考えてみた
・
待っていると尋ね人は訪れない様で、モンゾールさんが帰って来たと言う知らせはアリサ達の元へはなかなか届かなかった。
しかしシオンの眷属によるドラゴン素材やその他のアイテムの売上金が届き、私はその額に驚いていた。
「元々ドラゴンはルリとシオンが倒したんだし私は受け取れないよ」
アリサはその売上金をルリとシオンに渡そうとしたが、二人とも静かに首を横に振り拒否の様子を見せる。
「でも、この人達に渡す十分な手数料も必要でしょう」
アリサは尚もお金を引っ込めないでいる。
「私に必要なお金はいつもあなたが支払っているでしょう」
「そうだ、私達に金など必要ない。どうしても気になるのならこやつらにはおまえからいくばくか渡したら良いだろう」
ルリもシオンも折れる気が無いようなので、皆で話し合った結果売上金の一割を眷属に渡し好きな様に使って貰う事に決めた。
今回活動している眷属達は基本森に棲む天狗族なのであまりお金は必要ないらしいが、人間界で活動する限りお金は必要だろうと説得した。
そして話し合いも終わったと思っていると、もっと驚いた事にこの売上金が預けたドラゴン素材のすべてを売り払った額では無かった。
これからも月に1,2度の頻度でオークションに出す予定だと聞き、この位の売上金がその都度5人それぞれから届くと知り恐ろしくなる。
(いったいこのお金何に使うんだよ・・・)
前世ではまったく縁のなかったその桁の多さにアリサは眩暈がした。
お金ってあまりにも額が多すぎると現実味が無くなってお金って気がしなくなってくるから不思議だ。
インベントリにしまえばもう既にただのアイテムと一緒、ただの金額表示と言った感じになる。
アリサは必要と思える額を財布に入れ腰のポシェットにしまい、後のお金はいずれ使い道を思いつくまで取り敢えず忘れる事にした。
そうでもしないとこのまま何もせずにダラダラと一生を過ごす事になりそうだったからだ。
地道にコツコツだ。
いずれのんびりと過ごすとしてもそれは今じゃない、アリサはそう思っていた。
今はレベルとステータスのカンストを目指し冒険を楽しみ、いずれどこか気に入った土地でのんびり過ごす。その時は土地や家を購入して好きな事だけして過ごすのにお金は必要だろうが今はそれほど必要でも無い。それに自分で稼いだお金でも無い。
「どのみちあくどい事をしている奴らから巻き上げた金だ、使い道に困るなら還元できる使い方を考えると良いだろう」
「それが難しいから悩むのでしょう」
シオンとルリはアリサに助言をしてくれた様だったがまったく助言にもなっていなかった。
「でも考えてみるよ」
アリサはそう返事をしながらただ単に困っている人にお金を渡すのではきっと意味が無いのだろうなと思っていた。
本当に困っている人には意外に手は差し伸べられない。
それは前の世界でアリサが家を出るまでの過酷だった状況が物語っている。
例えばあの時に誰かが私にお金をくれたとしても、きっと正しい使い道も考えずにお腹を満たす事だけに使い果たすか、家族に見つかり取り上げられてしまいきっと何一つ状況を変える事はできなかっただろう。
貧乏の連鎖はかなり根深い。
アリサはそんな身にならないお金の使い方はできればしたくない。
貧しい人に焼け石に水のお金を与え、一時的な贅沢を覚えさせる様な結果になっては困る。
ルリとシオンに助言された事で、アリサは確かにしっかりと気が引き締まったのだった。




