狼の記憶
リベルテと俺は夜の草原を走る。このまま走れば、朝には洞窟につくだろう。
ふと、後ろを走るリベルテの、足音が止んだ。リベルテは狼だ、このくらいなら平気のはず。
振り返ると、リベルテが立ち止まっていた。俺も走るのを止めて、リベルテに近づく。ほんの少しだが、リベルテは震えていた。
「サンドル、聞いてくれ。頼れるのはお前しかいねぇ」
リベルテはゴーグルを外しながら、俺の目を見る。リベルテの目は不安に揺れていた。俺は黙ってリベルテに頷く。
「俺、記憶がないんだ……」
リベルテの記憶がない?それはどういう事だろう。記憶がないというなら、リベルテは俺のことを知らないはず。だって俺は、半年前にあったばかりなのだから。
「心配すんな。忘れたのはサンドルのことじゃない。平原と森でのことだ」
リベルテの目の揺らぎは収まり。俺のことを真っ直ぐに見ている。リベルテの方が辛いのに、俺が不安がってしまったから……。
「サンドル、言ってたよな。俺を待ってるやつがいるって。俺はそいつに会いてぇ。そんで、記憶の事も隠しとおす。そのために、サンドルの協力が必要なんだ」
「……協力するに決まってるさ。リベルテは俺の仲間なんだ」
「サンドル!ありがとなっ」




