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インダス文字(2.北のタコ)

作者: 板堂研究所(Bando Research Corporation)

「北のタコ回覧」の印章から、KITAがNorth、TAKOがOctopusを意味するものと推定され、日本語の証明と考えられます。

 II.原典の解読


 典型的なインダスの印章は正方形で、2.54cm×2.54cm と小さい。文字列が上部にあり、下に動物が描かれている。文字列を解読して傾向を探ると、描かれた動物は、年齢層などを表すらしい。一角獣が登場する場合、青春の恋愛の詩が刻まれており、牛なら勤労者、ゾウは高齢者、トラなら酔っ払いが題材である。庶民の心情が吐露されている場合が多く、まるで万葉集の詩の様である。他方、動物の登場しない細長の印章は、職業を表す場合が多く、印鑑や身分証明書と推測される。

「インダス文明展」の図録の印章(351)は、左右双方向に読む中で、Kot Diji(モヘンジョ・ダロに先立つ時代の遺跡)に通じる「こじち」、またSarasvati河に通じる「スラタワチ」の文字列が読み取れ、インダス文明と関係の深い固有名詞として特筆される。

 以下、印章(写真)の通し番号に関し、A.パルポラ(第1巻:インド)や(第2巻:パキスタン)は、A.パルポラ等の編纂による「Corpus of Indus Seals and Inscriptions」(第1巻・第2巻)の略称である。 



 1. 菊池徹夫編「文字の考古学 I」(同成社。2003年)



 179頁の(印章3)「北のタコ回覧」。「Lost Artifacts: Indus Valley Civilisations – Script and Seals」で検索可能。パルポラ(第1巻:インド)から、M-296A。

 2頭の一角獣が、中央の「テントウムシ」から、左右にスペード型に首を伸ばす。上部では、枝が5本ほど放射状に延び、先端に木の葉が約7枚、描かれている。「テントウムシ」と、すぐ下の「キノコの傘」を合わせれば、木から垂れ下がる、ザクロの実の断面と推定可能。全体として左右対称風の図柄で、底部にインダス文字が刻まれている。


(1)試し読み


 先ず、簡単な記号に着目する。下部の文字記号に、左から右へ、①から⑤までの番号を付す。両端の記号を除き、取敢えず次の通り。


 ② V型に寄り添う2本の縦棒:NO。

 ③ 「魚」形の記号:TA。あるいは、ME-4(I/YA/SI/NO)。

 ④ 「木」に似た記号:KI/KO。


 これらを並べて読めば、次の通り。


(右から左へ)KI TA-SIMESI NO  (左から右へ)NO TA KO


 両者を合わせれば「きた しめし のたこ」(北、示しのタコ)。

 印章を上下逆にすると、タコ(Octopus)が登場する。2頭の一角獣の首がタコの頭、木の葉がタコの足に変貌する。


(2)両端の記号を読む


 左右両端の記号につき、次の通りとする。


 ①ベルトの中に車輪: 内側の「車輪」記号は、KA。外側は、MEの4隅にマス目で、YO-MASUME。


 ⑤ 右端: WAの中にSUで、SUWA。


 ⑤と①を合わせれば、SUWA YOMEMASUKA (図は、読めますか?)


 以上から、①から⑤まで「北、示しのタコ。図は、読めますか?」


(3) 植物の葉


 上部で、植物の葉が、整然と並ぶ事に着目し、読み加えれば、次の通り。


(中央で、3枚の葉のフォーク型連なり):RE/MITE/SATE。

(5枚の葉に拡張したフォーク型):(RE/MITE/SATE) –(TE/GO)。

(左右の端で、下方に垂れる、2枚の葉):NI/RA。


 合わせて、(RE/MITE/SATE) –(TE/GO)  NI/RA (見てごらん)


(4) 総合


 以上から、「見てごらん。北、示しのタコ。図は読めますか?」。①の記号が「回転」を示唆するが、印章を上下逆にしてみよ、との由だろう。 


(5)音価の裏付け


 この印章には、明らかにタコ(Octopus)が登場する。然るに、④は木(Tree)の形なので、日本語なら、漢字「木」の類推で、音価は KI/KOと推定される。仮に Octopusが TAKOならば、④KI/KOの隣の、③か⑤の記号が、TAに相当する筈である。然るに、⑤は合成記号と見られるので、TA(1音節)なら③だろう。②の記号は、ローマ字のNにも似ており、NOと解釈できる。

 然るに「インダス文明展」図録に印章(353)として収録された、A.パルポラ(第1巻:インド)のK-32A等、他の印章でも、TA-(KI/KO)との記号の連なりがあり、タコの漫画を伴うので、TA-KOが、Octopusを指す事は明白である。よって日本語を前提とすれば、KI-TAは、Northを指すだろう。


(6)読み換え


 ④の「木」の記号を上部(三角形)と下部(支えの縦棒)に分け、YAMI-I/YA/SI/NO と読み換え、③「魚」の記号を、SAKANA、と読み換える。その上で、文字列の右側を右から左へ読むと:


 YAMI-NO NAKASA  (闇の中さ)


(7)2頭の一角獣は天体図


 この記述からヒントを得て、印章の図柄を北の星空と解釈し、2頭の一角獣の連結部分をカシオペア座の「W」と仮定する。ついてはカシオペア座の「W」が、最も低く地平線近くに現れるのが6月なので、6月の北の星座表を参考にする。更に北極星は、インダス文明最盛期には、歳差運動により竜座のαトゥバンに帰着した事を踏まえて、次の通り。


(2頭の一角獣の連結部分)カシオペア座の「W」。


(左上の頭)北斗七星の柄杓。


(右上の頭)竜座の頭。


(二頭の一角獣の見据える、中央の菱形)小熊座の柄杓。


(上部中央の、植物の葉)北極星(竜座のα星、トゥバン)。


(上部の葉の連なり)竜座。


(テントウ虫)夜空の星のクラスターの象徴、あるいは、天の川。


(テントウ虫の乗る「キノコ」の底部)アンドロメダ座γ星。


(8)「北のタコ」の神話


「北のタコ」は、当時の神話であり、宇宙を包み込む巨大なタコが毎晩、表れては空を墨で真っ黒に染め、8本の足で、北極星を中心に天空を旋回させたと考えられる。

 因みに天空の星は、北極星を中心に同じスピードで旋回するが、太陽と月、また「5惑星」は独自の動きをするので「北のタコ」の左右の目が、それぞれ太陽と月となり、8本の足で、木星、火星、土星、金星、水星の5惑星などを動かしたのだろう。

 更に「人間が死ぬと、その魂は天に上り『北のタコ』の一部になる」との信仰が考えられる。因みに寺のシンボル「卍」は、インダスの印章にも登場するが、元々、北極星を中心に、時間(季節)と共に旋回する、四季折々の北斗七星の姿を繋いだものであり、時間の経過あるいは「輪廻」を象徴するのだろう。

 因みに「インダス文明展」の印章(355)の表側にも「卍」が刻まれており、解読すると、畑仕事用のウシが、時間の経過と共に、肉牛と目される事を揶揄している。


(9)「北のタコ」の星座


「北のタコ」は、北極星の向こう側に存在し、8本の足を雨傘の骨の様に天空に伸ばし、宇宙を旋回させるので、地表から見れば「逆さ」である。然るに印章の「北のタコ」のイメージも、逆さにした時に登場する。(「タコ、を逆さにすれば、北」との語呂合わせも生きる。

「天体図」のイメージは、本物の「北のタコ」とは別の目に見える星座だろう。星座表を参照すると、カシオペア座の「W」を要とする「北のタコ座」が逆さになるのは、6~8月で、印章に描かれた様な、大きな葉の似合う季節となる。(注)

 因みに「天体図」のキノコの傘には、歯車の様な細かい溝が刻まれているので、印章を逆さに見ると、「北のタコ」が、キノコを軸に旋回し、天空を一緒に旋回させる姿が想像される。なお「テントウムシ」+「キノコの傘」で、木から下がるザクロの実とも解釈可能。


(注)印章出土のモヘンジョ・ダロに因み、場所を九州に設定し、午後7時頃に設定した場合。


(10)土偶やストゥーパ


 インダス文明の遺跡から出土する土偶は、女性が典型的であり、豊穣祈願用と推測される。両目がゴーグルをはめた様に大きく、頭頂が上に長く伸びている。また多くの場合、首飾りを8重につけており、首から上は「北のタコ」で「死した先祖の姿」か。

 また古代インドでは、仏の遺骨を安置する為、ドーム型のストゥーパが、サンチ-等に建てられたが、「北のタコ」のイメージである。上部中央の尖った飾りは、北極星の象徴。アマラーヴァティのストゥーパは、復元図が頼りだが、ドーム中腹を巡る、リボン状の装飾は、「北のタコ」の連なるイメージだろう。

 マウルヤ朝のアショカ王(紀元前268‐前232)は、国内各地に石柱を建立したが、柱頭には、タコの様な装飾が施された台座が乗り、頂上にライオン等の動物が乗っている。



 2.「オリエント古代の探求」(北のタコ)


 清岡央聞き手・編「オリエント古代の探求」(中央公論新社。2021年)の第7章「南アジア世界を発掘する」(上杉彰紀)の168頁に、インダスの印章の写真が3つ登場する。


(左手の印章)右を向く、角の大きな牛が登場する。上部の右側の記号を、TA/ SI-ME-SI、と読み換える。牛の頭の下の記号は、KI/KO。すると下から上、右から左に読めば、KI-TA/ SI-ME-SI -NI。折り返して逆方向に、TA-KO。これを繋げば、KI-TA/ SI-ME-SI -NI-TA-KOで「北、示しにタコ」。牛の頭の下の記号(KI/ KO)を矢印と見做し、印章を左に90度倒せば、牛の頭がタコに見える。これは神話の「北のタコ」であり、牛の首に幾重にも彫られた同心円が、北極星を中心とする、天空の旋回を表すだろう。


(中央の印章)右を向く一角獣が登場。文字記号と配列が、左手の印章に良く似ている。上部、左側の記号WAにつき、SI-ME-SI-NI-WAと読み換える。すると下から上、右から左に、KI-TA-SI-ME-SI-NI-WA。折り返して逆方向に、TA-KO。これを繋げば、KI-TA-SI-ME-SI-NI-WA-TA-KOとなり「北、示しには、タコ」。牛の頭の下の記号を矢印と見做し、印章を左に90度倒せば、牛の頭がやはり「北のタコ」に変わる。


(右側の印章)左を向く一角獣が登場する。上部、左側の2枚羽のプロペラの様な記号は、上から下へ、I/SI、ME/MI、SI/Iと3つに分類。牛の角を、YAと読み込む。すると右から左へ、RE-I-ME-I-YA。次にプロペラの記号をMI-NI、REをTI-RE-YAと読み換えれば、左からYA-MI-NI-TI-RE-YA。繋げて解釈すれば:黎明だ、闇に「散れや!」。プロペラの記号が、地平線から覗く太陽を表すのだろう。



 3.NHK放送75周年事業「インダス文明展」(2000~2001年)カタログ(図録)より


 印章(339)~(342)には角のある4つ足動物が登場するが、何れも胴体から3つの頭が異なる方向に伸びている。これらを解釈する上で、「北のタコ回覧」の印章が大変参考になった。


 印章(339)


 3つ頭の、角の動物の印章。(文字は登場しない)右上の頭だけ角が1本で、他は2本。右上が若く、左上が壮年。右下は老年と見られる。

 左上に、ネズミの様な動物の立ち姿。ミノア文明では、北極星を「ネズミ」と称した形跡があり、インダス・ミノア双方の文明で、古代の日本語を話したとすれば、北極星の名称も一致し、ネズミの様な動物は、北極星だろう。日本でも「子の星」と言えば、北極星である。

 ついては「北のタコ回覧」の印章を参考に、3つの目を明るい星と捉え、特に6月の北の星座表と照合すれば、次の対応関係から、ネズミ=北極星、と推定される。


(4つ足動物の胴体)ケフェウス座。


(左上の頭)小熊座の柄杓。


(右上の頭)竜座の頭。


(右下の頭)白鳥座の一等星、デネブ周辺の星。デネブが牛の目で、白鳥座の、γ、ε星が、牛の角。


(ネズミ)これを「子の星」で北極星とした場合、インダス文明の最盛期(紀元前2600-前1900年)の北極星(竜座のα星、トゥバン)は、6月の北の星空で、小熊座の柄杓の左上に登場するので、印章のネズミが、左上の牛の頭の、更に左上に登場するとの位置関係と、一致する。


 この印章の出土したドラヴィ-ラ遺跡では、円形の建物も確認されており、地理的に北回帰線上に位置し、夏至に太陽が真昼に南中する事を利用した天文観測所とする説もある。従って星座の動きを表す印章と解釈可能と考えられる。


(出典)Mayank Vahia, Srikumar Menon「A Possible Harappan Astronomical Observatory at Dholavira」[Journal of Astronmical History and Heritage, 16(3), 2013]ネット掲載版。


(注)日向数男偏「新装版 古代文字」(グラフィック社。2014年)の130頁の中段、左端の印章に登場する、3つ頭の動物は左向きだが、同じ構図で、印影と見られる。(A.パルポラ「第2巻:Pakistan」の135頁でM-1170a)

 動物の背中の上方には、上部に(左側3本が束になった)7本の短い縦線のある櫛記号があり、下部に、REの記号。これを解読すれば、上から下へ、SI-SAN-KU RE。下から上へ、TI-RE-YA/I NA-NA-KU。繋げて解釈すれば「資産をくれ。散れといななく。泣くな」となり、下記の印章(340)の、3つの頭の交替神話に沿うものである。


 印章(340)


 3つ頭の動物が登場し、右上と右下の頭の間に単独の目がある。印章(339)と3つ頭の動物が酷似。左上の頭(小熊座の柄杓)、右上の頭(竜座の頭)、右下の頭(白鳥座のデネブ周辺の星)、4つ足動物の胴体(ケフェウス座)との対応関係も同じだろう。右上の頭だけ角が1本で、他は2本の点も同じ。すると右手の単独の目は、こと座の一等星、ベガと推定される。

 上部中央に「手」の様な記号があり、上から下に分割して、TI-RE-YA。左側が半分、消えており、右半分だけなら、SEと読めよう。更に左上の2本の角をNI、目をME、耳をYA。また右上の角をSI、目をME、耳をYA/Iとする。以上、合わせれば次の通り。


(右から左へ)I-SI-ME YA-SE-RE-TI(KIETE)YA-MI-NI

 イジメや。痩せるし、散れ! 消えて闇に。


(左から右へ)NI-ME-YA(KIETE)RE-TI-SE-YA ME-SI-YA

 逃げや。消えて何とかしろ。飯や!


 ここで印章(339)に習い、動物の左上の頭を小熊座の柄杓、右上の頭を竜座の頭、右下の頭を白鳥座のデネブ周辺の星に設定し、星座表で1年の動きを追跡すると、小熊座の柄杓(左上の頭)は1年中、北の空に見えており、竜座の頭(右上の頭)も、2月に部分的に隠れるものの、基本的に1年中、見られる。これに対し、白鳥座のデネブ(右下の頭の目)が見えるのは、北の空で5月から翌年1月までに限定され、2月から4月は、地平線に隠れて見えない。

 すなわち右下の老年の牛は、2月から4月の間、天空から消えるので、「毎年、天空の牛は、陰暦の年末に消え、春に再生される」と言えよう。神話とすれば、毎年春、北の空の右上に、若い牛が登場し、反時計回りに移動しながら、左上の壮年、右下の老年を経て、年末に消える流れである。すると「単独の目」は、生まれたて。右上の頭は、若い牛。左上の頭は壮年で、右下の頭は、老年の牛と理解できる。


 印章(341) A.パルポラ(第1巻:インド)から、K-43A。


 印章(339)と同様の構図で、3つ頭の4つ足動物が登場。しかし3つの頭の中で、若いのは、左上の頭。右上の頭が壮年で、右下の頭が、老年の牛と見られる。周囲にインダス文字が刻まれており、次の通り。


(左側の文字)


 上の記号は90度回転したSAなので、SAKASA。真ん中の記号をMASA、下の記号をRAU/ URAと読む。上から「さかさまさうら」。下から「うらさまさかさ」となり、繋げれば「逆さまさオラ。オレ様、逆さ」。

 ヒントに従い、印章の写真を逆さにすると、印章の左側で、縦に並ぶ文字列が、タコの漫画に変貌する。このタコは、印章(339)のネズミ(子の星)に対応し、北極星を象徴する「北のタコ」なのだろう。


(上部の文字)


 左側の記号はURA/ UNI、右側の記号は2本の縦縞を読み込み、DE-NI。すると左から右へ「うらでに」、折り返して左へ「うに」。繋げれば「裏手に鬼」。ここで印章の写真を逆さにすると、鬼の漫画が登場する。(左右の頭部の目が、鬼の目に変貌)


(右側の文字)


 上の記号をURE/ REUと読み換え、右上の牛の角をSI、右下の牛の角をWA/ SIと読めば、上から「うれうわ」、折り返して下から「しうれうし」。繋げれば「憂うわ、ワシ、熟れ/ 売れ牛」。


 以上を合わせると、

「逆さまさ、俺。俺様、逆さ。裏手に鬼。心配するワシは、年老いた、売られそうな牛」。すると印章の上部中央の3つの「水滴」は、焦りを表す演出だろう。


(解説)


 印章(339)の場合と異なり、ウシの3つの頭が、左上(若い牛)から順番に、右上(壮年)、右下(老年)と、時計回りに年齢を加えるので、天空が(北の空と反対で)時計回りに旋回する、南の空の星や星座が想定され、その場合、ウシは牡牛座だろう。

 牡牛座の場合、一等星アルデバランに着目すれば、南の空に見えるのは、毎年、12月~3月で、4月~11月は見えなくなる。然るに「逆さまさ、俺。俺様、逆さ」は「北のタコ」の台詞とすれば、北の空の話であり、南の空から見て「裏手」なのだろう。

 そこで印章を上下、逆に見ると(左右に並ぶ牛の目を両目とした)「鬼」が登場する。然るに、牡牛座の見える12月~3月に設定し、北の星空に目を転じれば、鬼の右目が、ケフェウス座。左目が、大熊座の頭、あるいは北斗七星の柄杓。そしてペルセウス座、ぎょしゃ座の星が、鬼の歯となり、全体として「裏手の鬼」だろう。印章を元に戻せば「年老いた牛」は右下の牛で、4月から消える筈である。

 改めて「逆さまさ、俺。俺様、逆さ。裏手に鬼。心配するワシは、年老いた、売られそうな牛」を漫画と照合すれば、

「牡牛座から見ると、北のタコは、背後の北の空に。そちらに目を転じれば、逆さまの鬼が登場。かたや牡牛座は、4月に消えていなくなる」と解釈できる。

 この印章では、3つ頭の動物が、様式化された印章(339)や(340)の場合と異なり、ナンセンス漫画風に描かれているので、北極星の周辺に見つかる「3つ頭の動物」のパロディー版だろう。

 以上、印章(339)~(339)を踏まえれば、インダスの印章で、多頭の獣が登場する場合は、星座から着想を得ており、時間と共に、角の数の少ない頭(0本)から、多い頭(2本)へ育つ流れで、0本から2本の方向へ、旋回運動が示唆されている。

 例えば、映画「モヘンジョ・ダロ」のエンブレムの円形の印章の原型だった、インダスの印章(M-417。Mohenjo Daro Icon Creatures: Are They Realのサイト)。「Indus seals three heads」で他のサンプルも検索可能。


 印章(342)


 このモヘンジョ・ダロの印章(342)に文字は登場しない。3つ頭の動物が左向きだが、構図は印章(341)と同様であり、やはり3つの頭の交替神話を示すのだろう。


(注)日向数男偏「新装版 古代文字」(グラフィック社。2014年)の130頁の中段、左端のインダス印章には、左向く4つ足動物が登場し、やはり胴体から3つの頭が異なる方向に伸びる。

 4つ足動物の背中の上部に、7本の短い縦線のある櫛状の記号があり、その下に「れ」の記号。合わせて「北のタコ」の印章の上部を省略した図形と見られ、やはり北極星を示すだろう。

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