2年前 Ⅵ
ヴァンパイアは消えた。しかし、そのスキを突かれ未來は背後に迫っていた人のような顔に大きな蜘蛛の体をもつ悪魔スパインダーから一突きを浴び消えた。
「っ…」
背後で透けていく未來の体を見て黒フードは言葉を失った。
黒フードはその場に崩れた。
神たちは人を一人でも生き残らさせるために必死に黒フードを護った。
黒フードは自暴自棄になっており完全にもぬけの殻だった。
「よしっ! 終わった!!」
ゼウスのジジイボイスが響いた。
神軍は一気に表情を明るくする。
ただ1人、黒フードを除いて。
「大いなる光は敵を討つ。いけっ!!
滅封印」
両手を悪魔軍の方へ向け喉が裂けそうなほどの声で叫んだ。
「なっ!!」
サタンは驚き、表情を凍らせた。
それから自分の最後を悟ったのか悪あがきの如く技を使った。
「最大火力! 光を覆う闇"ラバーブルダークネス"」
無機質な声とともに深淵の闇が神たちを襲う。
闇に触れた神は次から次へと体内から破裂し実体を失っていく。
そしてその闇は黒フードまで届こうとしていた。
「あぶねぇーぞ!」
ロキは悪あがきをしている他の悪魔を狭い範囲に留めるべく攻撃しながら叫んだ。
しかし、その叫びが黒フードの耳に届くはずもなくその場に崩れ落ちたままだ。
「チッ!」
何処からともなく舌打ちが聞こえた。
「巻き添えごめんだ。下界じゃ剣技だっけな。
龍滅斬り」
ホルスは右手に下げた剣を振った。
そして闇を打ち消した。
しかし案の定、黒フードも巻き添えをくらい額から血を流した。
その内にゼウスの滅封印が悪魔軍を多い、部下が樽を持ってきた。
「はぁーーー! とりゃぁぁぁぁぁ!!」
ゼウスは手を樽の方へと動かした。
それと同時に悪魔軍を覆った滅封印も移動し樽の中へ入っていった。
「ふぅー、完了」
部下が樽の上に大きな石を乗せるのを見てゼウスは呟いた。