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旅立つ事にした


相変わらず存在の薄い私に何故か突然縁談の話が舞い降りた。


この城下町から少し離れた辺鄙な村にある祖父の遠縁にあたる農家が私の嫁ぎ先として決まった様だった。


祖父はその縁談を喜べと言うし、母は縁談が決まって良かったと私に言い聞かせる様に言った。


なぜなら来年には弟が勇者として旅立つ事は決まっているので、それまでに私の縁談が決まらない様ならばどこかの店に奉公に出るか教会でシスターになるかして弟と同じく家を出ろと言う事らしい。


嫁ぎ先が農家ならば食いっ逸れる事も無いと私の事を考えての事らしいが、農家の働き手の一人として売られるのは確かだった。

今までの扱いが扱いだったので大人しく承諾するものだと思われていたらしいが、私はその話をきっぱりと断り弟より先に家を出る事を宣言した。


そしてこれはもう旅立つ決意をする時なのだと自分に言い聞かせ、その準備を整えいよいよ一歩を踏み出すしか無いのだと行動を起こすことにした。


この世界の勇者はその特権なのかお城の宝箱だけではなく、人の家に勝手に上がり込み壺や樽に本棚に箪笥などを漁りアイテムだけでなく平民のなけなしのヘソクリ迄も奪う事を許されている。


私は勇者では無いのでその様な強盗まがいの事など出来る訳もないが、せめて野外や城の中の壺や樽位なら漁っても問題無いだろうと言い訳をして街中の壺や樽を漁りまくった。


なぜならそこには貴重なアイテムがあるのを私は知っているからだ。


普段はあまり家を出る事も許されないが、今となっては居ない者同然の存在なのでひっそりこっそりと出かけては薬草に毒気し草、そして何よりも大事なラックの実と力の実と貴重なメダル等を手に入れていった。



人の家の外に置かれた樽や壺とは言えその中を漁るのはやはりかなり緊張した。


誰かに見つかったら当然不審者でしかない訳だし、一歩間違えば犯罪者として私の人生は旅立つ前に終わりを告げるのだと思うと慎重にならざるをえなかった。


早朝まだ日が昇る前や他の家では夕飯で盛り上がる時間を狙って探しに出かける。


ゲームをしている時は何故壺や樽に薬草や毒消し草等のアイテムがあるのか不思議に思った事など無く当然の様に探して手に入れていたが、こうして現実に樽を覗き新鮮な薬草を見つけるととても不思議でしかなかった。

誰がなんの為に・・・。

しかしそんな事は深く考えたら負けだと思い軽く流す事にした。


お城に入り込むのは本当に大変で何度か失敗したが、祖父が王様に面会をすると言う話を聞きつけこっそりと後を付け、さも一緒に来たような風を装い上手く侵入出来た時は思わずガッツポーズをしたほどだった。


勇者では無いので入れる場所も限られ宝箱や箪笥は漁れなかったが、欲しかったラックの実だけは手に入ったので取り合えず喜んでおいた。

が、もしかしてこれは弟が手に入れるべき物だったのかと考えるのは止めておいた。


この実はその名のステータスをランダムで1~3程上げる事ができるのだが、それは一時的な物でなくそのままステータスを上げられる本当に優秀なアイテムだ。


ゲームの中では入手の数に限りがあったのでパーティー内の誰に使うか等悩む事が多く、私は全部を集め終わってから終盤になって吟味しながら一気に使っていた。

しかし今回はいくらでも複製ができるので悩む事無く自分に思う存分使う事ができる。


もうこれはゲームバランス等考えてもチートな能力だとしか思えない。

時間があるならこのままこの実を食べ続け、例えばラックをカンストさせたらたら会心も出やすくなりドロップ品もドロップ率も良くなるのかとワクワクした。

力の実で力をカンストさせたらどれほどの攻撃力をたたき出すのかとゾクゾクした。

そう考えると一刻も早く他の能力の実も早く手に入れてステータスをカンストさせたいと考えていた。


そうして手に入れたアイテムの内貴重なメダルは複製できなかったが薬草に毒消し草とラックの実に力の実は複製できたので毎日コツコツ複製に励んだ。


一日にどれか一つしか複製できないのが本当にもどかしかったが、実を多めに複製したのはやはり空腹に耐えかねてと言う事もあった。


アイテムボックスやマジックバックというアイテムはまだ存在していないが、手に入れたアイテムはすべて無くす事なく袋一つで持つことが出来るのが当然のこの世界。

状況的には今でいう所のインベントリーと言った所だろうか、ウインドウを開けば管理できるのでとても便利。


なので複製した薬草や毒消し草を枯らす事も無く収納して、ラックの実と力の実は迷うことなく食べてステータスを上げて行った。



それから最近は街の外に出てスライムの討伐もぼちぼち始めていた。


街のすぐ傍ならばスライムしか出ないのを知っていたので、ひのきの棒を手に入れてからは一匹で居るスライムを見つけては毎日HPがある限り討伐していた。


初めの頃は弱小と言われるスライムでもひのきの棒で何度も叩かなくては討伐出来ず反撃にあいHPを減らしていたが、力の実とラックの実でステータスを上げた事とレベルが少し上がった事で今では一撃で難なく倒せる様になっていた。


ゲームの中ではスライムはお金を落としていたが、この世界でも当然の様にお金をドロップした。

何故魔物がお金を持っているのかなど考えてはダメなのだ、この世界はそう言うものなのだ。

だから当然魔物討伐はお金にもなった。


ちなみにスライムを鑑定すると(Lv1 HP8 ドロップ 薬草 2G)と鑑定ができた。


そうしてスライムを倒したお金と薬草を売ったお金で装備を整えた私は、弟の服を拝借し髪を肩までの長さで切り両サイドの髪を後ろで一つに束ね男装をしていよいよ旅立つ事にした。

どう考えてもこの世界で女の私が一人でいるなど危険でしかないと考えたからだった。


既にこの家では空気扱いと言うか居ない者同然だったけれど一応旅立つ事を置手紙にしてテーブルの上に残し、私は弟勇者が旅立つより早くそっと家を出たのだった。


ロゥズ

レベル 3

HP   29

MP   24

力   75

素早さ 17

体力  15

賢さ  12

運の良さ79

固定スキル 鑑定 複製


装備 銅の剣 皮の鎧 皮の帽子



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最初の町でしっかり装備を整えるまで粘るのが良き
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