世界の広さを感じてみた
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気付くとアリサの装備は当然の様にすべて無くなっていて、普通の綿のシャツにズボンと言う典型的な村人の服装だった。
装備位はとちょっとだけ期待していたのだが、やはり周回特典は無いのかとがっくりと肩を落とす。
しかし喜ぶべきこともあった。
インベントリが使える様で、MAPもまだ殆ど埋まってはいなかったが機能はしていた。
「これはこの大陸の地図ね。切り替えると世界地図も見られるはずよ」
ルリに教わり初めてMAPの切り替え機能を使ってみる。
教えて貰った通りに画面の隅にある表示を押し世界地図に切り替えると、この世界はかなり広い様でまだ何も表示されていなかったが、世界地図のすみっこの方に現在地を指し示すカーソルがあった。
「この大陸の広さってどの位なのかしら」
知っているかどうか分からなかったがルリにそう尋ねる。
「オーストラリア大陸程では無い筈よ。ちなみにこの大陸は7つの領地に分かれて居るわ」
ルリはさらっとそう答えるのでアリサは驚いた。
「オーストラリアの広さを知ってるの?」
「英知を司る聖獣の私が知らない事は無いわ」
当然でしょと言わんばかりのドヤ顔で答えるルリ。
「ちなみに俺は戦いを司る神獣だ」
シオンが割り込んで来てそう胸を張った。
(まぁ、何となくそんな気はしていた)
アリサはとても頼りになる味方ができた事を実感して嬉しさを噛み締めた。
それにしても神獣と聖獣の違いが良く分からない。
神話などにも詳しくないので、聖獣って聞くと聖〇伝説ででんでん太鼓叩いて呼び出し移動手段にしていた事が記憶に強くあるが、そんなに沢山いるのだろうか?
それぞれに能力が違ったりするのだろうか?
「聖獣や神獣と呼ばれる存在は何体かいますが、チェンジは無理ですよ」
ルリはアリサの考えを見透かしたのか先回りした様にそんな事を言い出した。
「チェンジなんて考えてもいないよ、ただ大勢いるのかなってふと思っただけで」
「この世界には精霊もドラゴンも存在しますからお楽しみに」
「それって私が望んだ通りに良い感じで色々混ざった世界って事だね」
「結局最終的に初期プレステ迄の世界を参考に転移させたようですね」
ルリの言葉に思わず呆気にとられた。
プレステって初期のだとするとそれって平成だよね。
昭和の出来事だと思った事が平成初期の出来事だったって事は多々あるけれど、どうせ纏めきれなかったのなら昭和で留めておいてくれれば良かったのにと何となく考えた。
でもそれだと世界がまた狭くなってしまうのか。
確かにそこから冒険の幅が広がって行ったのは確かだしね。
お陰で北海道程度だった世界が一気に地球規模になったのだから、そう簡単には攻略出来そうも無い事は確かだ。
って言うか、何作品かは宇宙に飛び出したりもしているけど、その辺はどうなの?
魔王どころか宇宙人の脅威と戦う予定は無いよ?
ストーリーがまったく分からないけれど、ここからは自由に楽しんで良いんだよね?
誰かに踊らされたり、いきなり敵対する強敵に襲われたりって事は無いよね?
アリサは少しばかりの不安を覚えたのだった。