番犬
平原の家に光が灯っている。家の中には、イデアル。それからオルドルと、その弟子がいる。
三人は一つの部屋に集まっていた。長いソファーの上に、片角の羊を中心にして座っているようだ。
「師匠、本当に泊まって良かったのですか?」
「良いも何も、弟子だからのう。世話をやくのは当たり前じゃろう?儂もイデアルも歓迎しておるよ」
「そう考えているのは師匠だけです。現に、少女が怯えてしまっているでしょう。牧羊犬は見る人から見れば、恐怖の対象でしかないのですよ」
「お主の場合、実質は番犬じゃろ?」
「それは師匠の警備が私の仕事だからです。師匠のような自由な羊、そうそういてもらっては困ります。弟子の私が師匠の警備になるのは、自然な成り行きだと思いませんか」
「ほっほっほ。褒めても何もでてこんぞ。のぅ?イデアル」
オルドルは笑いながら、イデアルの髪を優しくなでている。そのまま撫で続けていると、イデアルは眠気に誘われたようだ。こくりと頷き眠ってしまった。
イデアルが眠ったのを見ると、今度は弟子の頭を撫でようとするオルドル。オルドルの様子を見ていた弟子は、オルドルから距離をとるため、ソファーの隅に移動した。
「師匠の特技はすごいですね。頭に触れるだけで眠らせてしまうなんて。私を眠らせるのは無しですよ。体調管理くらい、自分で出来ますので」
「ふむ。相変わらず察しが良いのう。もう少し甘えてくれて良いのじゃよ」
「結構です。私の知らないところで、私の補助をしてくれているのでしょう?これ以上師匠の負担を増やすわけには……」
「ほいっ!」
オルドルは弟子の首を叩く。弟子の意識は一瞬で刈り取られた。弟子はソファーから落ちて、硬い床の上に転がっている。
「ふむ。顔でも拭いてやるかのう」
ポケットからハンカチを取り出して、弟子の顔を拭き出すオルドル。拭いた弟子の目の下には、くまが出来ている。
オルドルは、ソファーに眠る小鳥に毛布をかけ。弟子を見ながら呟いた。
「弟子を番犬にするかのう?」




