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誰も知らない神の前章  作者: 駿河留守
魔女の産声
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覚醒②

 クロスは時空間魔術によって姿を消した。駆け付けた魔術師たちはそれを無理な追撃はしなかった。大人数を一気に移動することのできる時空間魔術師がいないのが最大の理由だと思う。

 クロスの姿が消える姿を確認すると私は力が抜けたようにひざから崩れ落ちる。

 駆け付けた魔術師たちはクロスの逃げた先の詮索と生存者、負傷者の確認を指示を受けてそれぞれが手早く忙しそうに動き出す。私はその姿をただ見ているしかできなかった。すると指示を出していたひとりの魔術師が寄ってくる。

「君は確か美嶋秋奈とか言ったね」

 無言でうなずく。

 私の頭の中にあるのはクロスが最後にはなった言葉。

 ―――魔女と。

 確かにそうかもしれない。私みたいな子供が大人顔負けの魔術を使って世界で名の高い教術師を圧倒していたんだ。自然と周りから私に向けられる目線は万能の強さによる恐怖と使える魔術の多さの嫉妬だ。その目はまるで悪魔を見ているような・・・・・そんな普通ではない感じだ。

「聞いているのか?」

「あ。ごめんなさい」

 ゴホンと咳払いをする魔術師の目線もこれ以上関わりたくないっていう目をしていた。気味の悪い子供にはこれ以上は話していたくないって目で私に訴えかけている。これじゃあ本当に魔女みたい。

「君は美嶋夫妻の一人娘だったはずだね」

 頷く。

「これほどの実力を持っていながらまだ師官学校に通っているは不自然だ」

 そうだよね。上級魔術をいくつも使えるのに飛び級もしないでこんなところでのうのうとしているのはおかしいのは誰が見たって明白だよ。私の通う魔術師官学校はランク的にはB~Cの人たちが通う学校。中の上くらいのレベル。そんなところに最上級レベルの魔術の使える私がいるのは不自然なのは確かだ。

「すぐにでも飛び級の手続きをしたまえ。そして、もし希望があるのなら政府軍の魔術師になるのだ」

 ああ、私に父と母の後を継げというんだこと人は。

 そんなに嫌そうな顔をしながら言わないでよ。

 でも、そうだね。私を救ってくれた仲間はもう誰も残っていない。翔平さんも脩也さんも恵美さんも、もう帰ってこない。それはなぜか。そんなものは決まっているすべてはあのクロスという女のせいだ。

「すぐにでも手続きはしますよ」

 私は立ち上がる。

 今までは誰かに手伝ってもらって立っていた私は自力で立ち上がりそして将来の目標を立てる。みんなが立てていたように。私にも夢が出来た。

「クロス・ハイドンを最大限にまで苦しんで死んでもらわないと腹の虫がおさまらないわ」

 私の形相を見て顔を引きずる魔術師、なぜといわれる前に私は答える。

「だって、私は魔女ですよ」

 杖をより一層強く握りしめる。

 復讐のために使わないと誓ったはずの魔術で私は復讐をする。


 それからほどなくして逃亡軍は日本に進出してきた。かなり前から共同関係を約束する制約を結んでいたらしく、MMは日本を拠点とした新たな組織を立ち上げた。それに日本政府は加盟して世界にイギリス魔術結社、黒の騎士団に並ぶ新たな巨大魔術組織が誕生した。そのまだ名前もない組織とイギリス魔術結社の戦いの地が日本が中心となったころ、東の離島に化け物みたいな子供がいるという噂が流れた。使う魔術は数多、そして人を殺すことに容赦のない攻撃。皆が魔女を呼び恐れるのは復讐を誓ったあの日からそう遠い話ではなかった。

 私、美嶋秋奈が魔女として産声を上げた瞬間だった。

以上でアキがどうして魔女となってしまったのか、魔女の産声は完結です。


今後も本編のサイドストーリーを上げていきたいと思います。

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