ダイエット
私はもう何年も体重が変わっていない。
かつてはウエストは100を越え、体重も100近かった。
自覚は無かったが暇さえあれば酒を飲み、お菓子をつまみ、運動といえばその食べ物や飲み物の買い出しくらいだ。
近所に利便性の高いコンビニやスーパーがあったのも1つの要因だと思う。
何より食べるのが好きだ。
酒で酔い潰れてベッドにダイヴする時なんて最高の瞬間でしかない。
このまま好き勝手飲み食いできればもう何もいらないと思えた。
だが体型が変わるにつれ、1つ問題が生じ始めていた。
それは服だ。
ユニク○で服を調達しようにもサイズが無い。
特にパンツなんて股ズレが頻発してすぐに破れてしまう。
ベルトなんて邪魔でしかなく、普段着る服なんてゴム紐のジャージばかり。
髪もボサボサで風呂には毎日入っていたが、見た目だけで汗臭く見える。
服も近所の買い出しくらいなので洗うのも半月に1回くらい。
その生活ぶりは人というより家畜か何かだったと思う。
また、年齢を重ねるにつれ、もう1つの危機感が生じた。
このまま1人で生きていくつもりか?と。
端的に言えば寂しいである。
容姿も収入も決して良くない。
何より自信を持てないからその辺りに無頓着だ。
いや、無頓着を装っていた。
交遊関係も社会人になってから乏しくなる一方で、異性どころか友達もほぼいない状況。
今はこれでもいいかもしれないが、10年後の自分の現状を想像するとゾッとした。
何のために生きているのか分からなかった。
食欲のために生きるにしてもこのままの食事を続けた場合、体重は増える一方でいずれは糖尿病などになっているかもしれない。
現在唯一の生き甲斐を奪われるかもしれないという危機感。
それがきっかけだった。
まず食生活の改善からだ。
今までは食べたい物があれば空腹も満腹も関係なく食べていた。
美味しそうだと思えば買って食べる。
暇でなんとなく口寂しいから食べる。
予定も無いから酒にも手を着ける。
そういう物に限って調理の手間もなく、すぐに食べやすい。
だからそれらを食べるのを止めよう・・・とはしなかった。
ダイエットするに辺り、何が良いかと色々調べてみた。
その時話題立ったのは糖質ダイエットだった。
要するに糖に該当する食べ物を止めましょう。
すぐに思った・・・無理だと。
白米が無い食生活なんて考えられない。
アイスクリームが食べられないなら死んだ方がマシだ。
アルコールは・・・まあ控えるようにしよう。
つまり今食べている物の種類を変えるなんてできない。
運動なども調べてみた。
運動そのものは嫌いではないが、そこまでハードなモノではすぐにイヤになる。
某黒人の大佐のエクササイズなんて論外。
ジムもお金がもったいない。
ならばどうするか。
一言で言えばカロリー制限だ。
レコーディングダイエットというものに着目した。
食べた物を書くだけというシンプルなモノ。
これの利点は食べ過ぎを数値化できることだ。
ダイエットにおいて数値はわかりやすいバロメーターとなる。
目標にもしやすいので、まず1週間は食べる物は変えずに書くだけにした。
すると、段々と増加していく1日の摂取カロリー量にドン引きした。
私の摂取カロリー、高過ぎっ?!である。
1日平均3500カロリー程度摂取していたのだ。
肉体労働している男性でも若干摂りすぎなくらいの値になる。
それは確かに太ると改めて実感した。
故にまず1日平均のカロリーを2000~2500程度にする事から始めた。
3合炊いていた白米を2合に変えた(約500カロリー)。
晩酌の缶チューハイを1本減らした(約250カロリー)。
毎日2つ食べていたアイスを1つにした(約250カロリー)。
元々食べ過ぎだった分、ある程度は簡単に減らせた。
また、カロリーの数値化がきっかけで菓子パンなどの買い食いもしなくなった。
奇しくもカロリーの大半を占めていたのが糖質に該当するモノばかりで、実質的に糖質ダイエットになっていた。
メニューもカロリー的にコスパの高い物の頻度を高くした。
元々好きなものでメニュー構成したので不満は無かった。
特に豆腐には大変お世話になった。
麻婆、味噌汁に肉豆腐。
体重が変わらなくなった今も変わらない頻度で食べている。
しばらくすると体重に変化が現れた。
大体1週間に1キロ程度体重が減っていくのだ。
元々体重が100近かったのもあり、みるみる減っていく。
肉圧で伸びた革ベルトの穴に余裕が生まれ始めた。
3ヶ月が経つ頃には体重は80後半まで落ちたのだ。
とりあえずの目標が80キロを下回る事なので、半分まで達成したことになる。
ここから減量が緩やかになってきた。
いわゆる停滞期というものらしい。
ここまで順調だったのでこのままのペースでいけるところまでいきたい。
なので、次の手を打った。
運動である。
どんな運動をすれば良いか調べてみた。
結論から言えば筋トレだった。
ジョギングやウォーキングのような有酸素運動は消費カロリーが時間と自重に比例するらしく、あまり効率的ではない。
効率を求めるなら何が最もカロリーを消費しているのかを理解する必要がある。
それは基礎代謝。
普通に生きるだけで最低でも1500カロリーは必要となる。
一方で激しい運動を重ねても1000カロリーも消費できない。
また、そんな運動は継続できない。
故に求められる運動は継続できて基礎代謝の向上・維持が見込めることが前提条件となる。
つまりカロリーが必要な筋肉を増やせばカロリー摂取量をこれ以上削る必要が無くなるのだ。
別にゴリマッチョになりたいわけではないし、あれはあれで筋肉を維持するためにむしろ食べなくてはダメらしいので適度に軽くできればそれでいい。
では具体的にどんな筋トレをすれば良いのか。
それはスクワットと腕立て伏せだ。
どちらも30回を1セットだけやることを目標に取り組んだ。
スクワットは案外簡単にできた。
しかし腕立て伏せは10回も出来なかった。
できないことはあまり問題では無いらしい。
むしろ正しいフォームで使用している筋肉を意識する事の方が大事なのだそうな。
とりあえず2日毎に1セットずつ、回数ができなくても1セットだけこなした。
余裕ができたら1回ずつ増やしていく。
スクワットはすぐにできたので最終的に50回まで増やした。
そこからさらに3ヶ月経つと体重は80キロを下回るようになった(日によって2~3キロ前後するので大体1週間の平均で現体重は出している)。
この頃になると服の股ズレ頻度が劇的に下がった。
むしろほとんど無くなった。
サイズ的に買えなかったユニク○のパンツなども買えるようになった。
80キロを下回り始めると体重の落ち方も緩やかになってきた。
どうやらここから先は食事を減らすか、運動量を上げる必要があるようだ。
私は結局これ以上の節制は難しいと判断して、現状を維持することを決めた。
最終的に健康を損なう事もなく肥満から脱出することに成功した。
最終的に約20キロ痩せたことになる。
そこからは増えも減りもしなくなったので、たまに暴飲暴食する程度に食生活を楽しんでいる。
無理の無い範囲で時間を掛けて痩せたせいか、達成感は無いがやって良かった。
次は何をやろうかな?