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ハルゼロバン  作者: 柳瀬
2/5

容疑者

◯四月六日 放課後 ファミレス

 ファミレスで、新開さんと芳川さん、美夜でくだらない話をしていた。

 主に月見ヶ丘中学の学校生活について根掘り葉掘り聞かれた。別に隠すような話はないので、聞かれた事を答えていった。

 「それじゃあ、二人は寮のルームメイトなんすね。」

 「そうそう。」

 「何だか、噂には聞いてましたけど、月見ヶ丘の生徒は、私達と住んでる世界が違うって改めて思いました。」

 芳川さんは少し呆れた声を出す。

 「そう?特に2人と変わらないと思うけど。」

 そう言うと、新開さんは少し唸って思案する。そして口を開く。

 「PPって職業自体が特別なんすよ。過去にタイムスリップするなんてタブーを公的に許可されている職業って、ほとんどないじゃないっすか。」

 「確かに、一般人は絶対にタイムスリップ出来ないか。」

 美夜の言う通り、現時点で公的に過去へタイムスリップ出来るのはPPと研究者くらいだ。それ故に、PPになるのは難しい。

 「やっぱり、PPになるための学校は一般学校と比べて特別なんだなって。寮生活もそうですし、今聞いた学校の話殆ど一般校じゃありえないっすよ。」

 「私が知ってるのは、月見ヶ丘中学校一位の一ヶ瀬さんとか。」

 「ああ、あの人ね。」

 腕の痛みを思い出し、露骨に嫌な顔をしてしまう。

 「他にも有名校の上位の人は、PPに興味ない人でも皆知ってますよ。」

 「PPは良くも悪くも目立つからね。」

 美夜はうんざりした様子で紅茶を飲む。そして、思い出したように声を出す。

 「そう言えば、さっきの不良達大島さんがどうのこうのって言ってなかった?」

 新開さんは斜め上を見て思い出そうとする。

 「全然覚えてないっす。」

 「私もです。」

 2人とも申し訳なさそうな顔をする。

 「間違いなくではないけど、言ってたような気がするなぁ…、くらい。」

 かなり自信がないので、曖昧な返事になってしまう。

 「大島って名前に心当たりはない?」

 「大島…、大島…。私のクラスに大島君はいますけど。」

 中学一年生がさっきの不良のボスなわけはないだろう。

 「多分違うだろうね。」

 ですよね、という顔を二人ともする。

 「何か情報収集したいけど、そういうのに詳しそうな人って…、あ。」

 美夜は何か思い当たったようだ。

 「誰か心当たりがあるの?…あ。」

 美夜と顔を見合わせ、渋い顔をする。

 貴船美々。

 彼女なら、何か知っているかもしれない。

 

◯四月七日 昼休み

 「話の流れから察するに、大島普(おおしまひろし)の事かと思います。」

 昼休みに、教室で美々に昨日の出来事を説明すると、直ぐに推測を提示した。

 「何者なの?そいつ。」

 「端的に言えば、この辺りの不良集団のボスといったところです。東海高校3年生で、一連の事件を指示してる可能性もあります。」

 「何でこんな事をやってるんだろう?」

 「それは私も分かりません。」

 昨日、新開さんと芳川さんに絡んできた不良のボスが大島で、そいつが最近学生に喧嘩を吹っかけるように指示している。あくまで可能性だが…。

 「そいつに聞けば何でか分かるかも。」

 美夜と目を合わせて頷く。

 「でもどうしようか…。」

 美夜は腕を組んで思案する。

 接触する方法は、強引なものはいくつか思い付くが、自然なものは思い付かない。

 「美々が知り合いだったりしないよね?」

 「まさか。」

 そうなると、足を使っての調査しかないか。

 「ありがとう美々。でも、何でそんなに情報通なの?」

 「SNSを使えば近辺の情報収集は可能です。」

 迂闊にSNSは始められないなと改めて思う。

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