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交渉してみた


密林での職業レベル上げは面白い様に進んだ。

口笛の3回に1度はハグレでメタルなスライムが現れ、7回に1度は3匹以上で現れると言った具合でこの密林にどれだけ生息して居るんだと不思議になる程だった。


そして面白い様にクリティカルヒットが炸裂するグリンガムのムチのお陰で一匹たりとも逃す事無く討伐できたので、快感と言うより面白くて戦闘を止められなくなっていた。


盗賊のレベルをMAXにして遊び人・商人・魔法使い・僧侶・戦士・武闘家そして賢者とすべての職業レベルをMAXにし、すべてのステータスをカンストさせた時だった、いきなりその声が脳内に響いた。


『魔王討伐を果たした暁には攻略特典を与えよう』


私は一瞬何が起こったのか理解出来ずに固まった。

しかし私は恐る恐るその脳内に響いた声を確認する為に尋ねてみた。

「特典ってどんな?」


世界の中心でひっそりと生息している魔王を討伐する気などまったく無かった私だが、何か有意義な物が貰えると言うのならその内容によっては少しは考えても良いと思ってしまった。


だって人間ってそう言うものだよね?

自分にとってもしそれがどんな事をしても手に入れたい物だったとしたら、(魔王が存在するだけで世界を不安にさせているなら討伐しないと)と途端に考え方を変えてしまったとしても許されるよね?


(弟勇者がやればいいじゃん、その為に優遇されて育ったんでしょ)と思っていた気持ちも、(あんな弟に任せていられない、私がその手柄を奪ってやる)と思ってしまっても許されるよね?


『お主が今まで攻略した事のあるゲームの世界への転移ではどうだ』


脳内で響く声はそう言ったが、でも私ゲーマー歴40年を超えたよ。

かなりの本数のゲームを色々と楽しんだよ。

その中のどれかに転移出来るって簡単に選べるものじゃ無いと思うけど、それが可能だとするとちょっと、いや、かなり心が躍り出していた。


でも念のためにこれだけは確認しておきたい。

「それってジャンル問わず?」

『シューティング系やボードゲームなどは無理だろうな』

まぁそれは当然だろうけど、だとしても行きたい世界は色々と頭に浮かぶがやはり簡単には選べそうもない。


転移だとしたらヒーローやヒロインにはなれない訳だから、その世界をどう楽しむかって事になるよね?


でもぶっちゃけ実際に会ってみたい登場人物は結構いる。

まぁ私はかなりのミーハーなのでRPGならドラ〇エにも居ない事も無いが、特にF〇VIIとかF〇XIIIとかF〇XVとか・・・・・・。


でもジャンル問わずなら乙女ゲーの世界にこそ行きたい!!

実際に会って攻略できる物なら攻略してみたい。

しかし乙女ゲーの世界に行って逆ハー楽しんだとしてその後はどうするんだ?

攻略後はまた別の世界に転移出来るのか?

もしできたとして、いったいそれはいつまで続くのだ?


私はもう既に『永遠』なんて無い事は身に染みて知っている。

限りある時間をどう楽しむかをできるだけ実行したかっただけだ。


この世界でゲーム知識利用してチート無双も楽しかったと言えば楽しかったけれど、ステータスカンストさせてMAPもあらかた埋め尽くし、アイテムもかなり蒐集してみると何か違う気がする虚しさもあるんだよね。


現実を楽しみきれていないと言うか、終わりが見えてしまって楽しめないと言うか。


私は色々と悩み考えてもう一度聞いてみた。

「まったく新しい世界って言うのは無理ですか?」

『可能ではあるが限度がある』

「限度とは?」

『あくまでもお主の知識を参考に新しく作り上げるのでそれ以上の物は無理だと言う事だ』


そう言えばドラ〇エで石板埋め込んで新しく大陸発見するのとか、聖剣〇説でアーティファクト並べて自分の好きに世界作るのとかも好きだったけど、現実でそれは難しいだろうな。


でも街を発展させたりコンビニの店舗増やしたりのシミュレーション系ものめり込んで楽しんだ事もあるし捨てがたいと言えば捨てがたい。


こうして好きに選べと言われるとなんと悩ましい事か。


「じゃぁ私の知識からと言うのなら、ゲームだけでなく今まで読んだ小説も参考にしてもっと広く色々楽しめる世界がいい。その世界に行って何をするかは自由と言う基本RPGを楽しめる世界がいいです」


それがどんな世界になるのか少し楽しみにしながらも私は、やはり最終的にRPGの世界は譲れなかった。


『それでは魔王討伐を頼んだぞ』

「あっ、ちょっと待って」

私はとても重要な事を思い出し話が締めくくられる前に思わず声を出していた。


そうこのゲームには周回が存在していないので周回特典がまったく無い。

となったら次の世界ではまた0から始める事になるのだろうと想像はできるが一応確認だけはしておきたい。


「次の世界でも私はチート可能ですかね?」

『・・・・・・』

「だってほら基本ソロプレイなのでそこの所はかなり重要なんですよ」

『何か欲しいものがあるのか』

「神獣の加護を受けた仲間を二人ほど・・・」

乙女ゲーへの転移を諦めたけれど、私が特に好きだったキャラでRPG世界でも通用しそうな人を強請ってみた。


『・・・・・・』


私の考えなど見透かされているのだろうが、まったく新しい世界への転移となると不安が無いと言ったら嘘になる。

そんな中で現実問題私が本当にソロで自由にいつまでやれるかは分からない。

これから多くの人と関わって生きて行くとなったら本当に心から頼れる裏切られない味方が欲しいと思うのは当然だろう。


「やはり無理ですかね」


『お主の考えている友は無理だが人間化できる神獣を供に加えてやろう。では頼んだぞ』


こうして私はどうしてそうなったのか深い理由も知らされず、次の転移先だけが決まりこのゲーム世界を攻略すべく魔王城へと向かう事になった。


でも望みもほぼ期待通りに叶えてくれるみたいだし、まぁいいかぁ。

攻略法を知らない新しい世界不安もあるけど今度こそ冒険人生を楽しむぞ。



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