双月祭り Ⅳ
桜と工藤が戦闘から姿を消したことにより互いにバランスが崩れた。
未だ硬直状態が解けないタクトと数夜。
弓を放ったままの状態でいる多磨。
その隙を突く様にクリアネットは精神干渉術である千年歌を発動させた。
タクトは発動と同時に後ろへ下がり硬直状態を解き、眠りにつかないように耳をふさいだ。
タクトとクリアネットは勝ったと確信した。
しかし、数夜が、「魔法破壊」と叫ぶや否や、クリアネットの千年歌がかき消された。
「なっ!!?」
タクトは驚きの声を漏らす。
「甘かったな、銀髪チャン」
クリアネットを嘲笑うかのように数夜は言い放った。
「炎矢!」
クリアネットの動揺を狙い、多磨は矢を放った。
タクトはその間合いに入り込み叫んだ。
「回転斬り(ロールスラッシュ)!!」
体を右へひねり、思いっ切り剣と体を回す。
ビュンビュン。
剣が空を切る鈍い音が会場に鳴り響く。
キンッ!
金属と金属が触れ合う時に鳴る独特の音が響き、炎に包まれていた矢が斬り落とされた。
「やるねー」
余裕を見せる多磨。
「きゃぁぁぁぁ!!!!」
突如、アニメ声の悲鳴が後ろから聞こえた。
瞬時に後ろを振り返ったタクトの表情は一気に青ざめた。
クリアネットが消えていくその瞬間だったのだ。
タクトが多磨に集中している間に数夜がクリアネットを斬ったのだ。
タクトは叫んだ。
「くっそーーーー! ふざけんなよー!!! 許さねぇ…!」
怒りの赴くままにタクトは剣を握った。
「正面突き(ストレートストライク)」
怒りで震えた声でそう叫ぶタクトは数夜めがけて真っ直ぐ剣を突いた。
余りに速く、数夜の油断もあってかよけることもできずにタクトの攻撃は数夜に刺さり、消えた。
そのままタクトは多磨へと向いた。
そして不敵な笑みを浮かべて地面を蹴った。
多磨との間合いを詰め斜めから斬りかかった。
相手は弓使い、だから防御はできない。
そう思ったが多磨の武器は槍に変わっていた。
「わいは二刀流や」
多磨は不敵に言い放つと斜めから斬りおろしたタクトの攻撃を受け止めた。
そしてタクトの剣を弾いた。
「チェックメイト」
そう短く告げると多磨は自分の目の前で槍を回した。
槍が光る。
技か…。
音にもならない声でタクトはつぶやいた刹那、タクトは多磨の攻撃を受けて消えた。
タクトチーム 0人。
数夜チーム 1人。
数夜チームの勝ちで第8試合の幕が閉じた。