表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影(シャドー)を制する英雄  作者: リョウ
第1章 〜影世界〜
3/137

"大天使 ミカエル" 登場

 5秒間ほど輝き続けた白い光の中から小さな女の子が現れた。

 背は140cmくらいで、艶のある金色の髪の毛をまっすぐおろしており長さは肩よりかは、少し長いくらいだった。

 また服は白いワンピースを着ており、白い細い手と脚が惜しげなく出ていた。 そして、胸の前には小さな薄ピンク色のリボンが結んであった。


 タクトは驚きのあまり口をぽかーんと開けたまま、その小さな女の子を見つめていた。


「こらこら、あんまり見つめないの」


 ウインクしながら挑発するように女の子は言った。

 タクトは、何がなんだか分からなくなり目を点にしていた。


「それじゃあ、ようこそ!! 影世界(シャドーワールド)へ!!」


 元気いっぱいのスマイルで女の子は、ハジけるように言った。

 タクトは、自分の声とは思えないほどかすれた声でシャドーワールド、と呟いていた。

 それに対して女の子は、無邪気な笑顔でこう言った。


「そうだよー。ここは脳死状態の人やお医者さんに『2度と目が覚めないでしょう』とか言われた人が誘われるところなの!!」


 それを聞くや否やタクトは、


「ちょっ、ちょっと待て!」


 自分でも驚くほどの反射スピードで叫んでいた。

 それに対して女の子は、未確認生命体でもみたようにタクトを見つめ首を傾けた。


「脳死? 2度と目が覚めない? 何言ってんだよ!!  おれはここで生きてるじゃねぇーか!」


 タクトは、自分が今まさに死んでしまうのではないかという不安を消し去るために心の底から叫んだ。


 女の子は、ゆっくりと目をつぶり小さく首を横に振った。

 まるでタクトの存在意義を否定するかのように……。


「君がここで目覚める前の最後の記憶はどこ?」


 小さくささやくように訊いた。


「えっと、クラスメイトとアイスを食べて補習だって言って別れたところ…」


 語尾を濁らしながらタクトは答える。


「その後、君は大型トラックにはねられたの。

でも、君はその時のことがショックで記憶されてないの。

人間ってのは自分勝手な生き物でね、都合の良いように記憶を勝手に変換しちゃうの」


 目尻にうっすら涙を浮かべながらもどこか呆れた様子で女の子は言った。

 タクトは、鼓動が速くなるのを感じた。


「じゃ、お、おれは脳死なのか?」


「うん……。でも、この世界をクリアすると君は本当に目覚めることができるよ!」


 女の子はできる限りの笑顔を浮かべてくれながら言っていたが、表情までは変えられず曇っていた。


「ど、どうすればいいんだ?」


 タクトは、必死になり体を前に押し出して聞いた。


「それじゃ、今からこの世界のことについて説明するね」


「お、おう」


 タクトは、反射的に反応した。


「まずは自己紹介! 私の名前は"大天使 ミカエル"です!」


 元気を取り戻した女の子ことミカエルは、この短い間で1番輝いた笑顔を浮かべて自己紹介をした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ