1週間の計画を立てよう!
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「一週間も泳げないなんて! も〜」
「えぇ? そこですか?」
「アンナ、だって一週間よ?何をしたらいいの?泳ぐ以外楽しいことって何?」
「ハァ〜、まぁ、確かにフローレンス様はまだ7歳。ですが、多分なんですが、一般的なお嬢様やお姫様は王子様と一緒に行動をすると言うと、きっと楽しみにして、ワクワクして、夜も眠れなくなるのではないのかと思いまして」
私はクッションを抱きしめ、顔を埋めてモゴモゴと言った。聞こえないように。
「一般的でなくて悪かったわね。どうせ、ヒロインを選ぶのよ。あの王子は」
部屋でそんな話をしていると。
コンコンとノックの音が。
「フローレンス様、王子様との予定を確認したく思います。お時間よろしいでしょうか」
執事のジョセフだわ。
「はい、どうぞ。ナンナお茶お願いね。アンナ、どうぞ通して」
部屋に入ってくるジョセフをソファーに座らせ、お茶を出す。
「ジョセフもお茶どうぞ。話し合うんだから一緒に飲んでもいいでしょう?」
「はっ、ありがたくいただきます。それでは、一週間の予定を組んでいきましょう」
「アンナとナンナも休んでて?用ができたら呼ぶから」
「「はい」」
「さて、どうしましょう?宮廷内の案内、街の案内、海の案内。ん〜王子様はどんなものが好きなのかしら。興味のあるものは何?」
「そうでございますね、先ほど海の生き物に興味があるとおっしゃっていました。あと、この地の特産物は何かと聞いていらっしゃいましたね」
「海の生き物……では、ルカを紹介できるわね。大人しくて、かわいいのよ?」
「ルカ?ですか? それは名前からして、イルカですか?」
「そんな感じかな? ジョセフにも今度紹介するわね。王子様が海の生き物が好きでよかったわ〜あとは、特産物は塩よね。それと干物、コンブとかの海藻類?」
「それは最近フローレンス様が発案された品々ですね。塩はいいのですが、干物やコンブのいいところを説明するのは難しいのでは?」
「そうね、コンブでダシのおいしさを説明するのはスープを飲まないとわからないし、魚なんか骨無しの切り身しか知らないんじゃ……。食事以外で口にするのはやっぱりダメなのかしら。不便な暮らしね、私なんか王女なのに平気で食べているのに」
「ふふ、フローレンス様は特別なのです。何しろ、5歳から色々発案されているのですから」
「特別だなんて言わないで?本を読んでいてヒントをもらったのだから(ウソだけど)」
日本の記憶を取り戻してから、いろんなことが気になった。最初は塩を海から取ってないこと自体がびっくりだったわ。漁業も全くの手付かずだったし。海の宝庫が目の前に広がっているのに、運搬にしか使っていなかったのよ?
「本からの発想。実に素晴らしい。この数年でこの国がますます豊かになったのはフローレンス様のお力があったからだと思いますよ?」
「ほ、褒め過ぎです。たまたまなんですから。もう……。ほら、考えましょ?あと何を案内する?」
それからも話し合いは続き、やっと一週間のスケジュールをまとめたジョセフは。
「これから我が国王にも意見を聞き、シュナウザー国王妃様と王子殿下に最終確認をしてまいります。それでは、失礼いたします」
と言い、部屋を後にした。