仮想世界に入ったら、意外と簡単に攻略できてしまった件。
V-TUBERになろう・・・
『マツ知ら』を見て思った。
もちろん『マツコの知らない世界』。
マツコさんが知らないのだから、当然、俺が知るはずもない。
金の匂いがする。
でも一番いいのは、自分の姿をさらさなくても良いこと。
VR技術を使って、自分にCGキャラクターを被せる。
そのキャラクターで、YouTubeにネタを披露。
再生回数やチェンネル登録数で報酬をえるのだ。
ネタはいくつもある。
それに思い付く発想力もある。
小説投稿数300以上、まだ小説にしてないネタはその倍以上。
でも、なろうに投稿しても金にはならない。
だったら・・・
そのネタを映像化すれば・・・
・・・金になる。
自分の姿をさらさずに。
イケメンキャラを作った。
細面でアゴが尖り気味。
実際は丸顔の小太り。
ギャップ、
これは自分の顔を晒す時、自虐ネタにするためだ。
最初のネタはアイデア商品。
自分が発明したモノで、特許も取っている。
アイデアを盗まれたら、困るので。
商品を紹介する映像を取り終えた。
これからが本番。
アプリで人の顔、胴体を認識させ、
キャラクターに置き換えるのだ。
操作は意外と簡単だが、編集ソフトはかなり高額だった。
11。
初日の再生回数だった。
翌日3。
ネタの系統が違うので、こんなものである。
でも、一気にバズることを信じて、
投稿を続ける。
2日に1回、ネタを披露、ネタを披露。
半月たったが再生回数は上がらない。
ネタを披露、
ネタは疲労。
ひと月経っても、再生回数は上がらなかった。
そして、自分にはセンスがない、とようやく気づいた。
ネタのではない。
V-TUBERを選んだことに。
アイデアは絶対にウケるはずだから。
ふー、とため息をつく。
冷蔵庫からコカ・コーラを取り出す。
良く冷えている。
キャップをはずと、ぷしゅッと音がする。
このCO2は問題にならないのか、と思いつつ、
のど越しを楽しんだ。
それから、コーラを突き上げた。
ネタがバズったのをイメージして。
そうすれば金が入る。
俺は疲労した心を再生させようとした。
もう一度コーラを突き上げる。
優勝したように。
コカ・コーラが協賛している2020年東京オリンピックで、
金メダルを取ったかのように。
もう一度、コーラを突き上げた時、背筋に電流が流れた。
ひらめいたのだ。
東京オリンピック。
金メダル。
優勝。
コカ・コーラ。
VR技術。
その答えがトロフィーだと。
二か月後、アプリは完成し、
某飲料メーカーにアプリを売り込んだ。
そして、契約は成立した。
契約金100万円、1ダウンロードX円。
最初はこの数倍の契約金を提示されたが、俺は断った。
でもそのかわり1ダウンロードの価格を上げてもらったのだ。
大ヒット間違いないので、そうして方が金になるからだった。
アプリをダウンロードした人はすぐにインスタに上げた。
彼ら、彼女らはなぜかトロフィーを掲げていた。
『優勝ッ、彼氏ゲット!』
とかのコメントとともに。
そう、そのアプリはコカ・コーラをトロフィーにするアプリだった。
VR技術を使い、ペットボトルのコカ・コーラをトロフィーに変換するだけ。
つまりV-TUBERの応用だ。
俺がコカ・コーラのペットボトル、
キャラクターがトロフィーというように。
その名はVートロフィー。
ヴァーチャルとビクトリーのV。
ダウンロード数はすでに100万を超えた。
開始して3日目のことだった。
そして調子にのった俺は、第2段としてトロフィーではなく、
ライトサーベルにするアプリを提案した。
ペットボトルを振ると画面の映像には、ライトサーベルが振られていた。
面白いと言われたが、丁重に断られた。
ある意味当然だった。
炭酸飲料を振り回せば、・・・
しかし、優勝後のシャンパンファイトになると付け加えたのだが。
2020年東京オリンピックが楽しみだ。
どれだけダウンロードが伸びるのか。
数千万、数億・・・
それにオリンピックだけではない。
子供の野球、サッカーの試合。
ピアノやバイオリン、カラオケのコンクールでもいい。
それに大人のゴルフコンペ。
こうして、俺は仮想世界を意外と簡単に攻略できてしまったのだった・・・
もちろんこれは、仮想の話。
いわゆるこれは、夢オチではなく、仮想オチ。
でもまあ、これくらいのことは簡単・・・