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おひとり様で行くファミコンRPG世界冒険録  作者: 橘可憐
2 ー 2ルアルコー国
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散策してみた

ピスリッツの街に突如黒龍が現れ、領主とそのお抱えだった商会に天罰が下った。

他にも街で悪事を繰り返していたと思われる者達が突然の謎の死を遂げたり、見えない何かに襲われたりと天の采配があったとしか思えない出来事を直接目撃した者は皆恐れおののいた。


その事実を受け止めきれず街を離れる者も多く、街は混乱を極めていたかに思えたが、そんな混乱は意外にもすぐに落ち着き平常を取り戻しつつあった。


教会関係者は神の存在を説き布教活動に力を入れていたし、商人は次なる天罰に備えてと銘打って在庫品を一掃しようと逞しく動いているのが印象的で、人口は減ったと言うのに賑やかさは以前より増していた。

その為か街が明るくなった様な気がして、大通りや中央広場の辺りを歩くのも結構楽しかった。


飲食店も変わらずに開店していたし、広場には露店も並んでいてアリサ達はちょっとしたお祭り気分で美味しいものを探して歩いていた。


しかしこれと言って食指が動く物を見つけられず、この街には名物や美味しいものは無いのかと諦めて、大通りから一本奥に入った所でちょっと趣のある喫茶店を見つけた。


辺りはバーやキャバレーなどもあり、繁華街と言った雰囲気の中に有りながらどことなく重厚感というか格式さえ感じさせる喫茶店だった。


飾り気のない重い扉を開き中に入ると、そう広く無い店内は思った通り落ち着きを重視した空間だった。

さっきまでの賑やかな雰囲気に少し疲れていたアリサ達は、隅のテーブルに座り少しゆっくりしようと考えていた。


しかしアリサはメニューを見て驚いた。


フレンチトーストがある!


ピザトーストも!!


・・・・・・デザートにはパフェとプリンも!!!


令和の世界では普通に食べられるけど、昭和の時代の田舎ではその名前は知っていても食べられる店を探すのは大変だった。


プリンはカップの金型を用意してプリンの素買って来て、自分で手作りしてやっと食べられた思い出があるシロモノだよ。

自分の記憶にある昭和基準のこの世界でお目に掛かれるとは思ってもいなかった。


感動だよ・・・。


アリサは迷わずフレンチトーストとプリンを注文した。

ルリはフレンチトーストとパフェ、シオンはピザトーストとビーフシチューを頼んでいた。


待ってる間もワクワクが止まらず、期待値MAX。


そして運ばれてきたフレンチトーストは中までたっぷり卵液がしみ込んでいてフワフワトロトロ。

食パンではなくフランスパンで作られていたので、溶ける事無く食感もちゃんとあるのがまた良かった。


プリンはやはり硬さのある昭和仕様だったが、カラメルのほろ苦さがプリンの甘さを引き立てていて懐かしの味そのままで期待通りに美味しい。

アリサは前世の子供の頃の憧れとの出会いに大満足だった。


ルリとシオンも満足してくれたみたいなので、きっとこの喫茶店にはまた来ることになるだろうと確信していた。


ただ残念な事と言えば、テイクアウトができなかったのでインベントリのメニューに加える事ができなかったところだろう。


しかしアリサは、暫く通って常連認定されてからもう一度テイクアウトのお願いをしてみようかとまだ諦めてはいなかった。



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