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回復薬を作ってみた


幸いな事に私は別のゲームで回復のための丸薬やポーションは作った事がある。

その為に必要な薬師とか錬金術師と言った職業もスキルも無いけれど、そもそもこの世界に冒険の為の薬やポーションが無いのだから開発は可能だろうと考えていた。


新しい料理レシピや生活用品などが日々開発され作られているのだからそれとなんら変わらない。

材料があって作り方が分かっていれば当然望みの物は出来上がる筈だと考えた。


材料は簡単な物を作る分にはもう既に揃っている。

後は器具の問題でしかないのだけれど、ポーションの様な液体の物を入れる瓶は今ここで手に入れるのは難しそうだ。となったら作るのは薬、そして飲みやすさを考えた丸薬一択だろう。


地階の宿屋は大部屋仕様と言う事からダンジョン内と言う割には一泊20Gと少し安めの料金で食事は5G~10Gとその内容別の料金だった。


場所柄かメニューはステーキの様な肉料理とスープのセットかBBQの串焼きの様な肉と野菜を挟み込んだ串焼きか後は肉と野菜を一緒に煮込んだシチューの様な物で、どれもこれも普通に食べられたけれど何の肉なのかは追及せずに食べた。


私が感じた所でお金のG単位は多分元の世界の100円位の価値になるのだろう。

と言う事は薬草の売値が5Gで買値が8Gと言うのは良心的と考えても良いのだろうか?


私は宿屋の大部屋の隅に陣取り周りの人に気付かれない様に目立たずそっとを心掛け、一人丸薬作りに没頭した。


そんな私の様子は余程危なく感じたのか怪しかったのか、それとも見た目がみすぼらしくもう何日も風呂に入っていないからか、誰からも絡まれる事も無く過ごす事ができた。


ここには風呂なんて無いけれど、いい加減風呂に入りたい。

冒険に出る前も風呂になどあまり入ったことも無かったが、少なくとも今よりは清潔に過ごせていた。


考えたらお金の持ち合わせが心もとなくて着替えの予備すら用意していなかった。

何しろ下着は自分の物だけど着ている服は弟のお古を無断で拝借した物なのでこれしかなく着替えもない。少しお金が貯まったら一度街に戻りその辺の物も色々と手に入れたいと考えていた。



丸薬作りは薬研が無かったのでブロンズナイフと木の板を使ってとにかく薬草を細かく細かく切り刻んでいく。そしてダンジョンの3階の蜂の様な魔物が落とした蜂蜜と練り合わせ薬草の丸薬を作った。


後はこの丸薬に回復の効果が見られれば私はこれから大変な思いをして葉っぱを噛み締めなくても良いのだと思うと胸に込み上げるものがあった。


早速ダンジョンに戻り魔物の討伐を始める。


できる事ならもう少し蜂蜜も欲しいと考えて3階まで進み戦闘を繰り返し、HPが半分まで減った所で回復丸薬を試しに飲んでみる。


水なしでも飲める様に少し小さめにしてあったので嚙み砕きながら食べると蜂蜜のお陰かそれ程苦みを感じる事は無く簡単に食べられた。

けして美味しいとは言えないけれど草のままの時に比べたら使い易さは雲泥の差だった。


そして肝心の効果も草のまま食べた時より僅かばかり効果が高い様な気がするのは薬として作ったからか、それとも蜂蜜との相乗効果かは分からなかった。

しかしこれなら大成功と言って良いだろうととても満足していた。


それからはダンジョンの魔物が落とす薬草と毒消し草と蜂蜜を使い、魔物を倒しては丸薬を作るを繰り返す毎日で、余った薬草と毒消し草は売り払いお金を貯めて行った。


リオン

盗賊

レベル 9

HP   59

MP   52

力   103

素早さ 77

体力  31

賢さ  28

運の良さ82

固定スキル 鑑定 複製


装備 ブロンズナイフ 皮の鎧 皮の帽子


現在の手持ちの金額 1289G


私は今力の実とラックの実と素早さの実を手に入れているが、よくよく考えて今の所敵はすべて一撃で倒せているので素早さと運を上げる事にした。


一人で多数の魔物を相手にするには素早さを上げればひたすら自分のターンも夢ではないと考えたからと言うのもある。


そしてそれと同時に運の良さは色んな所に影響すると考えられていたからだ。

クリティカルの発生率にアイテムのドロップ率だけでなく状態異常に掛かりづらくなると言う話も聞いている。

そして何より盗賊の『盗む』の成功率も断然に違うと考えられているからだ。


このダンジョンの魔物程度では敢えて盗んで迄手に入れたい物など無いが、この先の強敵やボスクラスの敵になると盗まないと手に入らない物もあった。


今さらアイテムコンプを目指してはいないけれど手に入ると分かっている物はどうせなら手に入れたい。

そうしてみたら職業コンプを果たしたあかつきにはやはり盗賊に戻るのが最善だろうかとそんな事を考え初めていた。



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