アーサー王子
コンコン
「フローレンス様、お時間でございます」
「はい、今行くわ」
執事の後を私、その後を2人の侍女がついてくる。
一階に降りてダイニングルームに入る。すると、もう既に皆は座っていた。
「こちらでございます。ささ、ご挨拶を」
「遅くなり申し訳ございません。アースキン王家次女フローレンスです。お初にお目にかかります」
カーテシーをして挨拶をする。
すると、人が近づく気配がした。
「いいえ、僕が早く来すぎてしまったのです。申し訳ありませんでした。僕はシュナウザー国第1王子アーサー・ウィル・ヴィリアーズと言います。どうか、顔を上げて?」
やさしい声に引き寄せられるように見上げる。
「は、はい。ありがとうございます」
そこには銀髪にアイスブルーの瞳の王子様が立っていた。
顔が熱い。きっと私、真っ赤なんだわ……だって、かっこいいんですもの。
「フローレンス様はこちらの席です」
執事のジョセフに案内され席につく。
……私が一目で好きになっても、いずれかっこいいから、ヒロインとくっつくのよね。
諦めるのが肝心ね。
食事会が始まる。
王子様のご家族は、王様は国を空けられない用事があり、王妃様お一人が付き添っていた。王妃様の名前はマリー。とても美しい方。もちろん侍従や家臣も大勢きていた。
こちらは自国なので勢ぞろい。
お父様、お母様、お姉様、お兄様、私。
簡単に紹介すると、
お父様は名前はレオ。身長が185cmぐらい?髪の毛は赤く短髪つんつんしている、目はグリーン。肩幅が広く、筋肉質な人で肌の色は褐色。お腹は出ていないわ。年齢は31歳。
お母様は名前はリリー。身長が165cmぐらいで髪の毛は黒で少し癖っ毛、目がブルー。スタイル抜群な美人。日に焼けず色白。いまだに母に横恋慕をする輩が現れるとか。父がすぐに排除してしまうらしいけど。年齢は30歳。
父と母は仲が良く、王様とお妃様としての風格はあるけれど、家族だけの時は2人とも優しいパパとママだ。私たち兄妹は2人にすごく憧れている。
お姉様は名前はソフィー。髪が黒のストレートで目がブルーの美人。肌は日に焼けず白く、性格は穏やかで優しい。今年から学校に通う12歳。第1王女様だし、モテっぷりはすごいらしい。毎日釣書が届くらしく、お父様お母様は読むだけでも大変みたい。
お兄様は名前はマックス。髪が赤く短髪、目がブルー。お父様のミニチュアみたいな人。性格も快活でおおらかでサッパリしている。現在11歳。言葉よりも早く剣を掴んで育った人で既に国の騎士たちと一緒に行動している。こちらも釣書は山ほど届いている時期国王だ。
そして私。髪は赤い癖っ毛でふわふわ。目はグリーン。お姉様がお人形のようでかわいいわと言ってくれるけど、私はお姉様の黒のストレートに憧れる。肌は日に焼けず白い。性格はどうなんだろう?大人しくは……無い。優しい……ほうかしら??うう……自己分析って難しい。それに、物語の通りの悪役であれば周りから恐れられ、使用人から話しかけられることすらも無かったはず……よね? き、きっと大丈夫。
「今日のドレスはすごく似合っていますね」とお約束の賛辞を言ってくれる王子様。
「ありがとうございます」と、お礼を言う。そっと選んでくれたナンナと目が合う。
ニッコリと2人で微笑み合う。(褒められたわ、ナンナのおかげよ!)
食事中の話では、王子は婚約者候補を選別中だそうで、私も婚約者候補にいかがかと打診に来たそうです。婚約者候補ね、さすが第1王子様だわ。候補者なんか選ばなくてもそのうちヒロインに会うのに……。そう思うと、なんか、寂しいような、悲しいような、どうでもいいような、複雑な気持ちになったわ。
一週間ほど滞在し、帰国するらしい。その間、私が王子様の案内役をすることになった。