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灰色狼と白羊
時刻は早朝。俺は奥の部屋で目覚めた。熱は収まっているし、体の調子もいい。今ならどこへでも行けるはずだ。
なぜだろうか。奥の部屋から出たくない。この先で見るものが怖い。リベルテとあって、俺は弱い過去の自分に戻ってしまった。
五感はまだ眠っている。俺は目覚めなければならない。灰色狼のサンドルとして、もう一度仲間を探すんだ。
奥の部屋の扉を開け、居間をぬけ、玄関へ。玄関の扉が空いている。一度外に出たら、もう後には戻れない。
俺は外に出ると、少年が小さな墓に花をそえていた。俺に気づいた少年が、墓のことを教えてくれる。
「烏のお墓だよ」
「そうか……」
薄々気づいていた。一日に一度はくるコルボーが、何日も姿を見せなかったから。
「お兄さん。リベルテを迎えに行ってあげて。リベルテ、すぐ迷子になるから」
「……少年はどうする」
「僕は家で待つよ。リベルテは必ず帰ってくるからね」
少年が家の中に入り、コルボーの墓の前にいるのは、俺一人となった。




