心に刻んでみた
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沼地エリアは思った以上に攻略が大変だった。
足場が悪いので足元を確認しながら道を選んだり、沼を迂回したりと歩いた距離の割には思った以上に先に進めずにいた。
「どうやらシオンが派手に暴れた様です」
ルリは突然立ち止まり街の方へと目をやりながら教えてくれるので、私もつられて街の方を見やるが何かを感じる事は無かった。
そもそもダンジョンの外からはただの平原の様な景色に見えていたが、ダンジョン内に入るとダンジョンの外は靄がかかった様にその境から外の様子は窺いづらくなっていて、ここが外とは違う場所なのだという事がはっきりと分かるのだった。
「派手に暴れたって?」
「ここからでは分かりませんから戻ってみますか? もっともシオンはこの街の事は後は自浄作用に任せる事にして既に王都に向かった様で、暫く戻る気は無いようですよ」
「ふ~ん」
興味が無かった訳では無いが、私のまったく知らない別次元の話を聞いている様で何処か気の抜けた返事になってしまった。
「私に尻拭いをさせる気ですか? まったく、だからあれ程考えてから行動しろと」
ルリはシオンと交信(?)しているのか、何やら独り言をブツブツと呟いているので私は構わずに近場に居るカエルの魔物を討伐していた。
「シオンは暫く合流する気が無いようですよ」
シオンとの交信(?)を終えたのかルリは私の側に来て明らかに腹立たし気な様子を見せていた。
「じゃぁ街へ戻るのも面倒だし野宿してダンジョン攻略を終わらせてしまおうか」
少し考えてから私はルリにそう提案していた。
「そうですね、今街へ戻っても騒がしいだけでしょうからそれも良いかも知れませんね」
ルリの賛同を得て私はこの初級ダンジョンに籠り、その攻略と共に盗賊ジョブのマスターを目指す事にした。
沼地エリアのエリアボスは、巻物をくわえた五右衛門が背に乗っていそうなそれはそれは大きなイボカエルだった。
今度はその姿に戸惑う事無く、近づき過ぎる前に先制攻撃の魔法連発で危なげなく倒した。
そして次のエリアへと入るとすぐに野営ポイントを見つけそこで休む事にした。
考えてみたらこの世界に来て今まで宿でも野営でも夜はいつも3人だった。
一人欠けただけでこんなに静かで寂しいものなのかと寒さに似たものを感じ、それだけルリとシオンの存在が私にとってあたり前の様になっていたのだとつくづくと実感していた。
二人が何故私と一緒に居るのか何を考えているのかそのすべてを見せてはくれないが、それでも一緒に居て安心してもいられるし信頼する事もできている。
戦いに関してはほとんどソロプレイだけれど一人じゃないそんな風にも思えていた。
ルリと焚火の灯りの揺らぎに癒されながら静かな夜を過ごし、この先何が起ころうと私は変わらずにダンジョンを攻略しながらジョブのコンプとステータスのカンストを目指すのだと強く心に刻んでいた。




