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群れない僕らの単独記   作者: 朱味三(天墨 咲久楽)
真っ黒羊のリベルテ
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狼の目は琥珀色 真っ黒羊のリベルテ

 俺の名前はリベルテ。自由を愛する黒羊。俺は灰色狼のサンドルに、目を見せてほしいと頼んだ。


 窓の近くに移動するサンドル。ゴーグルの下は琥珀色。俺と同じ色だ。


「……もういいだろう?」


「あっ?……お、おう!」


 サンドルが俺に背をむける。背中ごしでは、その琥珀の目を見ることができない。


「コルボー、先にいけ」


「カァー」


 コルボーが外に飛んでいく。黒い羽が一枚床に落ちた。




 真っ黒羊のリベルテ


 俺の名前はリベルテ。自由を愛する黒羊。サンドルの目は、俺と同じ琥珀色。俺と同じ琥珀色が視線をむけてくる。


「おい、どうした?」


 サンドルは静かに泣いていた。床にぽたぽた涙が落ちていく。


「嬉しいのさ。狼にやっと会えたんだ」


「どこに狼がいんだよ」


 俺を真っ直ぐみるサンドル。そうか、俺は羊じゃないんだな。


「俺も狼なのか。なあ、教えてくれよ。やっと会えたって、どう言うことなんだ。俺達以外に狼はいるんだよな」


 サンドルは、静かに首を横にふる。


「狼は俺たち以外いない。リベルテさえ良ければ、俺を仲間に……」


 サンドルが言葉の続きを言う前に、外からドアを叩く音がした。この匂いは鉄の匂いだ。しかも、嗅いだことのある匂いが混ざっている。


「サンドルはここで待ってろ。ゴーグル貸してくれないか?」


「……別に構わないが、外で何かあったのか?」


「心配すんなよ。見てくるだけだ」


 サンドルを奥の部屋に入れ、俺はゴーグルをかけて、玄関へむかう。玄関の扉が壊される音がした。


「これゃまた、派手な登場だな」


 俺が玄関につくと、そこにはの三人の牧羊犬がいた。牧羊犬が吠えた後がくっきりと、扉に残っている。


「狼がいるはずだ。お前は大人しく外に出て行け」


 一人の牧羊犬が、黒い物体を俺に投げ渡した。それは、冷たい一羽の烏。俺はそっと床に烏をおく。


 俺は牧羊犬の横を通りながら、ゴーグルを外した。牧羊犬の視線が俺に向く。俺は外に、牧羊犬は家の中にいる。


「さあ!追いかけてこい。狼はここにいるぞ!!」

 

 俺は一気に走り出す。後ろを振り返れば、三人の牧羊犬が向かってきている。牧羊犬の武器は鈍器だ。距離さえあれば当たらない。


 正直まだ、俺が狼だとは思えない。だから今、俺に一番響く言葉を。牧羊犬に聞こえない、小さな声で言うんだ。


 ムートンが言ってたあの言葉。


「真っ黒羊のリベルテ」

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