豆撒き
「鬼はー外」
「福はーうち」
ちびっこが二人バラバラと豆を撒く。
教えてもらった型通りの言葉。
二人は何度か繰り返してから動きを止めた。
「ねぇ鬼ってなぁに?」
疑問を口にすれば、もう一人がわからないなりに答えを探してみつけた気分になった。
「んー。おにーちゃん?」
「おにーちゃん、お外なの!?」
ちびっこたちにはおにーちゃんがいた。
「そうだよ! きっとおにーちゃんはお外なの!」
「おうちに入れちゃダメなの?」
「おにだもん! お外だよね?」
自信が減ってきて確認。
「じゃあ、おにーちゃんはお外だね」
「福はうちだよ。フクってなぁに?」
「およーふく? それともおサカナ……。わかった! 今日はフグさんを食べる日なんだ!」
その後、二人の誤解が解けるまで兄達は家に入れないところだった。
「なんで、ぼくが最後まで入れないんだよ!」
「一番上のおにーちゃんだからー」
逃げ回る弟妹を鬼の面で追い掛けては逆襲されて。
ある家庭の豆撒きが更けていく。
「おにーちゃん、まきまき食べよー」
「先食ってなー。掃除したら行くからさ」
「お手伝いするー」
「まきまき食べる前に眠くなっちゃうぞ〜。おなかすいてないのか?」
「ばーか。一緒がいいんだよ。あとで手伝うから一緒に食べるぞ」