実感してみた
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森林ダンジョンへ入りマップを確認するとダンジョン内のマップも表示された。
初めてマップを開いた時はカーソルしか出ていなかったので、すっかり埋めて行くタイプだと思っていたが、ある程度移動するとパネルの様に決まった範囲で開いて行く仕様のマップだった。
なのでマップの開き具合で何となくダンジョンの大きさや形が推測できたので、案外迷うことなく隈なく探索しながら進んで行けたのはかなり便利だった。
「あの子のお父さんいったい何処に居るんだろう」
全体の4分の1程のパネルが開き、魔物もラピックだけでなく人間サイズのキノコの様な植物魔物やカラスサイズの蝶の様な飛行タイプの魔物も現れだしていた。
私は今はスリプルとブリザドの熟練度上げを目指して攻撃している。
「多分もうすぐ第一エリアの最深部ですね」
「第一エリアって」
「このダンジョンは全部で3つのエリアからなっていて、難易度が変わるのですよ」
「どの位変わるの?」
私は最深部に父親がいる様なら、クエストもそう簡単には攻略出来そうもないと考え尋ねた。
「現れる魔物のレベルが少し高くなるのと、マップも複雑になる感じでしょうか」
「行ってみれば分かるだろう」
二人の返事を聞いてそりゃそうだと納得しながら真直ぐな小道を進んで行くと、画面が切り替わり広場の様になった行き止まりの場所に出た。
見ると広場の隅に中年男性が倒れている。
(あれが例の父親か)
思わず駆け寄ると、側に咲いていた大きな毒々しい花がいきなり動き出し地中から木の根の様な本体が現れた。
マンドラゴラを大きくして頭に花を咲かせたような見た目で、胴体部分にある顔が不気味に笑っているようにも見える。
私は慌てて少し離れてから鑑定すると『ポイズンマンドレイクLV12 弱点は斬撃と火属性 ドロップ・マンドレイクの根・マンドレイクの毒袋』とあった。
火属性が弱点とあったがブリザドとスリプルの熟練度を上げていたので、私は迷わずにスリプルとブリザドを交互に放つ。
ダメージは与えられている様なので攻撃を続けると、花から毒液を吐き出し始めた。
その毒液が地面に沁みを作るとそこからミニマンドレイクが現れ出て私に向かって来る。
本体のポイズンマンドレイクは私に近づいてくる気配が無いので、魔法の熟練度上げに利用できるかもと考えてミニマンドレイクを攻撃していく。
思った通り、ミニマンドレイクを全滅させるとまた新たに毒液を吐き出すを繰り返している。
毒液からミニマンドレイクが現れるまでにポイズンマンドレイクにも攻撃を入れ、新たに現れたミニマンドレイクを殲滅させてをしばらく続けてどうにかポイズンマンドレイクを討伐した。
ルリもシオンも私に手を貸さなかったところからしても危なげなく思い通りに倒せたと思う。
私は早速父親の傍に行き様子を窺うと、外傷は無く気絶をしているだけの様だったので声を掛けるも目覚める様子がない。
これはもう街まで連れ帰らないといけないのかと肩を落とすとシオンが背負ってくれた。
シオンにも手助けをして貰える事を確認できた事も嬉しかったが「大変だろう、俺が背負う」と何やら優しくされた事がとても嬉しかった。
こんな風に誰かに手助けをされるなど随分と久しぶりと言うか、この世界に来て初めてな気がする。
私はソロプレイだけどぼっちじゃないみたいな、これが一人じゃない仲間がいる有難さなのかと実感していた。