エルフに会ってみた
ダンジョンを隅々まで探索し私はまたマップ埋めの為にフィールドを移動していた。
この世界の広さは地球規模の様に思っていたが、実際に歩いてみると国の大きさは多分日本で言う所の県レベルだろうと思われる。
県によっても大きさが違うが、きっとこの世界の陸地すべてを合わせても広さ的には北海道よりは大きいのか? と言った感じじゃないかと勝手に思っている。
そして移動しているとかなり広い範囲でマップは埋まって行くので、次の街まで移動に何週間もかかるとか、隣の国まで何カ月もかかるなんてことは無く思っていた以上に気持ち良くマップは埋まって行った。
そうは言っても、人間の足での移動は厳しい高い山が連なる連峰などは迂回しなくてはいけないので、マップ埋めが簡単という訳ではなかった。
そしてこの大陸の端まで来てあるイベントを思い出す。
明らかに不自然なその場所に足を踏み入れるとそこはエルフの住む国に繋がっていて、妖精やエルフ達が住んでいるが誰に話しかけても逃げられるか無視される。
人間を嫌い人間達から隠れ住んでいるという皆を無視して女王に会いに行けば、女王の様子が少し可怪しく独り言をブツブツ呟いている。
その呟きを拾って女王の抱える問題を解決すれば良いだけのイベントなのでぶっちゃけスルーしても良い。
と言うか、マップ埋め目的でも無くてはこんな大陸の端まで来る事も無く、明らかに不自然なこの場所に気が付かないと言う事も考えられる。
多分このゲームの中にエルフと妖精を登場させるためだけのイベントだと思われた。
今の様にハーフエルフだとかダークエルフだとかエルフにしっかりとした設定も無く、人間世界に共存する様な存在でも無く、これがRPGにファンタジー要素増々させる為のエルフ初登場イベントだったと思う。
私は女王の様子が可怪しいのを確認してからこの国を出て少し離れた場所にある洞窟ダンジョンへと足を踏み入れた。
このダンジョンは序盤で挑もうとすると魔物のレベルが若干高いので結構難儀するダンジョンだった。
ダンジョン内は迷路の様になっているうえに距離も長く深さも五層もあり階層を繋ぐ階段が幾つもあって、ダンジョン内のすべてを廻ろうと思うとそれはもう大変だった。
しかしダンジョン内には精霊の泉と呼ばれるHPMP状態異常のすべてを回復してくれる場所がある。
なので慎重派の私はこの精霊の泉を使い宿屋代を節約しレベル上げに励み以降のストーリー進行を楽にしたのを覚えている。
そして今の私にはレベル上げなどまったく関係ないが、現実となった今この泉の水がエリクサーの代わりになるのじゃないかと考え水筒に詰めて持ち出してみたがその効果はただの水だった。
きっと泉の水がどうこうではなく、この場所にある事が重要だったのだろう。
続けて宝箱の回収とイベントを終わらせるためのアイテムを入手するためにダンジョン内を隈なく進む。
この世界ではダンジョンボスと言うのはまだ設定されていない。
しかしイベント絡みだとイベントボスが大抵の場合ダンジョン最奥に現れたので結果それがダンジョンボスの様にはなっていた。
そしてそのイベントボスと戦えるのは一回きりだろう。
なので弟勇者がスルーしたのかそれとも気付かなかったか知らないが、このイベントボスとの戦闘も私が制する事になる。
この間までは少し後ろめたいと言うか弟勇者に申し訳ない様な気になっていたが、今はそんな気分にもならずイベントボスと対峙できる。
というか何となくざまあ的な気分にすらなっている自分の心境の変化に少し驚いている。
勇者ではない私がイベントを制するとその結末はいったいどうなるのだろうか?
「私が考える事じゃ無いよね」
私は一人呟きながらイベントボスを難なく倒し、そしてイベントアイテムを手に入れ勿論複製をしてからエルフの女王に届けた。
そうして私はエルフの街で買い物ができる様になり、ここでしか手に入れられないアイテムも見事手に入れたのだった。