計画を立ててみた
取り敢えず船を健全に運行させるためにお金が必要になったのは確かだった。
この海賊たちは大手の商船を襲い積み荷を奪う事で自分達の生活を守っていた様で、手当たり次第に阿漕な事をしていなかったのがせめてもの救いだった。
積み荷と言っても航海に必要な食料や酒などが殆どで、商人に必要な商品にはあまり手を出さなかったのも今まで討伐されずに済んでいた要因の様でもあった。
所謂食うに困った漁師や冒険者の集まりで、元々が悪人の素質が無かったのだろうと思われる。
だからコンプライアンスの緩い昭和の世界とは言え、自分達には害がないと考え街の人達はのほほんと海賊達を見守っていたのだろう。
どうりで造船所の職員も高笑いをしていた訳だと何となく納得した。
何にしても海賊がこの海域に居なくなるのは良い事だろう。
そして私は早急に船を出したかったので早速準備を進めて貰い、まだマップが埋まっていない未踏の地を指さし、この辺に上陸したいと目的地を指示してから相変わらず船の上では存在を薄くして魔物の討伐に励んでいた。
無駄に船員達に話しかけられるのも嫌だったし、それによって私が女だとバレる事も恐れていたのでひたすら目立たずにひっそりとしていた。
そうして目的の地に辿り着き、その見るからに不自然で怪しい場所に足を踏み入れる。
ここに街を作りたいので手助けをしてくれと言うイベントだ。
ゲームでは条件さえ満たしていればこの場に出入りするだけであっという間に街が発展して行くと言う不思議。そこには発展の過程はあっても時間と言う観念が無いと言う本当に摩訶不思議なイベントだった。
しかしリアルとなった今はまさかそんな事も無いだろうと思いながら老人に望まれるままに手助けをする。
念のために何度かこの場に出入りしてみたが、変わった様子が無いのでやはり時間の経過も必要なのだろうと納得してイベント進行に期待する。
話は変わるが、この後に開発されるどうぶつ達に御用聞きしながら村にある唯一の商店を大きくしていくゲームがあるが、私はそのゲームで初めてアイテムコンプを諦めた。
アイテムの種類の多さ数の多さもあったが、そのアイテムがランダム出現の為やり込めどやり込めどと言った感じ。そしてコンプする前に次のシリーズが発売される事もあってこのゲームに限ってはアイテムコンプは限定品だけにしてその他はあまり考えない事にした。
私にとっては本来は屈辱的なゲームでもあったが、何故か季節ごとのイベントやシリーズと言う限定品の多くに魅了されどうぶつ達に魅了され、その他にもコンプ要素が色々とあってやればやったなりに夢中になっていたりもした。
それからこのイベントが切っ掛けかどうかは分からないが、この後このゲームシリーズに限らずRPGにミニゲームが搭載される事が増えて行った。
当然ミニゲームでしか手に入らないアイテムとか称号とかトロフィーとかがあって、ゲームの攻略よりミニゲームに夢中になったり時間を掛ける事もあった。
中にはこのミニゲームは本当に必要なのか? RPGに本当に必要か? と思えるものもあって、そう言うのは大抵私的に攻略に難儀したのは確かだった。
まぁ今はこのイベントが難儀する事の無い様に祈るしかないので、しばらくは進行を見守る事にする。
何にしてもここに街ができたら、ここの商会で私が作った丸薬をこの世界に広めて貰おうと考えていた。
丸薬を売る事で船の維持に掛かる経費を賄おうと考え、今は毎日のMPで丸薬の複製に精を出している。
取り敢えずこれでイベントの一つは進行待ちとなり、宝玉の一つが手に入る目途が立った。
この先密林の島に渡ってレベル上げに勤しむか、それとも残りのイベントを消化するかここに来て少し悩んでいた。
職業レベルを上げようと船を手に入れたのだが、考えてみたら今のうちに世界地図のマップを埋めてしまえば後は転移魔法で移動はどうにでもなる。
そうすれば船は必要なくなるので、新たにできるこの街の定期船にでも活用して貰えば取り合えず船の維持費からは解放されるかも知れない。
そう考えるとやはりこのままマップを埋めながらイベント消化して、その後に職業レベルをカンストさせて行こうと新たに決めたのだった。