王妃の罪
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プルメリア国 国王執務室
ここにはプルメリア国、国王レオ様、シュナウザー国、国王オスカー様、そして被害者のシュナウザー国、第1王子の僕。そして加害者になる王妃がいた。
「この映像を見て反論はあるかね?」と、父、オスカー王が王妃に尋ねる。
「反論とはなぜでしょう?我が子を愛おしく思い愛でているだけではありませんか」
「これは我が子を愛する表現だと?」
「そうでございます。可愛らしくて撫で回しているだけですわ」
「股間にもか?」
「それは、はずみで手が行ってしまっただけですわ」
「いいや、お前は言っているんだぞ?『あぁ、なんてかわいいの、反応しているわ。あぁ、見たいわ〜』と」
「……反応したらかわいいと思うわ」
「反応するように触ったのだな?」
「違うわ!滑ったのよ!」
僕もプルメリア国のレオ様も黙って聞いている。
「では、質問を変える。籍は入れておらぬが、名目上は王妃だ。お前はなぜ私の王妃になった?元からアーサー目的では無いのか?」
「い、いいえ。違いますわ」
「ここに証言がある。お前が妃になる前の話だ。読み上げるぞ。『私の息子は現在12歳になりますが、以前、9歳の頃、マリー様に連れられて湖に釣りに出かけたことがございます。帰って来た息子の様子がおかしかったので問いただしてみたところ、驚きました。マリー様に悪戯されていたのです。』と、ある。覚えておるか?近所に住んでいたタイラーという少年だが?」
「! し、知りませんわ」
「そうか、では次。『私の息子は11歳の時、マリー様に倉庫に連れ込まれ、下半身を触られたそうです。1回や2回じゃありません何回もです。』というのもある」
「………………………少年はきれいだからよ」
「ふむ。きれいだと触りたくなるのか?」
「我が子なら好きなだけ触れると思ったのに!なんでよ!」
すると父上はカッと目を見開き、叫ぶように言った。
「我が子ではない。お前は赤の他人だ! 己の欲を満たすために何人の子供に悪戯をして来たのだ! いいや、悪戯などとかわいい表現ではない。犯罪だ! 城に戻り沙汰が出るまで部屋から出るな! いいか? 何もなかったでは済まぬぞ。お前は子供達の心にトラウマを植えつけたのだ。刑は軽くはないぞ!」
王妃は項垂れ、衛兵たちによって連れて行かれた。
「……レオ殿、この場をお借りできてよかった。速やかに対応ができました。ありがとうございます」
「いやいや、国に帰ってからでは時間がかかります。アーサー殿もその間いろいろ考えてしまうでしょう。こういうことは早く解決したほうがいいのです」
「そう言っていただけると助かります。……アーサー、この度の件、気づくのが遅くなった。申し訳なかったな」
「父上、この旅行であの女の行動がはっきりしたのです。気づくのが遅かったわけではありません」
「そうだな、可愛がってるだけだと思っていたよ……アーサーまさか、女性嫌いになったりしておらんだろうな?」
「ふふふ。大丈夫です。それどころか、とても大切に思える人に出会えました」
「なんと! それはフローレンス殿だな? いやー、手紙にフローレンス殿の話がたくさん書いてあったし、先ほどの件もあったからな〜もしかしてと思ったのだが。そうかそうか」
「オスカー殿、どういうことですかな?」
「これです、見ますか?」
と、いうと胸ポケットから手紙を取り出した。 あ、それは僕が書いた手紙!
「拝見します。…………なんと、最初の数行が転移魔法陣と今回の件の報告で残り2枚の便箋は全てフローレンスの事ばかり……そうでしたか。ふふふ。わかりました。で?もうフローレンスには伝えたのですか?」
「こ、これからです……。あ、あのお2人にお願いがあります。どうか、残りの日程を継続させていただきたいのです」
「残りの? あぁ、1週間は我が国の案内をフローレンスに頼んだ件ですね?」
「あぁ、王妃の処罰を下すために、お前も一緒に帰国しようと考えていたのだが……そうか。口説くのに時間が欲しいのだな?」
「く、くどく……は、はぁ。そうです。く、口説くのです!」
「わははは。そうかそうか。どうですかな?レオ殿。 我が息子の力になっていただけませんかな?」
「ふははは。もちろんです。純粋な恋心。いや〜〜いいですね! 残り4日だが大丈夫ですかな? 殿下」
「はい。もう4日しか残っていませんが、全力で口説きます!」
あれ?もしかして、フローレンスの父君も応援してくれるということか!
これは頑張らないと!
僕は部屋に戻りながらフローレンスの事を考えていた。
手を握ってしまった時、振り解かれなかった。
見つめ合った時だって、微笑んでくれた。
大丈夫。きっと、大丈夫。
明日からのことを考えると、僕は心が温かくなるのがわかった。
趣味に走っても犯罪に走っちゃダメだよね〜