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影(シャドー)を制する英雄  作者: リョウ
第2章~人神戦争~
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VS 親衛隊 Ⅴ

 桜が倒すべきだった残り4人に、ノルマを達成したエドワードが対峙していた。

 スポーツ刈りのスポーツ少年を思わせる少年に、くのいちの格好をした少女。

 左眼を眼帯で隠し、唇にピアスをしている金髪で短髪の男。

 そして、両の目が前髪で隠れた不気味オーラ全開の男。

 それぞれが、それぞれに巧みな攻撃をしてくる。


『どうする…』

 エドワードは、この状況に心の中で呟いた。


「ここは天才と(うた)われる、俺様に任せろやっ!」


 まぁまぁ、と言わんばかりの手振りをし、金髪の男が高らかに宣言した。


「勝手にしろ」


 不気味オーラ全開の男が、気だるそうに答えた。


「じゃ、下がってろ」


 と、言うや否や少し離れたところに倒れている桜の元に、高速で移動した。

 手には、小学校低学年の子どもほどの大きさのハンマーを持っているのにだ。

 そして、桜の体を挟むように立ち、ハンマーを振り上げた。


『くっそ!! 折角、桜に被害が出ないように、コイツらを桜から離したのにっ!

 これじゃ、全く持って無意味じゃねぇーか』


 心の中で喚いた。


 そんな時、男は、ニヤッとしてエドワードに告げた。


「今からコイツの脳天叩き潰してやるよ」


 その下では、桜がビクビクと震えている。


『どうすれば…。どうすればいい……』


 考えている間にも男は、ハンマーをさらに高く持ち上げる。


『こうなったら、あれに賭けるしか』


 心で決意し、白銀の剣を強く握り、地面に強く突き刺した。

 そして、賭けとなるその言葉を発した。


影響技(アフェクトスキル) 氷床(アイスフロア) (ロード)


 刺さった剣から氷が生える。

 そして、たちまち桜を襲おうとしている男までの一本の道が完成した。


 男は驚きを隠せないままエドワードを見た。

 エドワードは、そんな視線を無視して、刺さった剣を抜き、氷の道の上に乗った。

 それは、アイススケートをするかのように進み、男との距離を縮めた。

 男は呆然としている。

 そして、残りの3人からは白い目で見られている。


 残り距離が20メートルをきった頃、男は慌てて、構えもままならないままハンマーを振りおろした。

 刹那、時を止める魔法でも使ったようにエドワードは、ピタリとも動かなくてなった。


 ドンっ!!

 エドワードの創り出した氷の道の一部が粉砕する。

 砂ぼこりと一緒に、氷の欠片が真冬の太陽の光を反射し、キラキラと光っている。

 その中に、赤い何かが混ざっているようなものもあった。


 エドワードは、悲しみが込み上げてきて、瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。


 その時だった。


「げほっ……。……ぅっ…」


 微かに、でも確かに消え入りそうな声が聞こえた。


「……桜っ!!」


 エドワードは、焦るように、何かにすがるように、その名を轟かせた。

 そして、氷の道の上で立ちすくんでいたエドワードは、スピードスケートでもするように残りの20メートルを疾走した。


 一瞬。

 桜の元にたどり着くまでの時間はそれだった。

 倒れた桜かは、消え入りそうな吐息が漏れている。


「大丈夫か!?」


 エドワードは叫ぶように訊いた。


「……」


 しかし、返事は無い。


「おいっ!!」


 呼びかけながら、肩を揺らそうと桜の肩に手を載せた。

 ぴちゃっと、何か液体状のものがエドワードの手を濡らした。


『何だ…。手が濡れたぞ?』


 エドワードは、不思議に思い濡れたと感じる手を自分の顔の前まで持ってきた。

 まだ収まらない砂ぼこりの中、エドワードは息を呑んだ。

 その液体を正体が、水のように透明なものでなく、(あか)色で、紛れもなく桜の肩から流れ出る"血"だったのだ。

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