12/38
夜明け前に帰る
ここは人工洞窟の中。俺の隣で白髪の少年が寝ている。少年の名前はムートン、群れに帰らなかった羊。
「これ美味しいよ……リベルテも……」
「夢ん中で何食ってんやら」
今は深夜、ムートンの眠りは深い。出会った当初は、俺に寝顔を見せなかった。
「図太くなったな。誰に似たんだ?」
俺はムートンの頭を撫でる。柔らかな毛が心地いい。こうやって、撫でることができるのは、寝てる時だけになった。
「ほらほらぁ。撫でられちまってるぜ」
俺が調子にのって撫でまくっていると、俺の手が払いのけられる。あぶね、起こしちまうとこだった。
なんだか今日は眠れない。こういう夜は、散歩するに限る。俺はメモを書いて、ムートンの近くにおいた。




