週末バトルロイヤル Ⅷ
3人はネロシティのタクトと桜が泊まっている宿屋で一晩過ごし次の日の週末バトルロイヤルに備えた。
―次の日―
3人は朝から元気よく街の外へ飛び出そうとした。
しかし、タクトの剣が刃毀れしていることに気がついた。
「これどうすっかな」
少し焦ったように言うタクト。
それに対してクリアネットが冷静に述べた。
「その剣を買った店に持って行ってみれば?」
「そーするかー」
気の抜けた声で返事をするタクト。
「ルールベットの店ね!」
桜は元気よく応えた。
そうして3人はルールベットの店へ向かった。
「いっらっしゃい♪ 久しぶりね♪ タクトくん、桜ちゃん!」
ソプラノボイスの小さな女の子ことルールベットは笑顔で言った。
「おう! 久しぶり!」
「久しぶり、ルールベットちゃん!」
タクト、桜の順に挨拶を交わした。
そして隣からか弱い声が聞こえる。
「は、はじめまして。えっと、クリアネットです」
「うん、はじめまして。ルールベットです♪」
それに対してルールベットは笑顔で応えた。
「でだ、ルールベット」
そう切り出したタクトは腰に差していた剣をルールベットに見せた。
「昨日の戦いで、すっげー刃毀れしちまった。治るかな?」
不安げな表情でルールベットに訊ねた。
「うーん、多分治るね! でも、時間かかっちゃうけどいい?」
ルールベットはタクトに聞き返した。
「ああ。それは大丈夫だ!」
喜びの表情を隠すこともせず笑顔で応えた。
「よかったね、タクト!」
桜も嬉しそうに言う。
クリアネットは無言だったが顔にはよかったねというのが滲み出ていた。
「じゃー、今日は週末バトルロイヤル参加できねぇーな」
タクトは少し残念そうに言った。
「何言ってるの? タクトくん。 今から代理剣渡すんだよ?」
ルールベットは真顔で言う。
「だ、代理剣?」
「うん。」
短いやり取りの中にタクトは驚きを覚えた。
車検とかになると代車が来てたが、こっちにも似た制度があるんだな…。
心の中でそう思ったタクトはルールベットが差し出した代理剣を受け取って腰に差した。
「ちなみに壊すと弁償ね♪ 後、相当安物だから無茶するとすぐ壊れるよー」
天使のような笑みのソプラノボイスのルールベットは手を振りながら言った。
はぁー、タクトはため息をついてその場を離れた。
「今日、どうする?」
クリアネットは訊いた。
「さぁー。軽く1戦だけしに行くか?」
タクトは軽くノリで応えた。
「そうね」
桜は賛意を示して3人は街の外へ出た。
街の外へ出てすぐに男女の2人組を見つけた。
「よぉー、戦闘やろうぜ」
タクトは戦いに飢えたケモノのような笑みで言った。
「ふっ、いいぜ!」
やたら大きな声で返事をする男。
それに対して桜とクリアネットは落ちついた様子で滑らかに告げた。
「戦闘開始」
それと同時にクリアネットは口を開いた。
「千年歌」
すると男女2人はその場で規則正しい寝息を立て始めた。
「ふぅー、ちょろいわ」
クリアネットはサラリと言う。
「やっぱりその能力すごいわね」
桜は何度見ても慣れないという感じに言う。
「まぁね。1人は貴方たちにあげるわ」
そう言うや否やクリアネットは女の心臓めがけて常時保持しているダガーを刺した。
女は消えた。
「え、エグいな…」
タクトは苦笑気味に言った。
「そう? 貴方たちもはじめて会った時はこうやって殺したのよ?」
アニメ声のクリアネットはサラリと言う。
「やめてくれ」
タクトはひきつった笑みで応える。
「それはそうと、早く殺したほうがいいわよ。目覚めても困るし」
クリアネットは真顔で言う。
「はぁー、そうさせてもらうぜ」
タクトはひきつった笑みのまま残った男を代理剣で斬った。
男は消えた。
「じゃ、帰りましょうか」
桜は言った。
「そうね。何もしていない桜に言われるのは癪だけど」
クリアネットは桜を挑発するように言いながら街の方へ歩き出した。
タクトはやれやれと思いながらも街の方へ歩き出した。
週末バトルロイヤル終了
タクトLv.13、桜Lv.20