提案してみた
転移アイテムで港街へ戻ると無事イベントは終了していて船の運航も再開されていた。
私は早速ジパング行きの運航を確認をすると、やはりなかなか定員が集まらないという返事に業を煮やし少し提案してみる事にした。
「同じ方面行きを纏めて彼方此方と立ち寄りながら航海する事はできないのですか?」
私は何気にずっとどうしたら一刻も早く出航が実現するかを考えていたのだが、普通に世界一周クルーズの様に彼方此方に立ち寄る事にすれば定員なんてすぐに集まるのではないかと思いついたのだ。
それを船員に提案してみたが、どうも上手く理解されないので地図を広げ例えばと指さしながら説明してやっと納得して貰えた。
各地に立ち寄りながら航海してその距離によって代金を変えると言うのまで説明すると、どうにか実現しそうな返事を貰うことができた。
これで近々ジパングへ向かう事ができるのだろうと私はホッと溜息をつく。
そうとなれば出航に向けて入念な準備を始めようと持ち物を確認し足りない物を補充していく。
万が一に備えての食料と毛布。毛布は船で貸してはくれるが、アレは何と言うか誰がどんな使い方をしたのか知れないのに、洗われた事など一度も無いらしく色も黒くくすみ匂いもそこはかとなくと言った感じで、前回は仕方なかったができれば使いたくない。
それから今回は船の上で時間を潰すために本でも読もうと本屋を探した。
ゲームの中では本は既にその製本技術だけでなく独自の進化も果たしていて、読むだけで性格が変わる本や、名も無き一個人の冒険日記に隠れた人気があったりして色々と驚きだった。
そんな世界だからどれ程楽しい本が手に入るのかと本屋を探し回ったがそんな店は存在しなかった。
聞けば本は貴族や金持ちが取引のある商人に手に入れて貰う物らしく、自分の趣味で集めるのでなく商人が手に入れたおすすめをそのまま買うと言う何だそれと言うものだった。
それを聞き、それであれか、勇者が本棚を漁ると統一性のない本が並んでいたりしたのかと妙に納得してしまった。
手に入らないのなら仕方ないと本は諦め公衆浴場へと向かった。
ここでゆっくりお風呂に浸かっておかないとまたいつ入れるか分からない。今度の船旅は前回より長くなるだろう。
それに溜まった洗濯も済ませてしまわないと、と、まだ決まってはいないのに出航できるかもと思うとあれやこれやと気が急く様だった。
リオン
盗賊
レベル 31
HP 291
MP 365
力 999
素早さ 999
体力 179
賢さ 148
運の良さ 999
固定スキル 鑑定 複製
装備 闇の衣 ドラゴンブーツ ドラゴンローブ 復活の指輪 グリンガムのムチ
現在の手持ちの金額 35484G