ルネ・デフォルト氏の第六十感的提案《ンな浪士版》 宇宙主婦ウルマプロトタイプ
結構・な浪士47人の躁鬱の第1話です。
★夕方ニュースが流れていた。
「今日、明石沖に隕石が落下。そのため明石名物のタコ十数匹が犠牲になった模様
です」 ドンドンドン!
「うるさいな。玄関にはチャイムがあるのに」
弘は文句を言いながら、階段を降り、玄関に向かった。
ドンドンドンと叩かれるたびに、玄関のドアが大きくきしんでいた。
「止めろ、そんなに叩かなくっても……」
弘が言えたのはそこまでだった。
玄関のドアが激しくぶっ壊れた。
変な三人組が突っ立っていた。
「何だ? お前ら……」
「ウルマです!」女みたいなのが言った。
「ゴジャランれす!」小さいのが言った。
「ガウガウガウ!」でかいのが言った。
「うちの旦那が、ドアを壊してしまってすみません」
女みたいなのが謝った。
弘はあまりにも異様な方訪問客に目を白黒させていたが、急
に目を輝かせた。
「お前らの正体、分かったぞ!」
「ドッキリカメラだろ!」
そう言うなり弘は三人の間をすり抜け、外へ出た。
「テレビカメラはどこだ?」
「テレビカメラ?」
「分かってるんだ。お前ら円らな瞳プロの着ぐるみを被ってるんだろ?」
弘は三人組を身体をジロジロ見てチャックを探した。
「どうした? どうした!」
弘の父さんと母さんがドタドタとやってきた。
「お部屋を借りたいのですが……」ウルマが言った。
「ウチ、アパートじゃないんだけど」と母さん。
「構いませんわ。お借り出来ますか?」
ウルマはやんわり断られたことを無視した。
「どうします?」母さんが父さんを見た。
「何か身分を証明するものはあるかね?」
「宇宙船運転免許証でいいかしら」とウルマ。
「宇宙船?」弘は聞き返した。
「ええ。エンジントラブルで明石沖に不時着しちゃたもんで、ジャロが来るまでの間、
お部屋をお借りしたくて…」
「明石沖に落ちた隕石のニュースって……」
弘は父さんに目をやった。
「どうも、そのようだな」父さんは大きく頷いた。
「緊急事態で不時着したもので、この星のことは何も分からないのです。
お願いです。お部屋を貸して下さいな」
「でも……宇宙人って、あなた……」母さんが不安そうに父さんを見た。
「まあ、素敵なネクタイですこと! お父様のご趣味は何て素晴らしいのでしょう」
ウルマが見え透いたヨイショをした。
「ウホン。いいだろ。身分証明証もあるし……」
「もう、あなたったら、ヨイショに弱いんだから」
「ねえ、とってもお若い奥様、よろしいでしょうか?」
「あら、宇宙人からみても私、若くみえる?」
「もちろんですわ。奥様の若さは宇宙的ですわ」
「そうね……。お家賃さえ払っていただければ、いいわよね、あなた」
「分かりました。お金、用意したします!」
そう言うなりウルマは二人を引っ張るようにして飛び出していった。
「大丈夫かな」弘は心配になった。
しばらくするとウルマ達が戻ってきた。
「奥様、これで足りるかしら」
ウルマが両手一杯に抱え込んだ札束を見せた。
「ま、素敵! 何日でもいてくださって結構よ!」
何だか家の周りが騒がしくなってきた。
「貴様らは完全に包囲されている!降参して金庫を返すんだ!」
ウルマは銀行を襲って金を盗ってきたのである。
こうして宇宙家族ウルマ一家との付き合いがはじまったのであるが、宏
達一家にとってそれは宇宙規模の迷惑以外の何ものでもなかった。
みんなで作ろうアンソロジー!