灰色狼は夢をみる
いつの間にか眠っていた。黒い狼が遠くへ走っていく。あぁ、行かないでくれ。俺のたった一人の仲間。
「ねぇ、起きてよ」
誰かが俺を揺らしている。まだあの黒い狼を見ていたい。だが、夢から目覚めなければ。
「リベルテはどこ?」
そうだ。俺と同じ狼が、この場所にいるんだ。俺はもう一人じゃない。起きて誰もいないなんて、そんなこともうないんだ。
「いたっ!?」
頭に少しの衝撃がする。俺の前には白髪の少年。彼の額と俺の石頭がぶつかったようだ。
「……大丈夫か?」
「うぅ。お兄さんこそ」
額をぶつけた衝撃で、少年は涙目だ。悪いことをしてしまった。謝らないと。
「ごめん。痛かっただろう」
「僕はこのくらい平気だよ。お兄さんはここで休憩してて、熱がでてるよ」
少年が俺の額を触る。冷んやりしていて気持ちいい。俺は気づかないうちに、風邪をひいていたのか。
「少年はリベルテを知ってるのか」
「知ってるよ。この家に二人で住んでいたんだ。数日前から帰ってこないけど」
「リベルテはどこに?迎えにいかなくていいのか」
「……いつものことだよ」
奥の部屋から少年がでていく。ぱたりと扉が閉まる音が、部屋の中に響いた。




