VS ゾンビ族
激しく地を蹴り、飛び上がる。
白銀の剣を左斜め後ろから力強く振る。
「零界磊」
タクトは、剣が纏う冷気を感じながら、振り切った。
斬った場所の水蒸気が凍りつき、周りにいた3体のゾンビの首を吹き飛ばした。
「タクトっ!!」
聞き慣れた声がする。
「ま、満緒っ!?」
今までそこで戦っていた人の正体に驚き、声を裏返す。
「久しぶりだな。アテーナの時は助かったぜ」
「っ! さ、榊原龍也……。ひ、久しぶりだな」
タクトは満緒といた人の正体があの龍也だと分かり、同様を隠せずにいた。
あいも変わらず、眼帯をしている龍也。タクトは不思議そうにそこを見つめる。
「なんだ?
あぁ、これか。そう言えばこの前説明するって言って説明しなかったな」
そう話してるうちに首がないゾンビが落ちた首を拾い、本来あるべき場所に戻す。
そして、話しているタクトたちに襲いかかる。
「くっ、来たぞ! この話はまた後でだ!」
龍也はそう言い、今までの刀とは違う、真っ黒の刀を構える。
「あれ? 刀変わった?」
タクトは、自分も戦闘態勢に入りながら、横目で見てそう訊いた。
「まぁな。黒刀ってんだ」
優しい目で刀を見つめ、そう言った。
「ねぇ、来てるわよ」
満緒が静かに言う。その声でタクトたちは気を引き締める。
「ちなみにだけど、ゾンビ族って普通には倒せないこと知ってた?」
今まで黙っていたミカエルは、向かってくるゾンビを見ながらそう言い放った。