表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おひとり様で行くファミコンRPG世界冒険録  作者: 橘可憐
2 ー 2ルアルコー国
71/95

寄付をしてみた

今日は一日ダンジョン攻略を休みにして、アリサ達は3人で街で美味しいものを探す事にした。


「良かったら手持ちの肉を少し寄付して欲しいのだけど」


突然のルリの発言に私は意味も良く理解出来ず、思考停止と共に自然と立ち止まってしまう。


インベントリには確かに食べきれない程の肉があるので、食べてくれる人がいるのなら寄付をするのも別に構わない。

と言うか、少し整理したいと考えていたから丁度いいとも思うけど、なんでルリが突然言い出したのかが気になっていた。


「この街にも教会が建つ事になったのよ」


私の思考を読んだのかルリが説明してくれる。

今までこの街には教会が無かったが、今回の街の騒動もありまた孤児が増えた事もあり、孤児院を併設した教会ができる事になったそうだ。


しかし教会関係者が派遣されるまでにはまだ時間も掛かり、人手も足りないと言うのに孤児は集まるばかりで問題が山積み状態だそうだ。


「取り合えず食糧事情だけでも手助けできないかと思いましてね」


「別に私は構わないけれど、でも何でルリが?」


私が一番気になったのはそこだった。

私と一緒にダンジョンに籠っていた筈のルリの事情通にも驚きだし、孤児に深い思いを寄せている感じが伝わってくる様でもう少し詳しく話が聞きたいと思ってしまった。


しかしルリはそれ以上話す気は無いらしい。


「私の事はまだいいのよ、それよりも早く済ませてしまいましょう」


そう言って案内する様に先を歩き始めるので私は慌てて後を追った。

教会が建てられる場所はまだ決まっていないらしいが、空き家となった街外れのボロ屋に孤児は集められていた。


元々この街に教会誘致のために布教活動をしていた人は居たので、その人達が今大活躍をしている様だ。

肉の提供に来たと言うととても喜んでくれて、インベントリから山ほど取り出したが腐らせるだけだと断られそうになったので適当な所で出すのを止めた。


「余りは売って他に必要な物を買うと良いでしょう。私達がこの街に居る間は定期的に提供に来ますよ」


ルリがそう言うと教会関係者は安心した様にまたお礼を言って来るので、私達は恐縮しながら早々に小屋を後にしたのだった。


「何だかあんなに喜ばれると恐縮しちゃうね」


肉屋で売り払おうとして一度にこんなに沢山は無理だと断られてから、売るのも面倒になっていて日々増えるばかりの肉だった。


いくら美味しい肉でも毎日食べるとなると飽きる。そんなに食べられるものでも無く、有り余っていると返って有難みが薄れ、いつでも食べられると思うと返って食べなくなっていた。


何軒もハシゴして売るとか毎日少しずつ売るとか考えただけで面倒くさいと思いながら、整理したいとも考えていたのでここで少し整理できたのはアリサにとっては返って有難かった。

ましてやあんなに喜ばれるとなると、良い事をした様で気分も良かった。


「また寄付しに来ようね」


「ええ、そう約束しましたからね」


少し照れ臭そうにするルリはアリサが寄付を言い出した事が嬉しかったと思える。

今までダンジョン攻略とステータスのカンストばかりを考えていたけれど、たまには他の事と言うかこの世界の事にも目を向けるのも悪くは無いと思うのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ