灰色狼と人間の国
黒い羊、迷子になった。白い羊は、家で待つ。
黒い狼、迷子になった。灰色狼あとを追う。
黒い、「お客さん。起きてください。営業時間すぎてますよ」
「……リベルテ?」
俺は夢から覚める。ここは人間の国のカフェだ。こんなところ寝てしまうとは。コルボーと過ごした時間が、俺の野生本能を薄くしていたようだ。
「……すまない。人違いだ」
急ぎ会計をすませて、俺はカフェを出る。大きな家……ビルだな。ビルがたくさん並んでいる。もうすぐ日が沈む。
「この国にいるのか……」
俺はゴーグル越しに、人族の国を見る。リベルテに貸したゴーグルの予備だ。通行人を避けながら、俺はため息をこぼす。
「……あんた、さっきの店の店員だろ。悪かったよ、店の中で寝てしまって」
「いえ、それは大丈夫です。それより、君はリベルテを知っているんですか?」
俺の後ろにぴったりついてくる人間の青年。人間と関わると面倒な事になる。俺は歩くスピードを早めた。青年は必死についてくる。
「あんたには関係ない」
「関係ありますよ。僕はリベルテの友達なんです」
「……そうなのか?」
俺は足を止めた。青年が俺の背中にぶつかる。青年は痛そうに鼻を押さえていた。




