続く闘い
荒地を駆け巡り黒フードの男はある場所を目指していた。
「間に合えよ」
自分に言い聞かすかのように呟き更にスピードをあげた。
ここは影世界、ネロシティとツインムーンタウンの中継地であるマネス。
双月祭りの時は活性化するがそれ以外のときには静かな街だ。
そこに1人の女と2人の男がいた。
黒髪ポニーテールの女、工藤リビョンに茶髪のチャラそうな男、多磨、剣を腰に差している誠実そうな男、数夜。
「結構時間経ってるのにわいらほとんど敵と遭遇してなくない?」
多磨がぼやいた。
「そんなもんだろ」
数夜が答える。
「来たわよ」
空気を一変させる女の声が轟いた。
「リビョンどこだ?」
多磨のその問いに工藤は黙って前方を指さした。
そこには黄色のタスキをした人が2人いた。
「スラッシュ!」
瞬く間に腰に差した剣を抜き居合切りの如く空をきった。
キンッと音がし、それとほぼ同時に斜め後ろ方向からドンっという轟音がした。
「な、何!?」
工藤は目を見開く。
「銃弾だ」
数夜は剣を一払いし鞘に戻した。
「あいつらは?」
多磨は訊く。
「分からない」
「敵よ」
数夜が曖昧な返事をするや否や工藤が素早く断定した。
「私たちも攻撃よ!」
四の五の言わせず工藤が攻撃準備を指示した。
来るっ!
エドワードは震えが止まらない。
死にたくない…。まだこの人たちと一緒にいたい!
心の中でそう思っているが体が言う事を聞かない。
「うぎゃゃー」
そんなことを考えていると耳障りな声が情けない咆哮をあげていた。
エドワードは恐る恐るつぶっていた目を開けた。
そこには桜が魔法"光道"を放った姿があった。
「大丈夫!?」
慌てた声で訊ねる。
「え…、大丈夫です」
驚きのあまりタジタジの返事をする。
「うぉぉぉぉぉぉっ! 稲妻雷!!」
タクトが叫ぶながら技を発動させる。
剣全体に電気が帯びる。さらに、放電し辺り一面の空気がバチバチするのがわかる。
タクトが剣を振る。
電気を帯びている空気が振動を受けさらにバチバチが大きくなる。
もはや人間の身長の高さで雷が落ち続けているみたいだ。
「ゴゴォーーン」
それがドリトーの背中に幾度と襲う。
「り、リダーン」
指先を天に向け稲妻雷で痺れながらも叫んだ。
刹那、ドリトーを襲っていた雷撃が消えた。
タクトの技が解除されたのだ。
打つ手無しとなったタクトたちはエドワードの前に立ち塞がるように立った。
「お前は死なせねぇーよ」
囁くようにタクトは呟いた。
エドワードはあまりに嬉しく思わず目頭を熱くした。
そんなタクトたちに近づく1つの影があった。