序章、
「好きです」
始まりはたったその一言だった。
私、姫乃 百合姫野 百合レズビアンである。
今まではそのことを隠していた。そう、今までは―
私には、仲のいい友達がいる。それは大橋 美樹ちゃん。
幼稚園のころからずっと一緒で、なんでも話せる唯一の友達だった。
けれど、そんな中。小学5年生のころ、いつの間にか私は美樹ちゃんのことを「友達」として見れなくなっていた。
ひとり頭の中、美樹ちゃんとキスをしたり、ちょっとえっちなことをしたり―といった妄想を繰り広げる。
そう、美樹ちゃんのことを恋愛対象として見るようになった。
最初のころは妄想だけで気が済んでいたのだ。
しかし、年齢が上がるにつれてその想いはだんだん収まらなくなっていた。
そして、中学3年の春、私は勇気を振り絞って美樹ちゃんに告白した。
勿論その返答は×。
「そういう目では見れない」そう言われた。
だけど、そんなことは最初から予測済み。
そりゃ悲しい。悲しいよ?
でも付き合うどか、そういうことはできなくても、想いを伝えられた。今の私はそれだけで十分。
だからといって妄想はやめられそうにないけど。
一応それで、話は一段落着いたのだ。
美樹ちゃんも変わらず話しかけて来てくれるし。
これでいいんだ。
けれど、ただでは済まなかった。
告白の現場を同級生に撮られていたらしい。
それをTwitterで拡散され、学校も名前もバレた。
ネットで叩かれたのは私じゃなくて晒した子達だったけど、学校では私の居場所がなくなった。
そして私は不登校になった。