表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

巡り来る季節

作者: 篠朝樹

今年最初の雪が降ったと、夕方のニュース番組でお天気お姉さんがにこやかに報じている。

出口は何をするでもなく、ただぼんやりとテレビの画面を見ていた。

そういえば、今日はやけに冷えるなと、部屋着の上にパーカーを羽織ったのは、午後になってからだったろうか。


キャンプまでまだ少し間があるこの時期は、少し長めの冬休みのようなもので、出口は毎年、里帰りするか友人もしくは恋人と旅行に出かけたりしていた。だが今年は何故かそういう気になれなかった。

いや、何故か、というのは嘘になるだろう。その原因を、出口はいやというほど理解していたのだから。


死ぬまで一緒に、とか、この先ずっと、などと思っていた訳ではなかったが、ただ少し、失うには早すぎて、忘れるには遅すぎた。


テレビの画面は、電飾に彩られた街にひらひらと舞う雪の映像を映している。

出口は立ち上がって部屋を横切り、ベランダに面した窓のカーテンを捲って外を見た。ニュース映像と同じように、白い雪が舞っていた。

ガラスに近付けた鼻先から、冷気が静かに伝わってくる。出口はぶるりと身震いし、自分の呼気で少し曇ったそこを拳でぐい、と拭うと、カーテンを閉めた。


生まれのせいか、暑さに強い奴だったから、冬になったらきっとひどく寒がるんだろうな、となんとなく思っていたのだが、それを確かめることは多分できないのだろう、と思って、未だに賑やかしく喋るテレビの電源を、ぶつん、と切った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ