魔法を使ってみた
ダンジョン塔を最上階まで進み帰りをまた歩いて戻るか魔法を使ってダンジョンを出るかで迷った。
ダンジョンから脱出する為の呪文はすでに覚えている。
何しろ今までMPは能力の実を複製する事を優先にして使っていたので、魔法を覚えてもそれを一度も使った事が無く、魔法使いになっても賢者になってもグリンガムのムチでの物理攻撃オンリーでやってきた。
しかしこのダンジョンの魔物のレアドロップで体力の実を大分手に入れた事でもあるし、今なら少々MPを魔法に使っても良いだろうとそんな風に思えた。
このゲームの中での魔法は今の様に多種でも多様でも無く、ましてや魔力の循環だとか魔力の操作などと難しい事など一切何もない。魔法を覚える職業に就いて呪文を覚えさえすれば誰にでも簡単に使える。
そして一度思えた魔法は転職後も変わらず使う事ができるので、当然盗賊に戻った私でもMPさえあれば今まで覚えた魔法のすべてを使う事ができた。
単体攻撃か範囲攻撃か全体攻撃かで多少名前も変わり、魔法を覚えるレベルに少々違いはあっても覚えてしまえば誰にでも使える弁理仕様。ただ確か魔法の威力は賢さが多少影響していたと思う。
何しろ私はこのゲームでは回復以外の魔法をあまり使った事が無く、多種多様で攻撃力の高い武器に魅力を感じ、クリティカルを出す事に快感を覚える方だったので、その辺ははっきりとは言えないが多分そうだった気がする。
その他にも賢さは魔法を覚えるタイミングにも関係していたような気がしたが、何しろその辺はあまり興味が無かったのですっかり忘れてしまっている。
言い訳をする訳では無いが、ファンタジー好きの私としては今では魔法大好き。今のゲームの世界なら賢者になって魔力無双で魔法を使い放題と言う戦闘に憧れたりもするが、あくまでもファミコンRPGにのめり込んでいた頃の私は、魔物を倒しレベルを上げ強くなるという事を楽しんでいた。なので魔法の本当の魅力や可能性に気付いていなかったと言うだけだ。
まあとにかく魔法とは便利で万能なものだと言う白黒テレビアニメや海外ドラマの魔女の奥様を見て抱いたただの憧れから、戦闘の為に使う魔法と言う新しい世界を見せてくれたのはこのゲームがはしりだった。
ただこのゲームではMPの自然回復なんて方法やアイテムはまだ無かった。
消費したMPを回復させるには宿屋に泊まるか特別に回復してくれる場所を見つけるしか方法がないので、MPが尽きてしまった魔法使いは本当に使い物にならなかったりもしたのが私が魔法使いを重要視しなかった所以だったと思う。
それにレベルも低くMPも少ない時の魔法使いのMP回復の為の宿泊代金が嵩み、地味にお財布へのダメージがあって装備を整えるのに影響したりして、このゲームだけで言うなら本当に攻撃魔法が便利かどうかは考えものだった。
とは言っても折角思い付いたので、一日くらい能力の実の複製を諦め魔法を使って魔物を倒してみようかとそう考えた私は、ダンジョンの戻りは歩く事にした。
でも考えてみたら賢者のレベルUPをしている時にそうすれば良かったと思いながら下層へと移動していく。
そして早速出会った魔物に全体攻撃の魔法を放ってみた。
しかし何と言うかそれでは現れた魔物の全部を倒しきる事ができなかった。
魔法にクリティカルと言う概念がまだ無かった・・・。
辺り全体を包み込む大爆発は衝撃も凄く音もとても派手だったが、一網打尽にするのには威力が全然足りない。
当時はこの衝撃爆発の中どうして仲間は無事なんだと本当に疑問だったのだか、きっと魔物だけに反応してダメージを与えるのだろうと納得しておく。
倒しきれなかった魔物にもう一度魔法をとも思ったが、結局私はまたグリンガムのムチを振るい全部の敵を倒し、呪文を使ってダンジョンを脱出したのだった。
リオン
盗賊
レベル 22
HP 221
MP 239
力 354
素早さ 999
体力 162
賢さ 138
運の良さ 999
固定スキル 鑑定 複製
装備 闇の衣 ドラゴンブーツ ドラゴンローブ 復活の指輪 グリンガムのムチ
現在の手持ちの金額 22683G