君と過ごす初めての冬
「もう冬だな。」
やっと、捻り出した言葉。
話題が浮かばないほど緊張している俺を
ひとつ年下の彼女に気付かれないだろうか。
「そうですね。」と
彼女は俯き気味に微笑んだ。
照れたようなその笑顔が俺は好きだ。
もっともっと見せてほしい。
彼女の笑顔を引き出す余裕もなく、
何か話すことを探して目線を泳がせると、
俺をじっと見つめる愛しい彼女が居て。
(あー、駄目だ)
そう思った時にはもう、
彼女を抱きしめてしまっていて。
(手も繋げてないのに、順番が違うだろ…)
そんなことを思うと、
わけのわからない言い訳をしていて。
こんなに情けない俺にでも、
彼女が耳まで赤くしているうちは
まだ男らしく振舞えているのだろうか。
『貴方と過ごす初めての冬』
の彼氏目線versionです。
こちらも初々しいようで。