表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/34

4-9 ラスボスが登場して

「ま、負けたのじゃ!!」

「さぁ、鷺ノ宮は返してもらうぞ」

「くっ! ほら鷺ノ宮咲さっさと出るのじゃ!」


 ゲームマスターは鳥籠から鷺ノ宮を解放する。

 よかった、ちゃんと約束は守るようだ。


「咲さーん!」

「優!」


 駆け寄っていく優ちゃんを鷺ノ宮が受け止める。


「無事でよかったですぅ!」

「ありがと、優。それにみんなも」

「当然のことをしたまでだよー!」

「わたしたちは仲間」


 四人が楽しそうに談笑しているのを少し遠くから眺める。

 やっぱり、まだ仮面を完全に外すのは難しいな。こればかりは長年の悪習だ。そう簡単に拭うこともできない。だから、今だけは許してほしい。


「江古田くん」

「……どうした?」


 そんな俺の様子を見兼ねたのか、鷺ノ宮が声をかけてくる。


「徐々に、でいいと思うよ。あたしだってまだ慣れないもん」

「そう、だな。ちょっと時間はかかるかもだけど」


 みんなと入ればきっといつか、俺も。だからそれまでは————


「俊介もほら!」

「江古田くんもこっち」

「俊介さーん、また格好つけてるんですか?」

「ちょ、みんな!」


 三人に揉みくちゃにされて否応なく全員で抱き合うような形になる。

 なんか体のあちこちに柔らかい何かが当たってるし、けどそんなのはお構いなしといった感じで渚、秋津さん、優ちゃんは騒いでいた。もうめちゃくちゃだ。


「江古田くんの変化をみんなは待ってくれないみたいだよ?」


 同じように揉みくちゃにされながら鷺ノ宮は笑っている。

 その様子を見て俺も自然と笑うことができた。どちらかというと苦笑だけど。でも久しぶりに心の底から笑った気がする。

 ……このまま俺もみんなと同じように大騒ぎしたいところだけど、一つだけどうしても解決しておかなければいけないことがある。


「なぁ、あんた。どうしても俺たちを解放する気はないのか?」


 項垂れているゲームマスターに声をかけた。

 今回の勝利報酬はあくまで鷺ノ宮の解放。だからこの島から脱出することはできない。

 だけど、このちゃらんぽらんしたゲームマスターなら、案外頼み込めば解放してくれそうな気もしなくは無い。言うだけ言ってみるというやつだ。


「ふん! そう簡単に解放してやるものか! またいつお主らが揉めるかもわからんしな! その時はじーっくり観察させてもらうぞ! あっはっはっは!」

「江古田くん、いつでも目を狙えるわ」

「許可します。秋津さん」


 交渉決裂。こうなったら武力行使もやむなしだ。

 秋津さんは敵にすると恐ろしいが仲間だととても心強い。


「や、やめるのじゃ!? ほ、ほら! 妾が死んだらお主らも帰れなくなるぞ!」

「……たしかに。秋津さん一旦ストップで」


 彼女が死んだせいで元の世界に帰れなくなる、という事態は避けたい。


「た、助かったのじゃ……」

「とりあえず、あんたが今俺たちを解放する気がないということはわかった。じゃあ、俺たちは拠点に戻るからな。もう妨害はするな、と言っても聞いてはくれないだろうけど、今日くらいは大人しくしてもらえると助かる。それじゃ」


 今日はみんなで祝勝会だ。それを邪魔しないでほしかった。

 彼女がそんなささやかな願いを聞き入れてくれるかは分からないが。彼女にも少しでも良心があると信じて口にはしてみた。


「ちょ、ちょっと、待つのじゃ!」

「なんですかぁ?(突然の武田鉄矢)」


 ゲームマスターはなぜかモジモジしている。中身は残念ではあるけど、外見は非常に可愛らしいので何か言いにくそうに体を揺すっている様は大変目の保養になる。かわいい。


「そのなんじゃ。妾もご相伴にあずかろうかの! お主らの夕餉を品定めしてやるぞ!」

「え、いやですけど」


 何を寝ぼけたことを言っているのだろうか。

 一旦休戦ということにはなったが、依然と俺たちは敵同士。そんな相手と夕食を共にするなんてどう考えてもおかしい。


「そ、そう冷たいことを言うな〜。ほら、褒美に妾のチチを揉ませてやるぞ!」

「やれやれ仕方ないですね……」

『江古田くん?(俊介?)(俊介さん?)』

「そんな色仕掛けに俺が騙されると思ったのか! まったく心外だ!」


 完全に騙されていました、はい。

 みんなの深海のように真っ暗な目を見て正気に戻りました。


「頼む! もう三日は何も食べてないのじゃ! 妾を助けると思って!」

「いや、あんたゲームマスターなんでしょ。そんなのどうとでも出来るでしょ」

「それが……実は数日前から管理者用のコントローラーの調子が悪くてのう。お主らにちょっかいをかけたのも緊急事態だったためじゃ。本来は妾が表舞台に出る予定はなかったのじゃ! 頼む、なんでもするから!」


 ゲームマスターは瞳をうるうるとさせながら懇願してくる。

 さっきまでの尊大な態度はどこに消えたのか。……どうしようか、このまま放置するのも寝覚が悪いな。とりあえず方針については相談して決めるか。

 大事なことは仲間と話し合わないとな。


「えーと、その…………みんな、どうしようか?」


 一難去ってまた一難。

 どうやらこの無人島での暮らしは一筋縄ではいかないようだ。


 力を失ったゲームマスターを加えて、俺たちの無人島生活はまだまだ続いてく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ