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第3話: 二重の罠、そして消えた契約

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バルデロ伯爵を騙し、彼の土地を手に入れたナオキは、その夜、静かに微笑んでいた。すべては計画通り。だが、これはただの始まりに過ぎない。この世界には無数の悪徳貴族が存在し、彼らを出し抜くために、ナオキはさらなる策略を張り巡らせる必要があった。


「リリー、今回の件はうまくいったな。だが、次の手も考えておかないと。」


「もちろん。次のターゲットはどうするの?」


「次はもっと手ごわい相手だ。バルデロ伯爵程度では、まだこの世界の頂点には届かない。」


ナオキはさらに高度な詐欺を考え、計画を練り始めた。次の相手は、領地全体を牛耳るほどの財力を持つ貴族、グレゴリア侯爵だった。彼は、バルデロ伯爵を凌ぐ権力者であり、多くの村を支配している。だが、その裏では、違法な取引や不正蓄財が横行しているという噂もあった。


「グレゴリア侯爵か…。手強そうだが、逆にそこにこそ付け入る隙がある。」


ナオキは、さらにリリーに命じて、グレゴリア侯爵の経済状況や資産状況を徹底的に調査させた。


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--- グレゴリア侯爵の弱点


リリーは、ナオキの命令を受けて、グレゴリア侯爵の邸宅に潜入した。彼の財務記録や取引履歴を調べるうちに、ある事実が明らかになった。


「ナオキ、グレゴリア侯爵は莫大な富を持っているけれど、その一部は偽装された財産だわ。領地内の鉱山の価値を誇張して報告し、投資家たちを欺いているみたい。」


「やはりか。表向きは大成功しているように見せて、その実、偽装で成り立っているということだな。これを利用しない手はない。」


ナオキは、グレゴリア侯爵の偽装を逆手に取り、彼を追い詰める詐欺計画を立てることを決めた。だが、今回の計画は前回よりもはるかに複雑で、二重の罠を仕掛ける必要があった。


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--- 詐欺の前準備


まずナオキは、自分が「鉱山投資家」であるかのように振る舞うため、リリーに偽の書類を作成させた。この書類は、グレゴリア侯爵が関心を引くために、鉱山に関する詳細な調査報告書を装っている。さらに、ナオキは商人を介して侯爵にこの書類を送る手はずを整えた。


「この書類が届けば、グレゴリア侯爵は必ず飛びつくだろう。彼は偽の鉱山利益を拡大させたいと思っているはずだからな。」


数日後、ナオキの予想通り、グレゴリア侯爵からの招待が届いた。彼は、この「有望な投資家」と直接取引を交わしたがっていた。


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--- 鉱山取引の罠


ナオキは、侯爵の城に向かい、冷静な態度で彼と取引の場に臨んだ。侯爵は、表面上は優雅で余裕のある態度を取っていたが、その裏で資産を守りたいという焦りが見え隠れしていた。


「ナオキ殿、これはまた素晴らしい調査報告書だ。もし本当にこれが真実であれば、我が鉱山はさらなる発展を遂げるだろう。」


「もちろんです、侯爵閣下。私はこの鉱山に非常に大きな可能性を感じております。ただ、貴族間での正式な取引には、いくつかの条件があります。」


ナオキは慎重に言葉を選び、侯爵を信用させるための小さな罠を仕掛けた。彼は投資契約に、鉱山の価値を証明するための「資産保証契約」を付け加えるよう促した。この契約書には、表向きには無害に見えるが、実際には侯爵が自分の資産を一部提供しなければならないという隠された条項が含まれていた。


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--- 第二の罠


しかし、これだけでは終わらない。ナオキは、さらなる罠を用意していた。契約が成立した後、ナオキは侯爵に対して、鉱山の現地調査を行うために追加の資金を要求した。これにより、侯爵はさらに多額の金を支払う羽目になる。


「侯爵、調査にはやはり最新の技術を導入する必要があります。それには多額の資金が必要です。ですが、ご安心ください。これが成功すれば、貴族たちにとって大きな利益となるでしょう。」


侯爵は疑うことなくこの話に乗り、さらに資金を提供することを約束した。だが、この時点でナオキはすでに手を引く準備を進めていた。


「これで、あとは奴が気づくのを待つだけだ。」


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--- 消えた契約


契約が成立し、ナオキは侯爵から巨額の資金を受け取ると、すぐに姿を消した。侯爵は自分の資産が増えると信じ、安心しきっていた。


だが、数日後、彼は異変に気づく。


「待て…この契約書、どういうことだ?」


侯爵は再び契約書を見返すうちに、ナオキに巧妙に騙されたことに気づいた。彼が署名した契約書は、実際には彼の鉱山を手放す内容であり、さらには多額の資金を無駄に提供してしまっていた。


「くそっ…!奴にしてやられた!」


彼が激怒した頃には、ナオキはすでにこの領地を離れ、次なる詐欺の計画を立て始めていた。


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