3日目
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翌日。王子殿下をご案内3日目。
今日は城下町の方を案内しようと思っている。
「ね、ねぇ?ナンナ……私、今7歳よね。このデザインは大人っぽ過ぎない?」
前から見ると首まで覆われたレースのデザインなのだが、背中が……無い。
「いいえ!昨日のお2人のご様子を拝見していて思いましたわ!今が正念場なのです!ここは、7歳の乳臭さは消し去り!ドーンと大人な雰囲気を出すのですわ!」
えぇ〜聞き間違え?乳臭いとか言わなかった??この1週間のドレスを任せるとは言ったけど、ナンナの圧が連日強いのは気のせい?
コンコン
「はい、ただいま」と、アンナが扉を開ける。
「初めまして、オスカー・ウィル・ヴィリアーズと申します。息子のアーサーがお世話になっているフローレンス・リア・アースキン殿にご挨拶をと思い、伺いました。突然の訪問をお許し願えますか?」
な、な、なんですと〜!
「そ、そんな! こちらから伺いますのに! どうぞ、こちらへ!」
ワタワタするアンナ。それ以上にワタワタする私。ナンナはお茶の準備に取り掛かる。……落ち着いているわね。
アーサーを大人にした人が入ってきた。かっこよすぎる……。アンナの顔が赤くなっているのは気のせいじゃ無いわね。
「は、初めまして!フローレンス・リア・アースキンです!ほ、本日はどの様なご用件でふか」
かんだ。
「はい、本日は王としてでは無く、1人の父親としてフローレンス様にお礼を申し上げたかったのです」
1人の父親として……。じ〜んと来てしまった。きっと手紙を読んですぐにこちらに魔法陣で飛んで来たのだろう。
「いいえ、私はできる事をしたまでです。私などよりもアーサー様は勇気がおありだったと思います」
「そう言っていただけますか。貴方は手紙に書いてあった通りの方ですね、大変優しく、知恵もあり、大きく包んでくれるとありました」
カ〜ッと赤くなる。
「め、め、めっそうもございません。アーサー様はその、きっと大袈裟に書かれたのです。たぶん……」
だんだん小さくなる声。
「ッフ、本当に可愛らしい方だ。アーサーの見る目は確かな様です」
すると、少し前屈みになり私の頭に手を伸ばすオスカー様。
「ストップ! 父上! ダメです、いかに父上でも触れるのはなりません」
見ると戸口にアーサー様が立っていた。そして、「失礼します」といい入ってくるとオスカー様と私の間に立ち。
「父上、フローレンス様にお礼を申し上げるのは賛成ですが、触れるのはダメです」
「ふふふ、あぁ、すまなかった。ふふふ、そうかそうか」
チラッと見ると、アーサー様は本気で怒ってらっしゃる様子。
一方のオスカー様は嬉しそうに謝っていらっしゃる。
「いやぁ、ごめんね。さて、挨拶も済んだから問題を片付けてしまおうか?アーサー」
顔が今度は王様モードになるオスカー様。そして、アーサー様も私に振り向くと
「フローレンス、今日も一緒に出かけたかったけど、今回の事をきちんとしないといけないから、お出かけは明日に延期していい?」
「はい。今日話し合われるのですね。頑張ってくださいね!」
「うん。父上にもあの映像は見せたんだ。今日中には決着がつくよ」
「わかりました。いってらっしゃいませ」
お2人はにこやかに手を振ると部屋を後にした。
これから父の執務室に集まるのだろう。
どんな話し合いになるのだろう……アーサー様が傷つかなければいいけど。
「ナンナ、今日は図書室に行くわ。……残念だったわね?」
「っち」
ええ!!?? まさかの舌打ちした??ほんと、キャラ変わってない?
もう、怖いわ〜。