バラバラの3人 〜桜とルールベッド〜
ーー桜sideーー
今思えば……、私タクトと会ってから1人になるなんで初めて?
ロキの放送を聞いた桜はとぼとぼと神殿を目指しながら考える。
「奇遇ね」
うつむき加減で歩いていた私に可愛い女の子の声がかけられた。
「誰?」
私は恐怖を跳ね除けるように冷たく放った。
「酷いよ〜、その言い方。久し振りなのに〜!
てか、タクトは?」
タクト。という単語を聞いて私ははっと顔を上げた。
久し振りなんてものじゃない。闘いが始まる前に会ったのが最後だ。
「ルールベッド!? なんであなたまでここに?」
「そりゃあー、地上は破壊されちゃったからここに来たのよ」
少し困った顔を浮かべるルールベッド。
「ねぇー、それでタクトは?」
駄々をこねる子どものように訊いてくる。
「知らない。ここに来た時から別々よ」
「えぇー、桜の姿が見えてタクトの剣の様子が見れるって思ってたのにー」
「いなくて悪かったわね」
「あー、ふてたー!!」
なんて楽しそうなのよ。
「で、今からどうするつもり?」
今までの雰囲気と打って変わって真剣な表情になり訊く。
「えっ? と、とりあえず神殿に向かうつもり」
「中、入っちゃダメよ?」
ルールベッドの真剣な物言いに私は思わず頷く。
「それだけだから、行くね」
「えっ、ちょっ!」
「何?」
私はどこへ向かうかも分からないルールベッドを呼び止め言った。
「い、一緒に来てくれない?」
それは辺りが静まり返っていても聞こえづらい声量だと思う。でも、私には精一杯。
「えー、聞こえないよー」
笑いながらそう告げたルールベッドは私の顔を見て咳払いをした。
「しょうがないな、いいよ」
ルールベッドはそう言い直した。
「ありがとう」
「お礼は高くつくわよ?」
笑いながらそう言うので私も笑った。