首にさげている。
儂らは未来を。
この行き過ぎた理想郷を変える。
現在の儂らにできることは、儂の孫のクローン個体の中でも、感情を持ち得た者を逃すことのみ。
この世界は行き過ぎたのだ。
クローン達は、儂らと同じ生き物。
感情を持ち得る者だという事を忘れてしまっている。
この理想郷も歪な部分がすでにある。
しかしこれ以上の歪みは、理想郷の崩壊を招くだろう。




